Ekrino書簡

頭の整理&ひまつぶしに適当なことを書く

ドングル型USB-C DAC「CX-PRO」

2021年10月24日 | オーディオ

最近のスマホ・タブレットは、ヘッドホン・ジャックが搭載されていないことが多い。
要はBluetoothを使え、ということなのだろうが、それだと音質遅延が気になるし、
使い慣れた機器をつなぐために変換かましてみたら「ナニコレ…」って感じだったりと、微妙な事が多い。

そのあたりを割りきって中華TWSに手を出していたりもするが、やっぱり音質も追求したい。
…という層向けのアイテムに、USBドングル型DACというのがある。
要は、かつてあったDenDAC等のUSB DACの現代版なのだが、端子がUSB-Cになったことで極限まで小さくなっている。
林檎のLightning-3.5mmアダプタ(下記)があるが、それと同様である。


試しに買ってみたのは、CX-PROという奴(aliexpressで送料込み1000円)。


正直、かなり良い。これが1000円ぽっちで買えるのか、と。
音質の評価は追々書くとして、驚嘆すべきは低消費電力ということ。

メーカー(Shenzhen TTGK Technology Co., Ltd.)の出しているドングルのスペックを並べると下表のようになる。

  CX21988 ALC5686 CS46L41 CS43131 CX31993 ES9318
PCM 24bit/96kHz 32bit/384kHz 32bit/384kHz 32bit/384kHz 32bit/384kHz 32bit/384kHz
DSD - - - 64/128/256 - 64/128/256
SNR 95dB 124dB 121dB 125dB 120dB 110dB
DNR 92dB 100dB 118dB 115dB 105dB 114dB
THD+N -85dB -95dB -98dB -105dB -100dB -103dB

便宜的に、最高スペック・最低スペックの物と5dB以内の物は同ランクとし、当てはまらない物を別ランクとした。

筆者は、PCM1702とか1704のKランクでシコシコやってたサインマグニチュード世代である。
PCM5102Aで遊んでたときも「1794とはダンチじゃねーか」とか思ったものであるが、
そのスペックすらも軽く超えているのをみると、デジタルの大勝利やね、という小並感しか出てこない。

スペック的にはCS43131が一番良いのだが、ポータブル用途になると、おそらく一番バランスが良いのはCX31993である(次点でALC5686)。
CS43131とES9318は純粋なDACであるため、USBとのインターフェース(DDC)の機能と、マイク等の対応(ADC)に外部チップが必要となる。
それをSA9302L(DDC)やCS46L41(DAC/ADC)で補っているため、その分の電力を食うと思われる。

上を狙うと果てしない沼になるが、これについては「もうこれでいいや」って気になった。
ASIOだ、WASAPIだの、ヘッドホンで聴く分にはもういいやって気持ちになった。正直。

内蔵のAudio-jack?そんなもんは要らなかった。

余談ではあるがDAC業界は「ES9018以前」と「以後」みたいになっている。
ES9018以前は、BurBrownのPCM1704を頂点とするマルチビット系と、PCM1794を頂点とするデルタシグマ系の2系統があり、
主に後者のデルタシグマが主戦場になって、90年代はPhilipsが、00年代はAnalogDevicesのAD1852とかWolfsonのWM8741とかが花を添える感じで
今からすれば解像感もクソも無い音をありがたがって聞いていたのである(一応フォローすると、世間はノイズバリバリのゴミなので遙かにマシ。

それが革命的に変わったのは、かつてクソサウンドカードIC作ってたESSのES9018シリーズの登場であり、
「21世紀の"音"聞かせたろか?」と言わんばかりの圧倒的な解像感で、全てのDACを過去にした(言い過ぎ)のである。
そのあたりの雑感については、またの機会としたい。


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