星は銀河の中を長距離移動している?
Rebecca Carroll
for National Geographic News
September 18, 2008
現在われわれの太陽系近くを取り巻く星々も、生まれた当時は全く別の場所にあったのかもしれない。銀河系の星の約半数は、銀河系の中を長距離移動していることが、新しい研究結果から示唆された。この研究によると、太陽も旅の仲間に含まれている可能性がある
「星は、いったん銀河の円盤内に形成されると、その後はその銀河の中心を軸に多かれ少なかれ固定的な円軌道で回り続けると考えられてきた。だが、実際にはもっと複雑で興味深い仕組みがあるようだ」と、研究チームのリーダーでワシントン大学天文学専攻の大学院生ロク・ロシュカー氏は語る。
同研究チームは、質量、サイズ、力学的な面でわれわれの銀河系に似た仮想の銀河を想定し、過去100億年分の動向についてコンピューター上でシミュレーションした。その結果、適正な条件下では、銀河系の渦状の腕が星の円形軌道の大小に影響を与えている可能性が示唆されたという。
「今回のシミュレーション結果は、かねて提唱されていた星の移動説を支持するものだ。星は銀河を回る円形軌道を維持する一方で、銀河の中心に近づく、あるいは中心から離れる方向へ移動している可能性がある」と同氏は説明する。
また、われわれの太陽も50%の確率で移動しているという結果が出た。太陽から130光年以内にある星の約半数が、同様に長距離移動をしているという。このシミュレーションモデルは、10万時間を超えるコンピューター計算を基に作成された。
星は形成時に周囲から引き寄せた重金属などの物質で構成されているため、従来は分光器色解析で成分を導出し、そこから星の生まれた位置が推定されてきた。
ところが、今回のシミュレーションが正しいとすると、星の誕生した位置と現時点で観測される位置には差異が生じているケースがあることになり、従来のような成分に基づく位置分析も困難なものになる。「今後は銀河考古学などという分野も必要になってくるかもしれない。研究はますます複雑になる」と同氏は話している。
Rebecca Carroll
for National Geographic News
September 18, 2008
現在われわれの太陽系近くを取り巻く星々も、生まれた当時は全く別の場所にあったのかもしれない。銀河系の星の約半数は、銀河系の中を長距離移動していることが、新しい研究結果から示唆された。この研究によると、太陽も旅の仲間に含まれている可能性がある
「星は、いったん銀河の円盤内に形成されると、その後はその銀河の中心を軸に多かれ少なかれ固定的な円軌道で回り続けると考えられてきた。だが、実際にはもっと複雑で興味深い仕組みがあるようだ」と、研究チームのリーダーでワシントン大学天文学専攻の大学院生ロク・ロシュカー氏は語る。
同研究チームは、質量、サイズ、力学的な面でわれわれの銀河系に似た仮想の銀河を想定し、過去100億年分の動向についてコンピューター上でシミュレーションした。その結果、適正な条件下では、銀河系の渦状の腕が星の円形軌道の大小に影響を与えている可能性が示唆されたという。
「今回のシミュレーション結果は、かねて提唱されていた星の移動説を支持するものだ。星は銀河を回る円形軌道を維持する一方で、銀河の中心に近づく、あるいは中心から離れる方向へ移動している可能性がある」と同氏は説明する。
また、われわれの太陽も50%の確率で移動しているという結果が出た。太陽から130光年以内にある星の約半数が、同様に長距離移動をしているという。このシミュレーションモデルは、10万時間を超えるコンピューター計算を基に作成された。
星は形成時に周囲から引き寄せた重金属などの物質で構成されているため、従来は分光器色解析で成分を導出し、そこから星の生まれた位置が推定されてきた。
ところが、今回のシミュレーションが正しいとすると、星の誕生した位置と現時点で観測される位置には差異が生じているケースがあることになり、従来のような成分に基づく位置分析も困難なものになる。「今後は銀河考古学などという分野も必要になってくるかもしれない。研究はますます複雑になる」と同氏は話している。