未沙は艦長室で書類に眼を通していた。
振動波の分析以外にもやるべき事はたくさんあって、きりがない。
その中で、警察庁からの報告書に目が留まった。
『ゼントラーディ人の暴動がリン・ミンメイのPVが流れ出したのと同時期に減少した』とある。
グラフが所々に散りばめられた報告書。
ゼントラーディ人への”ミンメイ・アタック”はいまだ有効なのか。
現在、はぐれゼントラーディ軍との遭遇の際、使われる”ミンメイ・アタック”は、名はミンメイだが歌っているのは違うアーティストだ。
4ヶ月に一度、オーディションを開き、ミンメイ・アタック用に軍がPVを作成する。
それはアーティスト達にとって大事であり、音楽事務所などはこぞって歌手を斡旋してくる。
だが、肝心のミンメイは、まだ一度も応募されていない。
そんな事をしなくてもミンメイは”戦争を終わらせた歌姫”としての地位がある。
---それでもミンメイさんの歌にだけ反応するのは、何故なのかしら?
未沙は素直にそう思った。
ゼントラーディ人が初めて聴いた歌手だから、というだけではない何かが、あるような気がしてならなかった。
当のミンメイはライブの練習をしていた。
一日のほとんどをスタジオの中でバンドメンバーと打ち合わせをし、試行錯誤の演奏を繰り返している。
「じゃ、もっぺんいこかー!」
譜面を持ち、ミンメイがマイクスタンドの前に立つ。
永遠に咲く花を見せてあげるよ
そう言った貴方は
もう 遥か彼方へ
甘い愛は いつか都合よく
大きい愛とやらに
摩り替わって残される
歌いながらも頭に浮かぶベンジャミンと女性の姿。
ベンジャミンは友達と思いながらも自分以外の女といるというだけで胸がざわつく。
自然とミンメイの表情が曇り、それに気づいたメンバー達がふっと、演奏を止める。
「…?どうしたの?みんな」
ギターのジョージが大きな溜息をひとつこぼす。
「それはこっちの台詞だよ、ミンメイ。なんかあったんか~?ノッてないぜ」
「別に…何もないわよ」
ミンメイは唇を尖らせてそっぽを向いた。
「じゃあなんでそっぽ向くんだよ。なんかあったんだろ。吐け!」
「……ねえ、ジョージ」
「あん?」
ミンメイは両手の指を組み、少女のような仕草で眼だけをジョージへと向けた。
「あのさ…親友と思っている人がその…自分もその人にとって特別な存在であって欲しいって、思った事、ある?」
「んあ?」
思わぬ質問にジョージは素っ頓狂な声を出してしまった。
「だからその…親友だと思ってるけど、向こうはそう思ってないかもしれないって…」
恥ずかしげに指をもじもじさせながら話を続ける。
「………」
ジョージは一瞬目が点になったが、ミンメイが何を言わんとしているのかが見えてきた。そして「ぷっ」と吹きだしてしまうのだった。
「あっはははははは!」
「な、何よ!ジョージが話せって言ったんでしょ!」
「だ、だってミンメイ…あのミンメイがそんな小学生レベルな事で悩んでるなんて…ぷっくくく」
「しょ…小学生?!」
ひーひーと息を注ぎ、ジョージはなんとか呼吸を戻す。
「まあ、ミンメイはきっとひとりになった事なんか無かったんだろ。いつも誰かが側にいたんだろ?ミス・マクロスになる前にも、後にも」
「ひとりになった事くらい、あるわよ」
「あの”行方不明事件”か?そんなんひとりになった内に入らねーよ。一条中佐がいたんだろ?」
「…」
そう、ひとりでいた事なんか、なかった。
横浜でもマクロスでも、誰かいつも一緒にいておしゃべりしたり、遊んだり。
友達はいた。でも親友は、いなかった。
輝でさえ、友達のひとりで、親友とは呼んでいなかった。
ただ、決戦の直前に告白されて、それでまだ自分を好きでいてくれてると思ってすがりついた、あの日。
思い出して、考える程、嫌な女だ。私って。
「ま、誰もが通る道をやっと通り始めたってワケだ!とりあえず大事にしろよ、そいつ!」
暗くなりそうな空気を読んだのか、ジョージはミンメイの背中をバンバン叩いて笑った。
---親友。私はベンジャミンの”特別”な友人でありたい。そういう事なのかな…?
