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心臓突然死の対策

2012-05-20 12:44:37 | 医師会

野々木 宏 先生(国立循環器病センター部長)
基調講演
心臓突然死の対策を考えるために実態を知りましょう
心臓突然死の対策を考えるためには、実態を知る必要があります。日本で年間、どれくらい発生しているのか、ま
た、どんな病気で起こっているのか明らかではありません。少し整理をしたいと思います。
まず、循環器疾患について説明します。これは、心臓血管系の病気を指します。厚生労働省の死亡原因の報告
のうちの、「脳卒中と心臓病」が、循環器の病気です。
循環器病は急性期に適切に治療を受けると救命のチャンスが増える病気です。
突然死をなんとかするためには、救命の4つの鎖(連鎖)を迅速に実行することが推奨されています。心臓が止ま
ったら、はやく通報をして、心肺蘇生法をして、AEDを使用して、更に専門的治療につなげるという4つの鎖です。
更に、もっと大事なことは、心停止になる前に発症の予防や早期発見が出来たら、一番良いわけです。
突然死の実態について、実は多くのことがわかっておりません。
「心臓突然死ってなんですか?」、「突然死の定義はどうなのでしょう?」
突然死の原因はまだ十分に明らかにされていません。
これまでにわかっていることを整理したいと思います。まず、疫学の調査で、主に死亡診断書を基にした統計が
あり、人口10万人あたり80件の死亡数で、これを、日本の人口に当てはめますと、全国で年間約10万人の方が急
死をしているということになります。
原因の病気の内訳をみると、6割が心臓血管、2割が脳卒中で、残りの2割が他の疾患ということです。約8割が
循環器の病気です。
次に心臓発作で胸が痛くなり,すぐに突然死をするかということですが、胸が痛くなり直後に「こてっと」倒れるとい
う瞬間死は、25%と少なく、ほとんどは若干の時間があり1時間以内に起こります。このように心臓突然死は1時間
以内に起こるものと、或いは24時間以内の死亡を突然死とするものと、定義については、1時間以内だったり、瞬間
死だったり、24時間以内と様々です。実態を知るためには定義も明らかにしていかなくてはいけないと思います。
突然死例を克明に病理解剖した札幌医大の貴重なデータでは、一番の原因は急性心筋梗塞(心臓発作)で,約
1/3です。2割くらいが危険な不整脈や心筋症などがあります。
それから、大動脈瘤の破裂が12%。くも膜下出血がやはり急死する原因です。これでいくと、ほぼ8割は循環器
の病気です。
それから、ウツタイン様式といわれる登録によるデータがあります。これは、救急隊により救急処置が実施された
心停止の登録で、国際的に標準化された方法です。これは我が国がたくさんのデータを解析していて、国をあげて
すべての院外心停止を、毎年登録しているというのは世界でも類をみません。
以上のように、心臓突然死の実態を明らかにすることで、その対策をたてることが可能となります。