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東日本外来小児科学研究会

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第14回東日本外来小児科学研究会(平成16年4月4日(日):都市センターホテル)

2004-04-30 15:51:23 | 研究会集会
第14回東日本外来小児科学研究会(平成16年4月4日(日):都市センターホテル)

こちらからプログラムのPDFファイルをダウンロードできます。

10:00 開会挨拶崎山弘(代表世話人)

10:10-11:55 特別講演1 小児科外来での禁煙支援高橋裕子(奈良女子大学)

12:00〜13:20 昼休み
(この時間帯に世話人会を行いますので、世話人の方はご承知おき下さい)

13:20-14:35 <一般演題> 発表7分、討論5分でお願いします。

1)かぜの予後調査(パイロットスタディ)
 演者名:草刈章 所属:医療法人社団章仁会くさかり小児科

 私どもは上気道炎にたいする適正な抗菌薬使用のあり方を提案していますが、そのためには「かぜ(上気道炎)」と診断した患者がどのような経過とるか、あるいは合併症を起こすかを数量的に把握する必要があると考えました。今回はそのような調査が可能かどうか、実施する上での問題点は何かをみるために、予備調査を行うことにしました。対象は発熱(37.5℃以上)、鼻汁、咳、咽頭痛の一つ以上を発現して発病7日以内に初診した患者で、明らかな非感染性疾患や溶連菌などの細菌感染症の患者は対象外としました。既往歴、家族歴、喫煙者の有無、他医療機関の受診、発病日、受診日、7、14病日の各症状の有無などの症状の設問を1ページに纏めました。調査用紙の回収はFAX、郵送、直接持参で行いました。調査は保護者に趣旨を説明し、同意を得ました。結果は当日供覧します。

2)外来小児科看護におけるリスクマネジメントの試み~実践報告を通して~
 演者名:小林花子共同演者名:小山道子、平野栄子、大武直美、塩満貴子所属:みやた小児科

 当院は、今年度で開院13年目を迎えます。開院当初の診療スタッフは医師1名、看護師1名でしたが、患者数の増大により、医師、スタッフ共に人数も増加しました。スタッフの増加や検査、処置の増加に伴い、今まで少数のスタッフが行っていたことを多人数で行うようになるにつれて、同じ処置を別々の看護師が重複して行う、別の看護師が行ったと思い込み処置が抜ける、など声かけ、確認作業の足りなさからのミスが目立つようになりました。そこで、当院ではヒヤリハット報告書の見直し、スタッフの動きの見直し、出されたリスクに対する対策を考え実践しました。事例を通してその経過と結果を紹介し、外来小児科看護におけるリスクマネジメントについて考えたいと思います。

3)「タバコからこどもを守ろう」日本小児科医会の禁煙指導書について
 演者名:藤原芳人 共同演者名:加治正行所属:日本小児科医会(会長:師研也)禁煙推進委員会:小川英治、神川晃、小平金次郎、
秋津宏機、相沢昭

 タバコの害が常識になりつつあるにもかかわらず未成年の喫煙(消費全体の17.2%)、妊婦をふくむ若年女性の喫煙実態は目に余るものがある。また家庭内での喫煙による子どもへの影響も日々の診療で経験するところである。2003年5月に健康増進法のなかで「受動喫煙の防止」法が施行された。そのなかで小児科医は子ども(胎児も含め)の健康を守るために児童生徒の防煙教育のみならず、一般診療において家族への禁煙指導をすることが必要である。とくに副流煙の害について父母への知識啓発が必要である。そのため日本小児科医会では「子どもを煙害から守る事業」としてこの度、禁煙指導書を作製した。その披露と解説をしたい。

