アンファン宣言の取材記事ブログ

アンファン宣言 新川明日菜と光本歩が
子どもの立場の声を取材記事にしてブログに配信していきます。

ケース8 父子離婚家庭 ~ぼくはお父さんみたいになる~

2010-04-20 15:19:27 | 日記




こんにちは。光本歩です。


昨日はNPO法人Winkがつくった記念日、「養育費の日」でした。
アンファン宣言もトークセッションを行いました。
会場に来ていただき、このブログをみてくれている方も
いらっしゃるかもしれないですね。



本日はアンファン宣言の取材が始まって以来初の、父子家庭の男の子に取材しました。



***********************



颯太くんは現在小学5年生。
颯太君のお父さんは学校の先生をしており、
私が塾を立ち上げる際にお世話になった方です。
そういうわけで、私は颯太君のお父さんに、よく話を聞いていました。



【お父さんに聞いたこと】

「9年前に私達夫婦は離婚しました。颯太が2歳の誕生日を迎える前のことです。」
お父さんは話してくれました。

「お互い教師をやっていて、仕事が一番だったんです。」
夫婦共々、小学校の先生。
そして当時は別の小学校でお互いに6年生の担任をされていました。

「颯太が産まれたにも関わらず、家族の時間はほぼゼロ。もともとどちらも育児休暇をとる予定はなかったんです。むしろ妻は『この子が産まれても仕事がしたい・・大丈夫かしら』と子育てよりも仕事復帰を心配していたんです。」

颯太君を妊娠したことがわかったときに、夫婦は新しい命が宿ったことにとても喜んだと言います。しかし、

「ずっと教師になることが夢だったし、自分の生徒も自分の子どものように可愛がっていたから、辞めたくも休みたくもなかった。」

私も将来の夢は学校の先生になることでした。
だから、その気持ちは分からなくもありませんでした。

でも、育てられるかどうかという不安な気持ちがあったのに、“颯太君を産んだのは何故?”私は聞いてみました。

「本当に無責任を承知ですが、率直にいうと、中絶に抵抗があったからなんです・・」

私は寂しく思いました。もちろん颯太君の妊娠は嬉しかった。でも、それが仕事との兼ね合いを考えない結果だったこと。お父さんは振り返って言います。

「颯太には本当に申し訳ないことをしたと思っているし、反省している。だからこそ颯太は僕の手で、必ず幸せにします。」

夫婦はそうして、颯太君に手をかけられない日々を原因に喧嘩が続いたと言います。
「颯太のことは2人とも愛している。でも、すれ違いからパートナーを嫌いになってしまったんです。」
その後、夫婦は離婚しました。

「颯太は僕たちのことを好きではないと思う。」お父さんはそう言います。
「でも仕方ないと思っている。好きになってもらう資格はないんですよ。」



・・・・さあ、颯太君に話を聞いてみましょうか。




【リコンしてないみたいなんだよ!】


颯太君は1人でいる時間がとても多いです。
お父さんは小学校の先生を続けていて、朝も早く夜も遅い。

寂しくない?と聞いてみました。
「寂しくないよ」

ママとは会ったりするの?
「おうちが近いから毎日会うよ。週に一回一緒に御飯も食べるし。リコンしてないみたい!パパとママはとってもなかよしだよ。」

そっか!離婚したのはパパにきいたの?
「ぼくが2さいくらいのときにリコンしたんだよ~。ぼく覚えてるよ!」

私はとても驚きました。

覚えてるの!?すごい!!
「あのときはパパとママはいつも喧嘩してた。リコンしてからのほうが仲良しだよ。リコンしてよかった~。」

きらきらした笑顔で素直に話す颯太君。
同時に颯太君は、とてもしっかりして見えました。

「ママとはお出かけもするよ。その時ぼくにおこづかいもくれる。パパにもいつもおこづかいを封筒にいれて渡してるよ。」

養育費の事です。お父さんから聞いていました。月に一度5万円を元妻からもらっているんだそうです。『子育てより仕事を選んだ身分ですから、お金くらいはきちんと』と。




【もういやだって思わないよ】


「もっとちっちゃい時は、ママがいないのがとっても嫌だった。」
颯太君は教えてくれました。

「なんでママはいないのって、パパに聞いたらお仕事だって嘘つかれたの」
颯太君は全て知っていました。パパが嘘をついたことも、ママは戻ってこないことも。

颯太君は何てパパに言ったの?
「うそつきはどろぼうの始まりだよ~って(笑)」
笑いながら颯太君は言いました。

それって何歳くらいの時?
「小学校はいった時くらい。」

子どもは良く覚えているものですね。
それに親のことをよく見ている。
昨日の養育費の日のイベントでもお話しましたが、まさに“子どもは親が思っている以上に子どもじゃないな”と改めて感じました。

「でももう5年生だし、放課後クラブもあるから寂しくない」

パパに早く帰ってきてほしいとか思わないの?
「パパはお仕事忙しいから。ぼくの先生もいつも“ざんぎょう”してる。パパもおんなじ。」




【お父さんへの気持ち】


一番聞きたいことを聞いてみます。
“颯太君、お父さんのこと、好き?”

