しがない公務員の大阪通信

大阪在住、在職の公務員が大阪の過去、今、そして未来を考えます。

特別区協定書(案)を読み解く5「税源の配分と調整」

2020-08-21 | 大阪都構想を考える2025
大阪市を4つの特別区に再編する「特別区協定書」

令和7年(2025年)1月1日の大阪市消滅・4特別区誕生に向けた動きが本格化しています。

大切なことは何度もしつこく言いますが、
大阪市が持っている事務すべてをまず大阪府が見ることとし、
そのうち「住民に身近な特別区が処理することが相応しい事務」だけを特別区で行ってもらうことになります。

つまり、 特別区は「基礎自治体である市町村に準ずる」特別地方公共団体で、
国の行政機関や各省大臣が助言や勧告を行うことができる普通地方公共団体とは異なり、
特別区の運営について助言及び勧告をすることができるのは知事のみとなることから、
すべては大阪府を通じて行うことになります。

そうなると、
この権限に対する財源についても、
原則大阪府が管理することになります。

そこで今回はまず税金について見ていきたいと思います。

市町村に入るべき税金は次のように分けられます。

A 特別区が徴収する税金(平成30年度決算:229,950百万円)
  個人市町村民税(平成30年度決算:199,303百万円)
  市町村たばこ税(平成30年度決算:28,875百万円)
  軽自動車税(平成30年度決算:1,772百万円)

B 大阪府が徴収する税金(平成30年度決算:507,407百万円)
  法人市町村民税(平成30年度決算:138,777百万円)
  固定資産税(平成30年度決算:283,108百万円)
  特別土地保有税(平成30年度決算:不明)
  都市計画税(平成30年度決算:57,714百万円)
  事業所税(平成30年度決算:27,808百万円)

実に大阪市が徴収している税金のうち約31%しか独自で徴収できないことになります。

ただ、
これだけではほとんど仕事ができません。

東京都の特別区で行っている業務より多くの業務をこなさないといけないので、
大阪府が徴収する税金から分配してもらわないといけません。

次はその調整を見ていきます。

① 法人市町村民税、固定資産税、特別土地保有税等
  財政調整が必要な額の総額のうち、特別区に係る額の割合
  (平成 26 年度から平成 28 年度までの3年度分を平均すると、78.7%
   →332,023百万円)

② 都市計画税、事業所税
  大阪市の過去の事業への充当実績を勘案し、特別区と大阪府の双方の事業に充当
  (平成 26 年度から平成 28 年度までの3年度平均の場合、53%
   →45,326百万円)

③ 既発債の償還に必要な経費として、特別区が負担する額は、
  特別区財政調整交付金の交付を通じて財源保障を行う。

④ 特別区の設置の日が属する年度の翌年度から 10 年の各年度においては、
  住民サービスのより安定的な提供を図る観点から、20 億円を加算する。

この合計が379,349百万円で、
特別区に与えられる税源は609,299百万円となり、
約83%まで回復してくれます。

ただし、
これっていうのは大阪府から50%以上与えられるわけで、
自ら稼いでいるわけではないので、
結局大阪府にコントロールされるんですよね。

これが、
大阪市がなくなってどのようになるのか、
それは誰にもわかりません。

さて次回は、
東京都と大阪府の最大の違い、
地方交付税について考えてみたいと思います。

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