「それよか練習、練習!どうする?続きから行くか?」
はっ、とミンメイが我に返った。
「え?あ。…うん。んーと。始めからやり直そ」
OK!とジョージがメンバー全員に合図を送る。
イントロのピアノが鳴り始め、ミンメイは一瞬にして歌を歌う事に意識を集中した。
練習をやり直し始めたと同時に、軍の観測班が航行先に強い光を見つけた。
「至急、艦長に取次ぎをお願いします!」
その光は、最初はひとつの星かと思われたのだが、ゆるやかに大きくなっていっていた。
「何事です?!」
内線で呼ばれた未沙が、観測室へと飛び込んだ。
「それが…ただの恒星のひとつと思われていたのですが、恒星の光り方にしては妙なのです」
「妙?」
「光が強くなったり弱くなったりと色々…何より例の振動波が発せられたポイントと限りなく近い所に突如として現れたのです」
「?!なんですって?!」
振動波の分析以外にもやるべき事はたくさんあって、きりがない。
その中で、警察庁からの報告書に目が留まった。
『ゼントラーディ人の暴動がリン・ミンメイのPVが流れ出したのと同時期に減少した』とある。
グラフが所々に散りばめられた報告書。
ゼントラーディ人への”ミンメイ・アタック”はいまだ有効なのか。
現在、はぐれゼントラーディ軍との遭遇の際、使われる”ミンメイ・アタック”は、名はミンメイだが歌っているのは違うアーティストだ。
4ヶ月に一度、オーディションを開き、ミンメイ・アタック用に軍がPVを作成する。
それはアーティスト達にとって大事であり、音楽事務所などはこぞって歌手を斡旋してくる。
だが、肝心のミンメイは、まだ一度も応募されていない。
そんな事をしなくてもミンメイは”戦争を終わらせた歌姫”としての地位がある。
---それでもミンメイさんの歌にだけ反応するのは、何故なのかしら?
未沙は素直にそう思った。
ゼントラーディ人が初めて聴いた歌手だから、というだけではない何かが、あるような気がしてならなかった。
当のミンメイはライブの練習をしていた。
一日のほとんどをスタジオの中でバンドメンバーと打ち合わせをし、試行錯誤の演奏を繰り返している。
「じゃ、もっぺんいこかー!」
譜面を持ち、ミンメイがマイクスタンドの前に立つ。
永遠に咲く花を見せてあげるよ
そう言った貴方は
もう 遥か彼方へ
甘い愛は いつか都合よく
大きい愛とやらに
摩り替わって残される
歌いながらも頭に浮かぶベンジャミンと女性の姿。
ベンジャミンは友達と思いながらも自分以外の女といるというだけで胸がざわつく。
自然とミンメイの表情が曇り、それに気づいたメンバー達がふっと、演奏を止める。
「…?どうしたの?みんな」
ギターのジョージが大きな溜息をひとつこぼす。
「それはこっちの台詞だよ、ミンメイ。なんかあったんか~?ノッてないぜ」
「別に…何もないわよ」
ミンメイは唇を尖らせてそっぽを向いた。
「じゃあなんでそっぽ向くんだよ。なんかあったんだろ。吐け!」
「……ねえ、ジョージ」
「あん?」
ミンメイは両手の指を組み、少女のような仕草で眼だけをジョージへと向けた。
「あのさ…親友と思っている人がその…自分もその人にとって特別な存在であって欲しいって、思った事、ある?」
「んあ?」
思わぬ質問にジョージは素っ頓狂な声を出してしまった。
「だからその…親友だと思ってるけど、向こうはそう思ってないかもしれないって…」
恥ずかしげに指をもじもじさせながら話を続ける。
