『宇宙移民計画を公表!艦長には早瀬未沙少佐(21)を抜擢』
新聞トップ一面を飾る新統合軍の宇宙移民計画の記事。
それはカムジン一家がマクロスシティーを襲撃し、ミンメイが去ってから1週間経った朝に配られたものだった。
凛とした顔の女性が敬礼をしている写真が載っている。
これから彼女は計画準備の為、多忙の日々を送るのであろう。
「…21歳の若さにして幾度かの作戦を提案し、成功を収めた事のある実力ある士官でありグローバル総司令からの信頼も厚い。責任感の強さからも適任であると上層部も納得している様子」
そう、誰からも信頼厚く、頼られる彼女。
自分は、しがないパトロール部隊長。階級も大尉と下。
年齢も下。たかが2歳、されど2歳。
あと数ヶ月とはいえ、まだ10代という数字がもどかしい。
---強くなりたい。彼女の隣に立つにふさわしい男に。
新聞をテーブルに置き、玄関を出た。
積雪に反射した太陽光の眩しさに目を細める。
---彼女を支えられる存在になりたい。
そして一条輝は歩き始める。
『亡命してきたゼントラーディの人達を頼みます』
『殺しあう為ではなく、宇宙を文化で満たす為に』
そう、彼女はいつだって何千・何万の人達の平穏を考えていた。
それに引き換え自分はなんだ?
目の前の事しか考えず、自分の都合しか考えず、与えられる事ばかりを望んで与える事をせず。
---俺は、狭い。
その事に気が付いた時、ミンメイとの事は”幼い恋愛ごっこ”という過去になり、未沙と未来を切り拓いて行きたいと言う想いが産まれた。
だけどこのままの自分ではただのお荷物になってしまう。
---とにかく今は…
出来るだけの事を、していくだけだ。
カムジンに襲撃され、大部分が崩れ落ちたマクロスは復旧工事の為、新統合軍総司令本部は新しく建てられたビルに移された。
バルキリー部隊本部はマクロスシティー郊外へ。
滑走路及び格納庫の土地確保と騒音公害対策だ。
その為、休憩時間にラウンジで顔を合わせる事も出来ない二人。
もっとも輝は休憩時間を惜しんで身体を鍛えていた。
待機中もランニングやウェイトトレーニングで汗を流し、演習場でのシミュレーション時間も長くなった。
宇宙移民計画が公表されてから更に1週間後、輝はメガロード01の護衛航空隊隊長の任命を受けた。
故にパトロール隊隊長引継ぎ等のデスクワークも増え、疲れきってしまい、そのまま仮眠室泊となる日もあった。
そこへ持ってきて未沙もまた、メガロードの設備や人事等の会議が続き、彼女も眠る為だけに家に帰るような毎日が続いて更に2週間が過ぎた。
互いの想いが通じ合ってる事を知り合えてもう1ヶ月が経とうというのに、二人きりの時間は数える程度しかない。
「疲れてるみたいねぇ。一条君にでも甘えて癒してもらえば?」
休憩時間のラウンジでクローディアにからかい半分に言われた未沙。
「彼も忙しいのよ。そんな暇ないわ」
この手のからかいに慣れていない彼女はほんの少し照れた口調で答えた。
「そんな暇ないって…会ってないってワケじゃないでしょ?」
「…仕事の帰りに立ち寄ってみたりするけど、彼も引継ぎやメガロード護衛航空隊訓練で遅かったり本部泊になったりだから、ここ最近はすれ違いばかりよ」
「あらら…。淋しいわねぇ。まさかデートの約束も今の所無しなの?」
「…えぇ」
「明日は非番なんでしょ?航空部隊本部にでも顔出しに行ってみたら?」
「仕事の邪魔しちゃ迷惑でしょ」
「あら。休憩時間無しで仕事してるってワケじゃないんだから、そんな固くならなくたっていいじゃない。それに会いに行ってあげたら彼も喜ぶんじゃな~い?」
クローディアはからかい口調で未沙の背を押すのであった。
「もう、クローディアったら!」
しかし本当に、輝がほとんど休憩時間無しで自分の身体を苛めているとは思ってもいなかった。
Continuer
新聞トップ一面を飾る新統合軍の宇宙移民計画の記事。
それはカムジン一家がマクロスシティーを襲撃し、ミンメイが去ってから1週間経った朝に配られたものだった。
凛とした顔の女性が敬礼をしている写真が載っている。
これから彼女は計画準備の為、多忙の日々を送るのであろう。
「…21歳の若さにして幾度かの作戦を提案し、成功を収めた事のある実力ある士官でありグローバル総司令からの信頼も厚い。責任感の強さからも適任であると上層部も納得している様子」
そう、誰からも信頼厚く、頼られる彼女。
自分は、しがないパトロール部隊長。階級も大尉と下。
年齢も下。たかが2歳、されど2歳。
あと数ヶ月とはいえ、まだ10代という数字がもどかしい。
---強くなりたい。彼女の隣に立つにふさわしい男に。
新聞をテーブルに置き、玄関を出た。
積雪に反射した太陽光の眩しさに目を細める。
---彼女を支えられる存在になりたい。
そして一条輝は歩き始める。
『亡命してきたゼントラーディの人達を頼みます』
『殺しあう為ではなく、宇宙を文化で満たす為に』
そう、彼女はいつだって何千・何万の人達の平穏を考えていた。
それに引き換え自分はなんだ?
