空飛ぶクルマは先人が想像した未来の機械文明の中でも実現が難しいとされているものだ。米国の大衆科学雑誌『ポピュラー・メカニックス(Poplular Mechanics)』の表紙は、交通渋滞や道のくぼみから解放され、自家用の乗り物で空高く舞い上がる日がいつかやって来ると期待させていたが、それから何十年もの月日が流れた。テラフージア社のような企業が頑張ってはいるものの、自動車と飛行機との融合は、今のところ順調とは言い難い。
そんな人類長年の夢に、あのトヨタが挑もうとしているらし い。同社が申請した特許書類には、可変式ボディ・パネルを備えた自動車が描かれている。滑らかなフォルムはほぼティアドロップ(水滴)型で、そのお尻には 世界一かわいらしい小さなプロペラが装備されている。さらに、そんな可変式ボディの下には独創的な方法で翼が隠されているのだ。地上走行時には翼をボディ の外側に畳んでおくテラフージア社のような方式ではなく、トヨタは翼部をボディ・パネルの下に格納する方式を採るようだ。伸張する翼で左右の傾き(ロー ル)を制御し、フロント・アクスル前方に装備された戦闘機ユーロファイター・タイフーンのようなカナードが、上下方向(ピッチ)はもちろん、おそらく左右 の方向(ヨー)も制御すると考えられる(方向舵や尾翼のようなモノが見当たらないため)。