お父さんは、先述にもあったように、「颯太はお父さんが嫌い」と思っています。
颯太君の本当の気持ちは・・・


「好き。お休みの日はキャッチボールしたり、一緒に掃除したりする。ママにも会わせてくれるし」


私はほほえましかったのと同時に、“ママにも会わせてくれるし”という部分に胸を打たれました。あえて聞きませんでしたが、颯太君の中には「リコンしたら普通はママに会っちゃいけない」というイメージがあるのかもしれません。


また、子どもたちに取材すると、親の職業に憧れるケースが多いと感じます。
颯太君もそんな一人でした。

「パパみたいに先生になりたい」

どうして先生になりたいの?
「パパと一緒に働きたい」


颯太君のお父さん、颯太君はパパのことが大好きなようですよ。



アンファン宣言では、子どもたちに必ず聞く質問を用意しています。
颯太君にも少し噛み砕いて聞いていきました。
最後にこんなことを聞いてみました。


「颯太君のパパとママのリコンってさ、颯太君にはどんな影響があったと思う?寂しくなったとか、色々あると思うんだけど・・・」

颯太君はきっぱり言います。
「リコンはぼくには関係ない」

小学校5年生の子どもが言う言葉とは信じられませんでした。

きっと影響はたくさんあったと思います。
心の中にそれを上手く隠しているのかもしれません。



もちろん子どもにとっての親は、お父さんとお母さんの2人です。
今まで言ってきたように、その2人こそが一番信頼できる人で、一番近い存在の人で、一番大好きな人です。


でも、親の人生が子どもの人生ではないし、子どもの人生が親の人生ではない。


小学校5年生の颯太君は、立派にそれを理解しているようでした。




ケース7家族不仲家庭~家族って何?~

2010-04-10 11:13:14 | 日記
今回新川明日菜が取材をしてきたのは
山本あかねさん。
彼女は私たちの活動に興味を持ってくれ、一度だけ
交流会に参加してくれた25歳のOLさん。
美人で白い百合の花のような女性。

彼女が「うちは離婚したのは最近だけど、元々母子家庭のようなものだった」
「家庭環境は子どもの恋愛観、将来の家庭感に影響する」
と言った発言の真相が聞きたくて取材をお願いしました。
私自身、彼女とすごく気が合うような気がしました。

休日の晴れたお昼に、お洒落なランチのお店に入った私たちは
まず、取材は後にして、ランチをしながらお互いについて話をしました。
そこで一番共感した話題は「家庭環境は子どもの恋愛観、将来の家庭感に影響する」。

“付き合った人を信じることができない”
“必要以上に相手を束縛してしまう”
“甘え方、頼りかたがわからない”
あかねさんはそう話してくれました。


あかねさんのお父さんは会社経営者。物心ついた時から不倫を繰り返し、
いつも家にはお母さんと二人っきり。“母子家庭のような生活”でした。
経済的には不自由することなく、大学に進学したのち、フランスに2年間の
留学。現在は企業に就職してバリバリ働くOLです。


【本当に愛し合って結婚したの?】

物心ついた時からお父さんは外に女がいたんだよね?
そもそも親が結婚してどれくらいで、あかねさんが生まれたの?

「ちょうど1年後くらい。父親が30で母親が23、
結婚前にあんまり付き合いとかもしてないと思う」

そういう恋愛の話とか親に聞かないんだ?

「うん全然聞かない。小さい頃は無邪気に聞いたりしたこともあるし
父親と母親がどうやって出会ったかくらいは知ってるけど
なんか親の恋愛観とかは聞けなかったね。」

“だって生々しく仲が悪かったからさ”

物心ついたときって何歳の頃?

