・溶けないアイスクリーム
2013年の3月に関東学院大学健康栄養学科を卒業した女子学生3人が、卒業論文にまとめた「溶けないアイスクリーム」を商品化していました。20℃から25℃の常温で1時間放置しても、なめらかさや冷たさは保たれ溶けないといいます。2012年5月頃から、アイスに必要な牛乳や卵などの材料の他に、豆腐や麩、片栗粉など試し様々な組み合わせや配合で試作すること数百回以上の試作をして夏休みを過ぎる頃、ゼラチンと寒天の分量や混ぜるタイミングで再現できることを発見しています。実際に病院患者さんに試食してもらえたのは11月になってのことでした。アイスは、特に集団で食事をとる施設や「介護食」に最適として発売以来、学校や病院、高齢者施設などで提供しています。
更に2014年頃より金沢大学・太田富久名誉教授は、溶け方を防ぐために、イチゴのエキスを入れて実現しています。アイスクリームは、牛乳やクリームの油脂分、空気の泡、氷の粒(氷晶)の3つの要素からできています。しかしながら温度が上がると氷の結晶が溶けて水に、そのために空気の泡もつぶれ、脂肪分も一緒に溶けだしてしまうのです。
このような溶け方を防ぐために、アイスには氷の結晶が作られる前にイチゴのエキスを入れることにより、イチゴエキスに含むイチゴポリフェノールが、アイスの材料の中に含まれる水分と油脂分とを橋渡しして、水分と空気の細かな泡を油脂が膜状に取り囲む状態になります。この状態で凍らせると、温度が上がっても水は油脂分に取り囲まれているので溶け出しにくく、「溶けないアイス」が実現されるのです。イチゴのポリフェノールには20種類以上違う構造のポリフェノールが入っているので、このような果物、植物はほかに無く、市販の食品に添加している凝固剤や乳化剤にあたるものを、イチゴエキスで代替できると考えたのです。室温40度で3時間ほど、形は崩れず、クリームが滴(したた)ることもない、食感は軽く、冷たさと甘さは強く感じないのであっさりと食べられるといいます。金沢東山店(金沢市)、大阪アメリカ村店(大阪市)、原宿竹下通り店(東京都渋谷区)での取り扱いのようです。冷たい時はアイスクリーム、温度が上がると生クリームのような新食感とのことです。
2010年以前から日本海藻食品研究所(金沢市)では「溶けないソフトクリーム」(350円)があります。
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