I can't be cool!
突然ミンメイらしからぬテクノ調の曲に変わった。
鎖に縛られたままでは
目を閉じたままでは
神の名のもとに始まる戦争
その深い眠りからさめきらないままでは
I can't be cool!
ミンメイの歌声はイワンのいる営倉にまで聴こえた。
聴こえるはずのない営倉にまでだ。
そしてその声に気がつき顔を上げた。
するとここにいるはずのないミンメイが目の前にいた。
「うわあ!」
驚いてイワンが後ろへ引いた。
カーブを切り 生と死を追い越し
偽りの影との戦いに走る
まやかしとの糸をいくらめぐらせようと
真実が光の輪郭を照らすだろう
「真実の…光…」
痛みが遠く過ぎるまで涙は見せるな
その足で立ち 共にあれ
我々は戦士
立たぬものには死のみが待つ
「ミン…メイ…」
そしてバルキリー内で待機している雅持の前にもミンメイは現れた。
コックピット内のモニターではなく、まるでホログラムを使っているように。
ミンメイは雅持の頬を両手で包んで歌う。
努力なんて何の意味もなかった
死んでしまった方がマシじゃないかな?
いくら頑張った所で何も変えられなかったもの
こんなに辛いのならもう手放してしまいたい
雅持は心を見透かされたような気がした。
自分のイワンへの気持ちを。
でも雅持は顔を横に振る。
目覚めれば光に満ちた世界
なぜ私に降り注ぐ?
気づいてくれなくてもいいのにね
私にはもう耐えられない
自分の胸に問いかける
”一体何のためなの?”
「何の、ために?」
そしてイワンの時と同様、歌い切るとミンメイはすうっと消えて行った。
これらは神のしわざで、心当たりのあるメガロードの住民達にも目の前に現れて消えていく現象が起こった。
でなければこれだけの曲数をこなせる訳がない。
真のミンメイはちゃんとステージ上で歌っている。
間奏中にはバレエを踊るように舞いながら。
そしてとうとうフィナーレ。
ミンメイは苦しそうに息を切らしている。
「これで…ラスト…」
映ゆる野に風 私にも雨
行け 光の射すほうへ
荒れど撫ぜれど
在るべき風の息吹
強くも弱くもまた
いずれも君
永遠を恐れ おののくなかれバラよ
今日も朝一番に会いに行くよ
歌いきった時、神の声が聞こえた。
『やはりノロはいたのだな』
和魂と荒魂の光が現れる。
『ありがとう。すさんだ心が洗われるようだった。約束通り、居住可能の惑星を貸そう』
二つの光が合わさって青い、何かの形になっていった。
「なんだ?!あれは?!」
青い、青い鳥。その脚は三本あった。
未沙は驚いて前のめりになった。
「八咫烏(やたがらす)?!」
『この船に乗る者に告ぐ。我に続くがいい』
歌いきったミンメイは訳が分からず、青い鳥の出現に驚いていた。
「艦長、八咫烏ってなんですか?」
ブレンダは地球はおろか、日本という国があったのさえ知らない。
「八咫烏はね…日本武尊を東国征伐に導いた鳥の事よ」
「や、やま?たける?」
「やまとたけるのみこと。私の故郷、日本の神様のひとりよ」
「え?!それじゃやっぱりあれは神様だったのですね?!」
もう資格取っちゃえばこっちのもんだもんね~!(笑)
日本神話つーてもちゃんぽんしちゃってるから鵜呑みにしないでねー!
八咫烏はあれさ、サッカー日本代表のエンブレムだお。
ちなみに今流行りの弓弦羽(ゆづるは)神社の神様のお使いも八咫烏だぞえ。
実際の八咫烏は黒いっす。ここでは「幸せを運ぶ青い鳥」っちゅーなんたる和洋折衷昔話になっとるだ。
いよいよ新しい土地へメガロードが向かうのですね。楽しみ~。
くっく、くっく~♪
と歌うと藁を敷きたくなります(高校時代の話)
続きは来年になると思います。
どぞ(^-^ゞ