「たぶん一番最初に、母親から“父親は外におんなの人がいる”って
聞いたのは小学校3年くらいかな」

「仲のいい二人の姿を見たことがないの。だからほんとうに愛があったのか?
ってのが私にはわからないんだよね。父親が母親にすごく一目ぼれして追いかけて結婚したのは聞いたけど
で??その後は??みたいな(笑)

母親に「なんで父親と結婚したの?」って聞いたら「楽そうだったから」って。
それもよくわからないし、うーん、謎なんだよねほんとうに。
父親と母親が仲良く会話をしてるってイメージは小さい頃からないし
母親が父親を褒めたりとかその反対とか一切聞いたことがないと思うの。」

書いてもらったアンケートで、親の離婚について聞きたくても
聞けなかったことはありますか?の欄に
「本当に愛し合って結婚したのか。修復しようとしなかったのか」
と書いてありました。取材の中でも何回も出てきた「謎、わからない」
の言葉。


【記憶がない】

「小学校3年生で父親の浮気の事実を聞かされて…
…基本的にその前の記憶とかあんまないじゃん?」

ないんだ??幼稚園のころの記憶とかも??

「えー、うん。その前の家族の記憶とかがないんだよね…
だからもともと団欒のある家庭じゃなかったのかもしれない。
父親も忙しかったし、別に父親と母親の共通の趣味とかもなかったと思うし」

「団欒って記憶がなくて、わりと記憶がある頃になったら
もう“そういう状態”だったから。」

えっ、でもさ幼稚園時代とかの記憶って普通あるよね??

「ゼロではないけどほんとうにないんだよね…。
それが親の家庭の環境と関係があるのかわからないけど、ほんとうに
覚えてない。幼稚園の劇でどんな役やったとか、あっ、あとおじいちゃんとおばあちゃんにすごく可愛がってもらったとかの記憶はあるけど…
家族でご飯食べたりした記憶もないなぁ。」

あかねさんは「覚えていない」と言う。
小学校3年生以前の家族の記憶がないなんて普通はありえないと思う。
きっと忘れたいことだから、忘れてしまったんだ。
今まで取材した子達みんなが口を揃えて言うように。


【父親の存在】

それで、自分とお父さんとの交流って物心ついたときからないの?

「うん。お互いどうしていいかわからなかったとは思うんだけど。
普段から一緒にいないと話すこともなくなってくるじゃん。
父親とはほんとうに何を話した記憶もないんだよね。きまずいよね。
父親と母親自身もコミニケーションが下手な人なんだって大人になってから
思うけど。ほんと昔からそんな感じだった。」

「父親も父親で、なんていうのかな、お金があったから経済的な問題は
何もなかったけど、物質的なことで解決しようとする人だったの。
ご飯に連れていけばいいとか、旅行に連れて行けばいいとか。」
でもだからってそこにちゃんと会話があるかとか、そういうのって別じゃん。


「小さい頃から親が自分に心を開いてるとか自分が親に心を開いてるとか、
そういう事実はない。」

あかねさんにとって、父親は“お父さん”ではなく、
ただの自分の血の繋がりのある人。

世間でいう父親とはどういう
存在なのか?それがわからない。
両親揃った家庭でも家族が家族でないケースがあるんです。

【母親との間の溝】

じゃあほんとに母子家庭みたいな感じでお母さんと2人だったんだね。
さっき会話で、お母さんとは微妙な関係って言ってたけど…?

「うん、母親は過保護すぎるんだよね。たぶん小さい頃は、すごく仲よかったんだと思うの。母親がいないと不安だくらいの、
寂しがり屋で不安定な子どもだったと思う。けど、やっぱり大人になってくると束縛されることに息苦しくなってある時ちょっと大喧嘩をして…」

なんで??

「なんでだっけな、たぶん門限がどうのこうのって話だったと思うんだけど
そのときに、今まで思ってたこととか全部出ちゃって…

「今までずっと父親が家にいなくて、母親のことが可愛そう
だと思ってたから、門限とか言う事全部聞いていい子でいたけど、もう嫌だ!」

みたいなこと言って、そしたら「そんな可愛そうなんて思われてるなんて嫌だ」
って母親が泣きだして…ちょっと激しくもめたんだよね。
そのときにどうしても、家庭の話になって、なんかお互いに、もう知らない!
みたいになったのね。それ以来ずっと親とは溝がある」

「それがたぶんね二十歳、二十一くらいかな。それまでは色々ありつつも
うまくやってたけど、それ依頼、ずっと積み重なっていたものが私は
限界になっちゃって、今は一緒に住んでるけど全然ひとり。」

でもなぜ今でも家を出ないの?って聞いた私に

母親は私が出て行ったら一人になるし、どうしていいかわからない。
仕方ないけど、今は考えたくない。と言っていました。


【父親の不倫について】

物心ついた時からそれを聞いて、どう思ってたの?