4)よりよき病状説明とは何か(アンケート解析結果より) —患児保護者に納得と安心を提供するために—
 演者名:佐久間秀人所属:佐久間内科小児科医院
【目的】昨今の医療現場において、医療側の対応の不備に起因するトラブルは後を経たない。今回、患児保護者が不安を抱くことの多い「急性発熱性疾患」を対象に、発表者が独自に行っている病状説明に対するアンケート調査を行い、患者側の真意を検討したので報告する。
【対象】平成15年11月19日より翌16年2月17日までの期間中、当院を受診した下記1~3の条件を満たす患児の父母、120例。1.0~6才までの就学前乳幼児。2. 発熱37.5℃以上を伴う(原疾患は問わない)。3.初診、或いはおよそ3ヶ月以前に発熱にて受診の既往なし。
【方法】診察、診断名告知後、発表者がパソコンにて作成したスライド(14 枚)を用い病状を説明し、理解度、納得度、安心度等を4段階に評価する7項目の設問から成るアンケート記入を依頼、自由意思で回答を頂いた。アンケート回収方法により、A群(非匿名回答群n=60:待ち合い室にて記入後受付けにて回収)・B群(匿名回答群n=60:自宅にて記入後郵送にて回収)に分類した。
【結果】1. 回収率:A群100%、B群78%(2月28日現在)2.A、B群の回答に有意な差はみられなかった。3. 理解度、納得度においては高得点の回答が得られたが、それと比較すると安心度は低い傾向がみられた。4. 病状の見通しについて「不安である」と答えた9.4%において理解度、納得度との相関はみられなかった。
【孝案】理解・納得度が高くとも、必ずしも十分な安心を提供していない。現状は、今後の病状説明のあり方に課題を残すと考える。

5)クレームとコミュニケーション不足
 演者名:三浦義孝 共同演者名:八重樫幸子、及川美智子、藤村由香子、田口るみ子
 所属:みうら小児科

 事実と全く違うクレームをつけられた。患者の一方的な思い込みで、新聞に投書でもされようものなら、たまったものではない。医師の「言葉」と「態度」は、“処方”であり、真意が「正しく」伝わらないと、誤解の「源」となる危険がある。小児科外来では、母親とのコミュニケーションがまず大切であり、医師への信頼は最初の言葉づかい、態度で決まる。しかし、母親と円滑なコミュニケーションをとることは、難しいものである。私自身、医師になって25年が経った今も、なかなか改善できず、恥ずかしい限りである。不満を抱いた患者の非好意的なロコミの影響は、満足した患者の好意的なロコミの影響に比較して、何倍も足を引っ張り、拡がっていく。「コミュニケーション」に関する不満の中でも圧倒的に多いのが「説明不足」である。最近の医師と患者の関係が悪化している点を考えると、医師のコミュニケーション技術のレベルアップが必要である。母親の発する言葉を軽んじてはならない。母親の訴えに、すべからく聴き上手でなければならない。外来小児科の質の高い医療をするためには、まず患児を含めた親、そしてコメディカルとの十分なコミュニケーションをとることが重要である。

6)M小児科における抗生物質の処方傾向と薬局での服薬指導
 演者名:山下慎太郎 所属:㈱いながき薬局

 当薬局は、M小児科医院の前に位置し、唯一の門前薬局である。そのため、M小児科で発行された処方箋のほとんどは、当薬局に持ち込まれていると考えられる。今回、M小児科での抗生物質(抗菌剤)の、2003年一年間における処方内容を検討した。その結果、処方された全抗生物質中、ペニシリン系,セフェム系の処方が23%に対し、マクロライド系の処方が61%と明らかに多かった。その中でも、エリスロシンはその60%が二歳未満の乳幼児に処方され、ジスロマックは47%が三歳から六歳未満に処方されるなど、特徴的な傾向が見られた。苦味のあるマクロライド系は小児にとっては服用が困難で、以前より多くの先生方よりコンプライアンスをあげるための工夫が報告がされている。当薬局でも前述のようなことより、イチゴやココアの粉で甘味付けを行う方法を実施してきたが、それでも服用が出来ない例も少なくなくない。最近ゼリーの使用によりコンプライアンスの向上を試みているので報告する。

14:45-16:20 特別講演2 絵本の世界をのぞいてみませんか 内海裕美

「ラブユーフォーエバー」歌:長谷川泰子

16:20 次回代表世話人挨拶 佐藤勇

16:30 閉会の辞 崎山弘

第13回東日本外来小児科学研究会(平成15年10月26日(日):千葉市総合保健医療センター)

2003-11-30 15:45:00 | 研究会集会
第13回東日本外来小児科学研究会(平成15年10月26日(日):千葉市総合保健医療センター)

プログラムはこちらからPDFファイルをダウンロードできます。

《午前の部》

10:00-10:05 開会挨拶太田文夫(おおた小児科・循環器科)

