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値崩れしたワゴン入りゲームは小売店の大損か?

2008-08-23 01:13:42 | 業界のハナシ
ネット掲示板を見ているとよく目にするのが
ワゴンで特価販売されているゲームソフトの話。
いわゆる「値崩れ」は「供給が需要を大きく上回った」ときに起こることは
説明するまでもありませんが、ゲーム流通で値崩れが起こるのは
いったいどういうときでしょう?
特価品は全て小売店が損をしているのでしょうか?

今回は「特価ソフト」の発生タイプについて少し紹介します。


(1)小売店が損をする特価品
小売店の仕入れ担当者が「20本は売れるだろう」と見込んで仕入れたものの
5本しか売れなかった。このまま通常価格で売っても売れそうも無い。
発売日に飛ぶように売れたからたくさん追加で仕入れたのに、その後は全く売れなくなった。
というときに、在庫を処分・整理するため、値段を下げて売るパターンがこれです。
当然、お店側は損をします。新品ゲームソフトの仕入れ価格は
通常70%~78%程度なので、それ以上の割引になると赤字ということになります。


(2)2次問屋が損をする特価品
2次問屋の「お客さん」は小売店です。
新作も小売店からの追加受注に備えて多めに在庫を持ちますので、
その見込みが外れてしまうと「不良在庫」となってしまいます。
この不良在庫を、「他で値崩れが起きて錆付いてしまう前に」と、
早めに特価で小売店に案内・放出し、在庫数を調整することがあります。
また、期末にも在庫処分や売上アップのために特価放出を行う問屋もあります。
そうして小売店に出荷された商品が、店頭で特価ソフトとして販売されます。
小売店は問屋から特価で仕入れているので、仕入れ値以上で売れば、
仮に一見激安であっても、ちゃんと利益は出ていることになります。


(3)メーカー系問屋が放出した特価品
メーカー系問屋は、小売店や問屋からの発注を受けて商品を出荷しますが、
発注を受けてから生産するわけにはいきませんし、新作に関しても
発注数だけ用意したのでは数が足りなくなり、機会損失が起こる可能性が高いです。
そのため、今後の発注を見込んで、多めに生産・追加生産を行い在庫を持ちます。
その見込みほどの発注が来なければ、「不良在庫」ということになります。
不良在庫が発生しても、その性質上、問屋ほどすぐに見切りをつけたりはしませんが、
メーカーによっては徐々に値段を下げたり、一気に特価で放出したりすることがあります。
これが小売店で特価品として販売されるわけです。
「これ、どこの店でも新品で安く売ってるなあ」というソフトがありますが、
それはこの(3)に該当する可能性が高いです。



特価品は小売店が損をするパターンだけではなく、
得をするパターンも存在するということがおわかりいただけたでしょうか。

ではここでそれぞれの特徴をまとめてみましょう。

(1)の特徴
・小売店が損をする
・メーカーや問屋は既に小売店に「販売」しているので、損はしない
・他の店では特価販売されないようなソフトが安売りされることがある

(2)の特徴
・問屋が損をする
・小売店はうまく売れば利益が得られる
・メーカーは既に問屋に「販売」しているので、損はしない
・その系列の問屋と取引している小売店で同じようなソフトが安売りされる

(3)の特徴
・メーカーが問屋や小売に特価で販売する
・小売店や問屋はうまく売れば利益が得られる
・規模が大きい場合が多いので、日本全国で同じようなソフトが安く売られる
・「よく放出するメーカー」がワゴンの常連になる

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