「そりゃあ他に女がいるって聞いてすごいショックだったよ。
すごいショックだったけど…どうしようもないじゃん。
すでに父親と母親で揉めてるから私が父親を攻める必要もないじゃん。
そこに私が加わっても物事がこじれるだけだと思って、なんか黙ってたのかなぁ。
いつも私の目の前で、生々しく離婚の話し合いみたいなことしてたけど
その度に父親は、別れたくないって言ってたんだよね。

離婚に至るまでに、女は何人かいたと思う。
で、女ができるとその女にマンション借りてあげて自分もそこにいるみたいなのを繰り返していた。
そんな父親が女と別れたからってたまに家に戻ってきたって話すこともないじゃん。どうしていいかわからないじゃん。」

お母さんは別れようと思わなかったのかね?

「母親はずっと専業主婦だから、たぶん別れても
やっていけないってのがあったんだと思うし、でもどう思ってたんだろうね。
どうにかなると思ってたのかね。でもそんなの繰り返してたらさ愛情とか冷めそう
じゃん。どうするつもりだったのかね。ほんとわかんないんだよねその辺が。」

【離婚は突然終わっていた】

で、実際に離婚したのは最近って聞いたけど…?

「そう、大学出てからフランスに留学行ってたのね。
それであるとき、いつものように不倫をしていた父親が不倫相手の
中国人の女の人と本気で結婚したいって言いだしたらしく、私がフランスにいる間に
気付いたら別れていたの。日本に一時帰国したときに家に父親の荷物がなくなっていて。」

えっ?!何も説明なかったんだ?

「何もなかった。で、パパは?って聞いたら「離婚しちゃったのごめんね」
って言われて、母親に土下座をされ…ちょっとねそれも辛かった。

それからは何にも聞いてない。で、父親は手紙を書いてたんだよね私に。
何書いてあったか忘れたけど。たぶんごめんねみたいなことが書いてあったと
思う。内容は覚えてない。なんか見たくなかったの。泣いちゃうなと思って。
それが22か23歳頃かな。」

結局父親はその中国人ともすぐ別れたみたいだけど。



【会っても気まずいだけ】

それからお父さんとは会った?

「えーたぶん離婚してから3回くらいは会ったのかなぁ。」

ふたりで??

「いや、ふたりでご飯とか面会チックな感じじゃなくって、父親がうちに用が合ってふらっと来るみたいな感じで。
でも別に話すことないし話したくないしさ、降りていかなかったこともドア開けなかったこともあるよ。」

それは怒り??

「いや、気まずいからさ。話すことないじゃん。」

そっか、父親って感じでもないのか。

「そう、ただ精子もらった人みたいな(笑)」
お金以外、何もしてもらったことないからね。
お金もありがたいことだし留学して大学院まで入れてもらったけど、なんか違うじゃん。
そういうことじゃないんだよってすごい思うから。ほんとに。そこじゃないよ。」

今だにお父さんは生活費払ってるの??

「うん、たぶん。そこはよくわかんないんだよね。あんまり聞けない。
いくら入ってるかとか知らないし、遺産とかどうなるかとかも全然知らないし。
家が全部そのまんまでってのが、たぶん慰謝料代わり?」

そういう話は親とできないんだ??
「うんできない…いつかしないといけないのかなって思うけど、自分が泣いちゃいそう
、だから絶対まだ聞けないね。このまま聞けないで終わるかもしれないね。」

【家庭環境と恋愛観】

さっきの話しだけど、家庭環境は子どもの恋愛観、将来の家庭感に影響する
って話しね。

「そう…私ね、誰かを大事にするとか、愛するとか、人の面倒の見方とか
そういうのがわからないの。」

人の面倒の見方??

「なんていうのかな、何をしてあげることが愛なのかっていうのもあるし。」

それは同性だと問題ない??

「うーん、同性だとないんじゃないかな。でも私あんまり女の子の友達いないんだけどね(笑)
こういう真面目な語りのができるのは男の人ばっかりなんだよね。
女の子で仲いい子は5人とかじゃないかな。もちろん友達は沢山いるし
会社の人ともうまくやってるけど、基本的に人に心を開かないのかな。
だから甘えるとか、心を開くとかは苦手かもねやっぱり。」

「相手にどこまで踏み込んでいいのかもわからない。親に対してもそうだけど。
ぶつかるとかもできないしね。どうすればいいんだろうね。」

じゃあパートナーに何を求める??

