アンファン宣言の取材記事ブログ

アンファン宣言 新川明日菜と光本歩が
子どもの立場の声を取材記事にしてブログに配信していきます。

ケース9~母ちゃんと親父と母ちゃんの元カレ~

2010-05-11 14:32:27 | 日記
今回は新川明日菜が取材してきました。
私が取材をしてきたのは21歳のさとし君。
さとし君は私にとって地元の後輩にあたります。
私は彼のお母さんとも面識があります。
彼の家族構成や家庭状況は身近に知っていたので、あまり深い話を
することは聞いちゃいけない気がして避けていたこともあります。
少し奇妙な家庭環境にあったからです。

さとし君と知り合ってから、私はその変わったな家族関係を知りました。
当時、さとし君は高校生、お兄ちゃん・お姉ちゃんはすでに家を出ており
お母さん、妹、さとし君、お父さんで住んでいました。
でも家にお父さんの姿はいつもなく、さとし君の家族の傍には
お母さんの元カレ、ヒゲさんがいつも一緒にいました。
まるでヒゲさんと妹は親子のようにいつも一緒にいました。
でもヒゲさんは結婚をしており、妻がいました。

そして、さとし君のお父さんが家に帰ってくるのは月に1度程度。

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さとし君と会って話をしたのは2、3年ぶり。
取材をさせてほしいという話になんのためらいもなく
地元の居酒屋でビールを淡々と喉に流し込みながら、話をしてくれました。


ええっと。。何から聞けばいいかとまどうね…
こういう話を改めてしたこともないもんね(笑)
まず…家族構成から教えて。
親父、母ちゃん、兄貴が25で姉ちゃんが29、妹が14歳。

【妹は母ちゃんの元カレとの子】

さとし君の一番下の14歳の妹はお母さんの元カレ(ヒゲさん)との子。
自分とは父親違い。それをさとし君も兄弟も知っていました。
そしてお父さんもその事実を知っているようです。

そもそもさ、ヒゲさんはなんなの?
周りの誰もが抱く疑問と少しの怒りで私は聞きました。

「俺の知る限りでは母ちゃんの元カレ」

ヒゲさんはいつから傍にいたの?

「妹が生まれてからずっと、今考えると…そう。
妹が生まれるちょっと前位からだと思う。
初めは知らないおじさんみたいな。
こいつ誰?的な。」

お父さんはヒゲさんの存在を知ってるの?
会ったことあるの?

「あるよ。」

えっ?!どういう成り行きで?

「よく知らないけど。」

お父さんはヒゲさんの存在を認知してたってこと?

「うん。」

妹はヒゲさんの子なんでしょ?
さとし君はなんでそれを知ったの?お母さんから言われたの?

「勝手に気付いただけだよ。
親父もその話はしないし、家族も誰もその話はしないけどみんなわかってる。」

いつ気付いたの?

「俺が高校2年のとき。」

そんなに最近…
なんで気付いたの?

「学校で習ったの。血液型。」

じゃあ少なからず、ヒゲさんのこと疑っていたってこと?

「ううん。まったく。
ヒゲさんのことはただの元カレなんだなとしか
思ってなかった。母ちゃんが学生のときに付き合ってた人みたいな。
でも、血液型を知って何かが全部繋がって。」

疑ってはいなかったけど、疑問を抱えていたからこそ
血液型と出産の関係を知って気付いてしまったんだと思います。
それで?お姉ちゃんとかお兄ちゃんはなんて?

「兄弟同士その話はしない。妹にも言わない俺からは。
妹ももう気付いてるみたいだけど。」

妹は最近、その事実に気付き、ヒゲさんとの縁を切った
という話を聞きました。妹はどんな思いを抱えているんだろう。
一番問題を抱えているのは妹だと思います。

【手紙で知った離婚】

私は最近まで、さとし君の両親が離婚したことを知りませんでした。
両親はいつ離婚したの?なんで?

「えー、最近だよ。俺が二十歳になるのを待ってた。」

そうなんだ…お父さんはいつも存在なかったけど
あんまり家にいない人だったの?

「うんそうだよ。たまにしか。」

それずっと小さい時から?

「ガキの頃ってあんまりね覚えてないの。ガキの頃は曖昧ですね。
ポケモンやってたとか。ドラクエやったり保育園で落ちちゃったとか?
そういう記憶しか俺はない。」

いつからの記憶があるの?

「うんとね、保育園のときに家族でどっかに行った記憶はあるけど
どこかわからない。俺は一人で行方不明になっておおごとになった。」

そのときはお母さんとお父さんはまだ、仲良かったってことでしょ?

「わかんない。」

一緒に暮らしててさ、お母さんとお父さんがあんま仲良くないなとか思ってた?

「うん。ほんとうにダメだなって思ってた。物心ついたころには会話もしないし。
それに、俺が物心ついたころにはあの2人とも家にあんまりいませんでしたから。」

さとし君のお父さんは常に仕事で家におらず、お母さんは公務員をやりながら
近所の友達やヒゲさんと飲みに出てることが多かったようです。

「姉ちゃん兄ちゃんが子どもの時は家にいたらしい。
俺が子どもの時あたりからだんだんいなくなった。」

で、どうやって離婚を知ったの?

「手紙がきてたから。」

なんの手紙?

「市役所から離婚を受理しましたって手紙。
俺宛てかと思って開けたらその手紙だった(笑)」

お父さんは離婚して、帰ってこなくなったの?

「来るよ、うちには。」
今さとし君は家の近くで一人暮らしをしています。

じゃあ離婚したって言っても紙の問題だけ?

