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『超時空要塞マクロス』(初代)輝×未沙中心だが
美味しい所はミンメイが持って行く二次創作(SS)ブログ。

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2007-12-10 | Dog Fight
ドアが開き、そこに立っている人物を見た瞬間、輝は机に下に隠れたくなった。
「そっ…そそそ、総司令?!」
グローバルは何も言わずずかずかと部屋に入り、ソファに腰を掛ける。
我に返った輝は急いで立ち上がり、敬礼を掲げた。
「お久しぶりです!」
挨拶をするも笑顔は引き攣っている。
全身から冷たい汗がだらだらと流れているのがわかる。
ぎくしゃくしながら輝は来客用のカップにコーヒーを注ぎ、グローバルへと差し出した。
手が震えているのでカップが揺れ、カタカタと音を出している。
「ど…どうぞ」
「うむ」
「総司令がアポロに来られる予定は聞いておりませんでしたが、何かありましたか?」
本当は理由なんて知っているが、建前で訊いてみる。
「いや、メガロードがどこまで出来ているか急に気になってな」
本当の理由はそんな事では無いが、建前を答える。
「そ、そうですか…」
冷や汗は止まらなかった。
「それに…」
心臓がどくん、と跳ねた。
「少々気になる事もあってな」
じろり、と輝を睨む。
---うわあぁぁ!やっぱりいぃ!
気をつけの姿勢のまま、泣きたくなった。
「まあ、掛けたまえ一条”くん”」
グローバルは輝に着席を促した。
「とりあえず話をしようじゃないか」
口元は軽い笑みを浮かべているが、瞳は笑っていない。帽子のツバに隠れて見えないが、輝にはそれがわかった。
「は、ははは…はい…」
輝は向かいのソファに座って小さくなった。

ビアージョが食堂に入るとイワンは先に食事を終えてコーヒーを飲んでいた。
「よお、ビアージョ。やっと終わりかよ」
「ああ、フランツがなかなかローリングループからの垂直上昇決められなくてさんざ付き合わされたよ。それよか、総司令がアポロに来るなんて、お前聞いてたか?」
「え?総司令が?何も聞いてないぞ」
ビアージョはイワンの向かいの席に座り、パスタをフォークに絡めながら話を続けた。
「隊長の部屋に入っていったけど…」
「マクロス宇宙航行の時からのバルキリー隊メンバーだからな、隊長は。激励にでもしに来たんじゃないか?」
「そんな感じじゃなかったような気もするけど」
そう言ってパスタを口の中に突っ込んだ。
「歯ごたえのあるパスタが食いてぇなぁ…」
「俺はでっかい具の入ったポルシチが恋しいよ…」
アポロに来て一ヵ月半。軍事基地内にあるレストランなどたかが知れている。
食文化と言うものを改めて知った二人だった。

「君は地球で早瀬くんと結婚を考えて交際をしていると言ってたね」
---きたーーーーっ!
心臓の動きと汗の量が一瞬にして倍になった。
「は、はい!実は先日、早瀬中佐に結婚を申し込みまして、今度の休暇には総司令に挨拶に伺おうと思っておりましたっ」
グローバルの意地悪な質問に「知ってるクセに!意地悪!」と思いながらそつの無い答えを返す。
「何故だ?」
「何故って…」
「じゃあ何故、早瀬くんが泣き疲れた顔をして地球に帰ってきたのかね?」
「!!」
脳の中まで石になって固まる。
「ああああああああああの、それは、その…」
「早瀬くんは私の娘だ!大切な一人娘を泣かせるような男へ嫁に出す訳にはいかん!」
「うわああ!すみませんでしたーーーーっ!」
輝は降伏し、ソファから降りて土下座した。
「全て俺のいたらなさが原因です!認めます!反省してます!」
「…ミンメイさんの記者会見のニュースを見たが」
心臓が跳ねた。
「ミンメイさんが君の家から出てくるのを見た人がいる、と記者が言っていたね」
---ミンメイの事はもう勘弁してくれー!
輝は叫びたかった。
「今まで君たちがよくケンカしていたのは私も知っている。だが、それでも早瀬くんは退役しようなんて考えなかったし、任務にも影響を出す事は無かった。早瀬くんが退役すると言い出したのはミンメイさんが行方不明になった頃ではなかったかね?本当に君はミンメイさんを自宅に匿ってはいなかったのかね?」
「それは、そのっ」
怖くて顔をあげられない。
「友人が遊びに来たという感覚でして、その、雪の中追い出す事も出来ず、ミンメイが落ち着くまで、と部屋を貸していただけであってっ」
「泊めていたのかっ!?」
「でも、何もありません!あくまでも友人ですからっ!」
クリスマスイヴに未沙をひとりきりにしたあげく、ミンメイとキスしてた奴が良く言うよ…。
「貴様!早瀬くんとミンメイさんを天秤にかけたな?!」
グローバルの手がローテーブルを叩き、大きな音を出した。
「決してそんな事はしておりませんーーー!」
輝は必死に否定する。
「早瀬くんを都合のいい女だと思ってるんじゃないだろうね?!」
「思ってません!絶対に!」
これだけは堂々と言える。
「お願いです!総司令!俺は早瀬中佐と結婚したいんです!どうか許してください!」
涙目になって訴えた。
そして未沙は士官室でこんなベタな事が起きてるとは露知らず、小さなストアで食材を選んでいた。



次回「Attack!」へと続きます


3 コメント

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あとがき&レス (作者)
2007-12-10 23:46:09
>まろさん&yamatoさん
こんなんでましたけど~(古っ!)
輝は戦うというより無条件完全降伏ですね。
他にもつつけば色んな事出せるし(ええ、web拍手でネタが読まれてましたし)思い切り不利やん。
…はい、頑張って謝りますとも(笑)

あ、塩辛買ってくるの忘れた(まだ言ってる)
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すごい (yamato)
2007-12-11 15:05:13
グローバルのおやっさんの怒り、でも本当に怒るとこんな感じかも。未沙のことを考えるとこんな風になるのかもしれませんねえ。あの人の本当の顔にも思えます。娘を大事にする父親、娘を嫁にほしいというその恋人。この二人どうなるのでしょう?次回が楽しみです。劇場版マクロスHDリマスター初期生産限定品予約しました。うかれてお茶で一杯やろうとして家族におつまみが無いかと聞いて出されたのがイカの塩辛でした(笑)早速食べてみるとすごく塩が効いていた。あまりにも辛いので成分表示を見てみたらなんと賞味期限は先月、みなさん賞味期限切れなどでお体壊さぬようにお気をつけてください。
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きゃー! (まろ)
2007-12-12 21:37:36
グローバル親父さま、辛!塩辛ですわ!輝も負けるなって負けっぱなしですね。見事な負けっぷりに、拍手!!
そして、私は、昨日賞味期限の卵を食べました。大丈夫みたい…
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