台風19号

2019-10-17 21:06:27 | 日記
「息子は帰ってる?台風が来てるからね。ああ、今帰ったのね。良かった。じゃあ電話切るからね。」

 台風19号が首都圏に迫る12日の朝、千葉の老人ホームに入居している母から、僕の安否を心配して自宅に電話がきました。僕は、夜勤明けで既に帰宅してシャワーを浴びていて、電話には妻が対応して、母に僕の無事を伝えました。50過ぎの僕は、齢80になる母から見れば、まだまだ危なっかしい子どものようです。



 僕は、認知症高齢者グループホームで介護の仕事をしています。職場で防火管理者を務め、火災や震災の危機管理を任されています。阪神大震災や東日本大震災の教訓は「認知症高齢者や自閉症の方は、行政指定の避難所で相当辛い避難生活を強いられる。」ことです。この教訓から、職場のグループホームでの避難計画は「行政指定の避難所へ避難せずに、グループホームを避難所とする。」です。幸いグループホームの建物は以前病院だったので、あちこち老朽化してますが建物自体は頑強です。常時、避難生活に必要な食料、飲料水、物資を相当数確保しておきます。特に、リハビリパンツ(紙オムツ)は必須です。電源喪失に備え10個以上の懐中電灯及び各種電池、炊事用の卓上型コンロ及びガスボンベも必須です。そして、管理者不在時でも、グループホームが機能するようにマニュアルも整備します。災害時は、グループホームに「籠城」する覚悟です。しかし、致命的なことは、籠城することが避難計画の骨子であるのに発電機を設備していないことです。特に、7月、8月、9月の真夏の電源喪失の熱中症対策に発電機は必須です。来年の夏までには発電機を購入したいと考えてます。

 今回の台風19号は、直撃12日当夜の遅番と夜勤の職員が鉄道の計画運休のため通勤不可能となっていたため、替わりの職員を配置すべく前日に手配りしました。12日朝、夜勤明けの僕は、台風上陸寸前に職場から脱出して計画運休前に無事帰宅できた訳です。



 しかし、齢90台の方々にとって急激な気圧、湿度、温度の変化は体調に著しく影響を与え、台風一過後に体調不良になる方が続出しています。「大きな台風の後は、高齢者が体調を崩す。」この教訓は来年の台風襲来時に生かしたいと思います。

 また、駅前のコンビニでは15日になっても商品の補充がされてなかったり、○○生協の品物が欠品したり、台風の被害の少ない都内某所でも物流にダメージを受けていました。大切なことは「震災の備えと台風の備えは同じ。」であることです。震災は予測できませんが、台風は来襲が予測できます。必要な物資は事前に備えておくことを心掛けましょう。しかし、河川の氾濫や堤防の決壊は非情です。古の戦国時代に、最強の大量破壊兵器は河川を意図的に決壊させた「水攻め」「大洪水」でした。この大量破壊兵器に対して、現代のテクノロジーを用いても成す術がありません。

 多くの方々が気づいているように、昨今の異常気象は、近代文明の代償です。僕たちが生活態度を改めなければ、神様の絶滅危惧種のノートの筆頭に「人類」と書き込まれてしまうでしょう。

 幼い頃、母が語ってくれた物語を思い出しました。果して今回は、皆が方舟に乗ることができるのか、それとも選ばれた者だけが方舟に乗ることになるのでしょうか?

理事 佐藤 信行