「うーん。安心できる人で…全部話し合える人がいい。
コミニケーションが成り立つ人がいいね。誰とも交わした覚えがない気がするけど、
話し合いがちゃんとできて、話し合えば解決ができる人がいい。」

でものりかさんの今の悩みは、男性を信用できない。
甘える、頼ることができない。
それは私も大変共感することでした。母と父が愛し合って続いている姿を
見たことがないから、そんなものが存在するのか自体が信じられないんだと思う。


家庭のこと悩んだときはどうしてたの?

「本を読んでた。ひとり解決。でも解決できてないからこういう大人になってるんだけど(笑)
今でもそうかな。本読むか寝ちゃうかどっちか。」

そのとき彼にわーって気持ちを聞いてもらうとかはない??

「ないない。ゼロではないけど100%でそういう気持ちを
出したことがあるかって言われるとないかな。なんか引かれそうじゃん。
しかもそういう家庭に育ってるってこと自体がなんのメリットもないじゃん。
結婚とかするにしても片親だってことは何の得にもならないと思うし、
むしろ障害になるもんね。」

「だからほんとうに言えないねぇ。。
最近ほんとに結婚を考える歳になって、影響があるっていうか、
自分の中で過去っていうのは大きいんだなっていうのはすごい思う。

「付き合う人に保護者的なものを求めるかな。おかしいけど…
無条件に受け入れてほしいっておもってるんだよね。
親が子供にするみたいに。
家族レベルの近さを相手に求めちゃって、でも家族って何かよくわかってないから
幻想のものすごい100%の家族を相手に求めすぎてうまくいかないって
いうのがあるかもしれないね。

たぶんさ普通の仲のいい家族でもさ、絶対みんな100%ではないはずじゃん。
ケンカしたりとか、距離があったりとかあると思うけど、そういう経験がないから
自分の想像した100%の理想しかなくて…
100%のものが欲しいじゃん。昔なかったからますます欲しいじゃん。
だからほんとに理想が高くなっちゃって。」

【幸せの定義】

「たぶんさ幸せってこういうものなんだっていうのって、小さいときの
家族の中で生まれるもののような気がするのね。
だからその人自身の幸せの定義が家族の中で形成されるとしたら
持ってないわけじゃん、そういうのを。

幸せになり方がわからないっていうか
何が幸せかわからないってのが私はすごいあるの。
ご飯がおいしいとか楽しいことをしてるとか、そういうのは幸せだと感じるけど、もっとこう大きな、大前提の幸せ?
がなんなのかな?ってのがすごいあるかも。不安定なんだろうね。」

私たち大変だねこれからが。
どうしよう~結婚できないかもしれない~
子どもは欲しいけど、家庭って何かの実感がないから~
そもそも、自分が子どもを持つ自信もないよね~

なんて話はつきませんでした。

【思い描く家庭像】

じゃあ思い描く家庭像は?

「仕事があるから毎日早く帰ってきてほしいとかは
ないけど、理由ない外泊とかはもちろんしないで、私との家庭を
居場所だと思ってくれて普通の会話をして、たまには出かけたり
とかもできて、私のことを必要だと思ってくれる人がいいよね。
いてもいなくてもいいみたいなのは絶対嫌だし、“どうしても私のことを
必要としてくれる人”がいい。私が愛されてる実感をちゃんとくれる人がいい。
お互い愛し合っていることが信じられる人だよね。そういう人がいいなぁ。」

周りに同じような友達とか話す友達はいる?

「うーん一人いるけど男の子で、わりと最近両親が離婚して、
自分と同じような立場すぎて、逆に気をつかっちゃって細かい話しはしたことないね。
あんまり聞かれたくないしさ。その人も困るだろうなと思って。」

取材が終わって、お互いがんばろうね!
素敵な家庭を築くために!なんて話しながら歩いていると

エレベーターに乗る時に、あかねさんが一言。

「でも…自分のこういう家庭環境とか生い立ちってマイナス要素じゃん。
だからわざわざ自分を下げることって知られたくないよね。」



あかねさんのケースの場合、問題なのは両親の離婚じゃない。
お父さんとの関係、両親の関係、家族の関係が問題。
“家庭”が元々なかった。“父親”ってどんな存在?
どうして結婚して、どうして私を産んだの?

そんな疑問を抱き続けて、あかねさんは今でも
その答えを聞くことはできていません。

育った家庭環境が
子どもの結婚観や将来にまで影響するって知っていましたか?