10:05-10:50 一般演題

1. 小児一次診療における培養検査の課題と洗浄喀痰培養の検討
 黒木春郎(千葉県・斎藤病院)斎藤奈穂子(千葉大大学院)三上秀夫(勝浦市・夷隅郡医師会診療所)
 外来検査の効率化と集約化を背景に、培養検体も当日に処理されない場合がある。培養検体の接種時期の分離菌に及ぼす影響を検討し、外注検査も含めた地域医療の在るべき姿を考察する。また、2003年5月から8月に当科にて採取された喀痰の洗浄培養の結果を報告する。検体は数時間以内に接種されており、喀痰54検体のGeckler分類、洗浄喀痰培養の結果を示し、一次診療における下気道感染症起炎菌の動向を報告する。

2. 千葉市における麻疹の現状と今後の対策(全数把握サーベランスを始めて)
 原木真名(千葉市・まなこどもクリニック)

 千葉市では、本年6月より麻疹の全数把握サーベランスを開始。同時に医療機関に麻疹流行状況をリアルタイムに報告するシステムを立ち上げた。6月から8月で全111例の報告があった。
市内の小学校での麻疹流行の把握を迅速に行うことができ有効性が示された。また、他科のドクターにも麻疹対策の重要性を認識してもらえた。
このデータをもとに、今後は行政と連携して麻疹撲滅運動を進めていく予定である。

3. インフルエンザ脳症の臨床経過・画像所見の多様性
 玉井和人(千葉市)黒崎知道(千葉市立海浜病院)
 
 千葉市立海浜病院小児科で経験したインフルエンザワクチン脳症6例について、その臨床経過・画像所見の多様性や予後などを報告する。治療や予防接種についても若干の考察を加える。

10:50-11:00 休憩

11:00-12:00 一般演題

4. 電子カルテWineStyleとORCAの接続の試み
 草刈章(所沢・くさかり小児科)
 
 私は平成14年10月から電子カルテソフトWineStyle を運用し、今年の9
月からORCAの接続も試みている。しかし、まだ細かい不具合があり、現
在までにまだ完全な会計処理はできていない。電子カルテの運用メリットや
デメリット、課題、ORCAとの接続システムや問題点などについて報告する。

5. 千葉市夜救診の実態
 阿部博紀(千葉市・あべひろきこどもクリニック)

 近年小児の夜間救急医療体制の整備が各地で進められています。千葉市の夜間救急体制は、1977年に始まり1984年海浜病院内の夜間救急初期診療部(夜救診)に移りました。現在は19時(土・日・祝は18時)から翌朝6時を診療しています。診療は医師会員、病院勤務医が担当し、平成13年度は約18,000名の小児が利用しました。病院内に位置し半独立組織として運営される千葉市夜救診の現況を紹介します。

6. 宮城県における乳児股関節超音波検査・普及の取り組み
 高田修(宮城県・たかだこども医院)加納一毅(仙台市・加納こども医院)藤井玄二(国立仙台病院・整形外科)北純(仙台日赤病院・整形外科)

 先天股脱は、見逃された場合、患者さんにとり一生の問題です。宮城県では、昭和35年より乳児健診で股関節X線撮影(いわゆる宮城県方式)を行ってきましたが、これは平成12年に完全に廃止されました。現在、小児科医がリスクファクターを健診票に添ってスクリーニングするシステムに移行しましたが、見逃し例の発生が危惧されています。本発表では今年で4回目になる「仙台股関節エコーセミナー」の取り組みを報告します。

昼休憩12:00 ~ 13:15 (世話人会もこの時間内に行います)
この間に、千葉市休日診療所の見学が可能です。

《午後の部》

13:15-14:15 ハンドベルとチャイムの演奏 グループ“Ritomico”による演奏
演奏をお聴きになった後、ハンドベル&チャイム演奏の体験コーナーがあります。どうぞ遠慮なさらずにご参加ください。

14:20-14:50 一般演題

7. 予防接種広域化(千葉県の状況)
 久山登(千葉県・くやま小児科医院)

 現在定期予防接種は市町村の行政単位で運営されている。しかし接種率向上や接種時期、住民の利便性の観点からは必ずしも望ましい方式とはいえない。市町村の枠を県単位に広げて接種医療機関を選択できるような予防接種の広域化の取り組みが全国的に拡がってきている。予防接種広域化の目的と全国的な現状、反対の実情と実現への手順について、現行の問題点にふれながら千葉県印旛郡を例にして述べる。

