今回は若林区体育館で行われた出前コンサートですが、事前に若林区職員の方から電話を頂いたときに「七郷中学校のPTA会長さんがご挨拶したいそうなのでお電話を代わりますね」と言われ襟を正して待っていると
「おう!えれぞうか?おめー、昨日きたんだって?俺んトコの顔ださねーで帰るんじゃねぇよ!」
…は? 僕、ヤミ金からカラス金を引っ張るようなことしておりませんが…
「俺だ!ハシモトだ!」
なんだ!どこのヤクザ者かと思ったら高校の同級生の橋本君じゃありませんか!まあ、僕も自他共に認める悪人面ですが、ガラの悪さでは彼の足元にも及びません。聞けば彼もまた自宅と実家を津波に呑まれてしまい、幸い家族は無事だったものの不自由な避難所暮らしをしているのだった。
そんな彼に「頼むぞ!おめーに期待してんだからな!」などと言われた日には、がんばらなくてはいけません(コワイし)。
そんな男気あふれる彼がまとめるこの避難所。人数が多い分トラブルも多く大変だそうですが、そこは橋本氏のおかげで今まで訪問したなかでは一番落ち着いた感じがしました。公演も楽しい雰囲気の中進行し最後の【ほでなすブルースバンド】のときは踊りだす年配の方も多く見られ、大喝采の中での終演となりました。公演中に橋本氏と体育館の隅で話して(僕と彼が並んで話しているとシャレにならんほど雰囲気が悪いので人目につかないようにするため)いました。彼は淡々と話します。「ここにいる子供たちの一部は津波が来たときに学校に避難していて自分の住んでいる町や人が呑み込まれていくのを見てるんだ。ショックだったと思うよ。でも、その学校の校長が別の場所に避難していて自分達の町がどうなったかを見ていない子供たちを連れて、現場を見に行ったんだ。見なきゃ忘れる。見なきゃダメだってな。波を被ってない所の連中を見ろよ。もう過去の話になってるぜ。ここじゃ水が引いた以外は何も変わりがないんだけどな。震災直後に荒浜に2~300人の遺体が打ち上げられたって報道があっただろ。ありゃ、ここに来てる人たちが住んでるエリアだけど、実際の数字はそんなもんじゃねぇよ。だからここには家はもちろん家族もなくしてる人がたくさんいるんだ。まだまだ終わっちゃいねぇよ」そして彼はこう続けました「ここにいると頭がおかしくなってくる。気晴らしってもんがねぇんだ。だから今日はおまえらがくるのをみんな楽しみにしてたんだ」
感無量の一言。金も力もない。ましてやミュージシャンでもパフォーマーでもない無芸大食大酒呑みの僕如きでもちゃんと人様のお役に立てるじゃないか!
昨日、気仙沼からのオファーもありました。燃料が手に入り次第すぐに飛んでいきます。何処にだっていきます。被災された皆様の笑顔を取り戻すためならば!