「………」
ジョージは一瞬目が点になったが、ミンメイが何を言わんとしているのかが見えてきた。そして「ぷっ」と吹きだしてしまうのだった。
「あっはははははは!」
「な、何よ!ジョージが話せって言ったんでしょ!」
「だ、だってミンメイ…あのミンメイがそんな小学生レベルな事で悩んでるなんて…ぷっくくく」
「しょ…小学生?!」
ひーひーと息を注ぎ、ジョージはなんとか呼吸を戻す。
「まあ、ミンメイはきっとひとりになった事なんか無かったんだろ。いつも誰かが側にいたんだろ?ミス・マクロスになる前にも、後にも」
「ひとりになった事くらい、あるわよ」
「あの”行方不明事件”か?そんなんひとりになった内に入らねーよ。一条中佐がいたんだろ?」
「…」
そう、ひとりでいた事なんか、なかった。
横浜でもマクロスでも、誰かいつも一緒にいておしゃべりしたり、遊んだり。
友達はいた。でも親友は、いなかった。
輝でさえ、友達のひとりで、親友とは呼んでいなかった。
ただ、決戦の直前に告白されて、それでまだ自分を好きでいてくれてると思ってすがりついた、あの日。
思い出して、考える程、嫌な女だ。私って。
「ま、誰もが通る道をやっと通り始めたってワケだ!とりあえず大事にしろよ、そいつ!」
暗くなりそうな空気を読んだのか、ジョージはミンメイの背中をバンバン叩いて笑った。
---親友。私はベンジャミンの”特別”な友人でありたい。そういう事なのかな…?
「それよか練習、練習!どうする?続きから行くか?」
はっ、とミンメイが我に返った。
「え?あ。…うん。んーと。始めからやり直そ」
OK!とジョージがメンバー全員に合図を送る。
イントロのピアノが鳴り始め、ミンメイは一瞬にして歌を歌う事に意識を集中した。
練習をやり直し始めたと同時に、軍の観測班が航行先に強い光を見つけた。
「至急、艦長に取次ぎをお願いします!」
その光は、最初はひとつの星かと思われたのだが、ゆるやかに大きくなっていっていた。
「何事です?!」
内線で呼ばれた未沙が、観測室へと飛び込んだ。
「それが…ただの恒星のひとつと思われていたのですが、恒星の光り方にしては妙なのです」
「妙?」
「光が強くなったり弱くなったりと色々…何より例の振動波が発せられたポイントと限りなく近い所に突如として現れたのです」
「?!なんですって?!」
ミンメイがどうなって行くのか、その展開が楽しみです。
色々大変だろうけれど、応援してます。
( ^ω^ )V
やっとです。会社変えたり、チーフになったり、倒れたり、と色々ありましたが(苦笑)ようやっと続きをアップできました~。
「あ~書かなきゃ~~」と思ってると書けないんですよね。あまのじゃく。
さてミンメイ。どうしてくれようか・・・じゃなくて、どうしようかwww
拍手レス
>ゆばさん
うん、ひとりぼっちを知らないからあれだけビッチになれたと思うの(爆)
えねっちけーの「の○自慢」のようなオケから、しっかりしたバンドメンバーになって、人間関係とかも学習してくれるでしょう。ウチのはw
秋空 女に メガ咲いた‼ ベベべ ベンジャミン!
落ち着くのか!(性格上 落ち着いてるけどね)
うまく いくと、壮大な 泥沼関係(マスコミ界限定)
次回が た の す みぃ~んo(^▽^)o
いやいや、まだ恋とは呼べない恋心(恋しい心)でございます。
どうなるかは、実は書いてる私も想像がつきません。マジで。