「ってか、俺の生活は離婚してもしなくても変わんないもん。
特になにも高校生からずっと一緒ですよ。
親権の問題が出てきちゃうので、二十歳すぎないと。
だから離婚は俺が二十歳になるのを待ってた。」

妹はそのこと知ってるの?

「ううん。知らない。それに妹と親父はあんまり。
会わないよあいつら。だって親父はあれだし。ずっと知ってるから。」

お父さんも妹が自分の子どもではないことを知っている。
でも私が一番不思議なのは、どうして親は子どもに何も伝えないんだろう?
どうしてお互いが何かを触れないようにしているんだろう?

【お母さんは話を逃げる】

お母さんとそういう話しないんだ。

「しないね。あいつそういう話逃げるもん。」

聞いた事ある?

「あるよ。カマかけたりすると『出かけてくんね~』みたいに話しそらす。」

どうやってカマかけるの?

「例えばでいうと、俺がそれを知った高校生のときくらいに妹に
『なんで私A型なの?』って無邪気に聞かれて、
知ってるか?A型からO型からは絶対に生まれないんだよ~ん」とか言ってみたり。
それを母ちゃんの前とかで言うと、話をそらす。そんであとで俺にめっちゃ八つ当たりしてくる。話そらしてキレてくるからこっちもキレて、みたいな。母ちゃんが泣いて、
目真っ赤にして「もういい」って話にならない。」

全部知ってるのに。知られていることを知っているのに。


【親父】

このあいだ親父の友達と飲んだのね。すごかったよ。
親父の友達はうちの状況全部知ってるからさ、言われたのが
「お前らは親がダメだけどすごい」って。

お父さんがいるまえで?(笑)お父さんはなんていうの?

「確かに親はダメだ」って。

お父さんはそんなにダメな人?

「ダメっちゃだめなんじゃん。
社会人としてはすげー優秀だけど。仕方ないんじゃん。
親父の環境もそうだったから。親父も親抜きで育ったようなもんらしいし。
親はいたけどね。子どもは放っておいても育つって言ってたし。
それを聞いたのもつい最近、先週だけど。」

でもお父さんに対して恨みとかはない?

「ない。」

もっとかまってほしかったとかもない?

「ない。俺親父に嫌われてたと思ってたもん。うちの上2人って優秀だったからさ。
なんか差があった。親父の態度が、上に対してと俺に対してと。
でも、最近は飲みにさそってきたりするから、
俺のことも好きなのかな?って気付いたけど。」

お父さんの口からも離婚のこと言ってこないの?

「うん。俺がその手紙を見てなかったら
気付かなかったと思う。封が開いてるから親父も俺が見たこと気付いてると思う。」

「17くらいのときに兄弟呼び出されたことがあって。親父に、夜。
離婚しようと思ってるけどどう思う?って言われて、俺ら3人どうでもいいから
どうぞ好きにすればみたいな。姉ちゃんと兄ちゃんも二十歳越えてたから私たち別に関係ないしみたいな。でも姉ちゃんが
『あぁこいつ関係ある』みたいになって。俺のことね。未成年だから親権の問題が。
だからたぶん離婚したのは俺が二十歳になるの待ってたんだと思う。」


【支えは友達だった】

めずらしい家庭だよね。

「うんよく言われる。
なんで親とそんな関係で普通にいられるの?って言われる。」

うん私も聞きたい、なんで?

「それは周りに恵まれたから。あいつらに俺は救われた。」

さとし君には地元の親友のような家族のようなそんな仲間がいます。
その親友もまた、家庭環境に少し苦労しています。

お互いそういう話ってするの?

「いやっ、しない。
例えば彼女と付き合ったときは『なんでそんな友達ばっかにお金使うの?』って言われて
俺はあいつらには返し切れない恩があるから。って」

でもそれは別にそういう話をするわけじゃないんでしょ?
ただ一緒にいるってこと?それが救われるってこと?

「そう。今考えると毎日のように会って、俺が荒れてる時も一緒にいてくれたし。
俺は家族で言うと姉ちゃんがいたから。俺にとったら姉ちゃんが母ちゃんだね。」

お母さんは?

「金はくれたよ。1日1000円。」

ご飯作って待ってるとかないの?

「ないよ。
俺が18で一人暮らししはじめてから、ご飯食べにくればとか言うようになったけど。
うち基本放置だよ。2カ月に1回くらいしかメールくれねぇやつが何言ってんのみたいな。」

お姉ちゃんとかはなんて言ってるの?そういうお母さんに対して。

「俺が高校入るまえにいなくなったから姉ちゃんは、なんで私が面倒みなきゃいけないの的な気持ちが合ったみたい。姉ちゃん・兄ちゃんのときは母ちゃんも割と家にいたらしいから。だけど俺が物心ついたころにはだんだんくずれたみたいな。
だから俺は親の愛ってのは金をあげることなんだった学んだんだよ。
放置されたんだなって気付いた。」

それって高校になってから?中学のときは?

「保護者面談とか外では表向きいいけど、家では普通になにもない。
小学生は家庭での記憶ってのはあんまない。覚えてない。よくわかんない。」


じゃあどうしてほしかった?お母さんっぽいことしてほしかった?

「いまさらだな…いまさらだね。」

でも、もしそれが元々あったらよかった?

「あったら?それを考えたことがねぇけど。」


お父さんのこともお母さんのことも恨んでいない。
俺には友達がいるしもう成人した。両親に過度な期待はしてない。
そんな印象が伝わってきました。でも愛されたいって願望が今でも強く残っている。
私にはそう感じました。幼児期の心残りがあるのかもしれません。

妹が心配だね、話聞こうか?って私が言うと

俺もこう見えて心配してんだよ。俺の妹だから俺が見るから大丈夫!
と頼もしい普通のお兄ちゃんでした。



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