目の前の事しか考えず、自分の都合しか考えず、与えられる事ばかりを望んで与える事をせず。
---俺は、狭い。
その事に気が付いた時、ミンメイとの事は”幼い恋愛ごっこ”という過去になり、未沙と未来を切り拓いて行きたいと言う想いが産まれた。
だけどこのままの自分ではただのお荷物になってしまう。
---とにかく今は…
出来るだけの事を、していくだけだ。
カムジンに襲撃され、大部分が崩れ落ちたマクロスは復旧工事の為、新統合軍総司令本部は新しく建てられたビルに移された。
バルキリー部隊本部はマクロスシティー郊外へ。
滑走路及び格納庫の土地確保と騒音公害対策だ。
その為、休憩時間にラウンジで顔を合わせる事も出来ない二人。
もっとも輝は休憩時間を惜しんで身体を鍛えていた。
待機中もランニングやウェイトトレーニングで汗を流し、演習場でのシミュレーション時間も長くなった。
宇宙移民計画が公表されてから更に1週間後、輝はメガロード01の護衛航空隊隊長の任命を受けた。
故にパトロール隊隊長引継ぎ等のデスクワークも増え、疲れきってしまい、そのまま仮眠室泊となる日もあった。
そこへ持ってきて未沙もまた、メガロードの設備や人事等の会議が続き、彼女も眠る為だけに家に帰るような毎日が続いて更に2週間が過ぎた。
互いの想いが通じ合ってる事を知り合えてもう1ヶ月が経とうというのに、二人きりの時間は数える程度しかない。
「疲れてるみたいねぇ。一条君にでも甘えて癒してもらえば?」
休憩時間のラウンジでクローディアにからかい半分に言われた未沙。
「彼も忙しいのよ。そんな暇ないわ」
この手のからかいに慣れていない彼女はほんの少し照れた口調で答えた。
「そんな暇ないって…会ってないってワケじゃないでしょ?」
「…仕事の帰りに立ち寄ってみたりするけど、彼も引継ぎやメガロード護衛航空隊訓練で遅かったり本部泊になったりだから、ここ最近はすれ違いばかりよ」
「あらら…。淋しいわねぇ。まさかデートの約束も今の所無しなの?」
「…えぇ」
「明日は非番なんでしょ?航空部隊本部にでも顔出しに行ってみたら?」
「仕事の邪魔しちゃ迷惑でしょ」
「あら。休憩時間無しで仕事してるってワケじゃないんだから、そんな固くならなくたっていいじゃない。それに会いに行ってあげたら彼も喜ぶんじゃな~い?」
クローディアはからかい口調で未沙の背を押すのであった。
「もう、クローディアったら!」
しかし本当に、輝がほとんど休憩時間無しで自分の身体を苛めているとは思ってもいなかった。
Continuer
もともと輝×未沙の妄想から創めたSSなんですが、ただのエロじゃそれこそ自己満足中の自己満足でしょ。て、事でどういう内容にするか考えました。
そこで注目したのが輝のヘタレっぷり(笑)
だって、TV版最終回だって一応未沙とハッピーエンドって言われてるけど、私はなんだかさっぱりしない。
きちんと答えてるシーンもなかったしさ、未沙の涙にほだされて~って感じがしないでもない(あ、ミンメイも泣いてたか…まあ、あの子の涙は今更って気がしないでもないから却下?”爆”)
で、まあ、最近、恋愛に向上心持った子(男の子も女の子も)って少ないよな~と、ふと思ったワケで…。
ちなみに私の言う向上心とは、自分が想い人にふさわしいかどうか考えて努力しようという姿勢なワケで…。
それに輝は19歳。この若さで所帯持ちになるのか?!と、アニメの世界に真剣に疑問に持ってしまったり…。
「アナタがスキー♪キミがスキー♪ふたりはスキー♪」(by H.I.S)←注:ツアー会社ではなくバンドの名前です。
なんてノリは書けませんでした。
しかし、書いてみると「…ミラージュっぽいな」と思いました。