8. 広域的予防接種(全国の状況について)
 川島崇(群馬県)松浦伸朗(兵庫県)及川馨(島根県)

 予防接種の全県的な広域化について、全国の有志にアンケート調査を行った。その結果、現在広域接種を行う予定にない地域は11都道府県、検討中が18府県、行われる予定が2県、既に行われているが16県であり、ここ数年で、増加していることが分かった。各地区での広域接種の導入時の問題点、接種料金、依頼書、予防接種契約、ワクチンの購入方法等の現状を報告する。また、広域接種開始後の各地区での問題も検討した。

15:00-16:00 特別講演

“小児気管支肺感染症の起炎菌と抗菌薬の使い方”
 千葉市立海浜病院小児科部長黒崎知道

 洗浄喀痰培養にて気管支肺感染症の起炎菌を検討したところH.influenzae(Hi)とS.pneumoniae(Pn)が主要起炎菌であった。これらの細菌にはBLNAR,DRSPと多剤耐性の問題があり、抗菌薬選択の上で一長一短がある。ABPC-MIC2μg/mlまでのHi、PCG-MIC2μg/mlまでのPnは、AMPC内服、ABPC静注にて対応可能である。これら抗菌薬は多剤耐性をきたすペニシリン結合蛋白の変異をきたし難いことが判明している。ペニシリン系薬を中心とした当科における治療成績を紹介し、多剤耐性の蔓延を助長させない抗菌薬療法について私見を述べたい。

16:00 次期研究会代表世話人挨拶崎山弘(東京都・崎山小児科)

16:05 閉会挨拶

16:30 懇親会(ホテルポートプラザ千葉3階ポートルーム)

第12回東日本外来小児科学研究会(平成15年3月30日(日):神奈川県総合医療会館)

2003-04-30 15:39:40 | 研究会集会
第12回東日本外来小児科学研究会(平成15年3月30日(日):神奈川県総合医療会館)

プログラムはこちらからPDFファイルをダウンロードできます。

10:05-11:05 一般演題1 座長山本淳(横浜/星川小児クリニック)

1. 小児市中肺炎の発症背景と抗菌療法
成相昭吉(横浜/南共済病院小児科)

2. 全国小児科外来上気道炎調査(中間報告)
〜発病72時間以内の初診患者に対する抗生物質使用状況〜
草刈章(所沢/くさかり小児科)、武内一(耳原総合病院小児科)、芳賀恵一(芳賀小児クリニック)、深澤満(深澤医院)、下村国寿(下村小児科医院)、泉谷徳男(国立大阪南病院小児科)

3. 集団食中毒(SRSV)発生の経験
内海裕美(文京区/吉村小児科)
11:05-11:15 休憩
11:15-11:55 一般演題2 座長片岡正(川崎/かたおか小児科クリニック)

4. かかりつけ患者を対象としたE-mail相談3年間のまとめ
川上一恵(渋谷区/第一医院)

5. 医学生教育における外来小児科学の役割
西巻滋(横浜市大小児科)

11:55-13:00 昼休憩

13:00-14:00 テーマ演題予防接種1 座長横田俊一郎(小田原/横田小児科医院)

6. 乳幼児のBCG接種〜早期接種の徹底と接種技術確保の取り組み〜
多田有希(川崎市健康福祉局健康部疾病対策課)

7. オンラインを利用したインフルエンザ流行情報収集と公開について
西藤成雄(滋賀守山/西藤こどもクリニック)、砂川富正(国立感染症研究所感染症情報センター)、宝樹真理(たからぎ医院)、根東義明(東北大学医学部小児科)

8. インフルエンザワクチンと臨床像
佐藤勇(新潟/よいこの小児科さとう)、齋藤玲子、坂井貴胤、鈴木宏(新潟大学大学院医歯学総合研究科国際感染医学講座公衆衛生学分野)

14:00-14:10 休憩

14:10-16:10 テーマ演題予防接種2 座長相原雄幸(横浜市大小児科)

9. わが国の麻疹の現状と麻しんワクチン接種状況について
多屋馨子(国立感染症研究所感染症情報センター第三室)

10. 結核
中澤明紀(神奈川県衛生部保健予防課)

11. インフルエンザ
菅谷憲夫(横浜/けいゆう病院小児科)

16:45-18:30 懇親会横浜伊勢佐木町ワシントンホテル

第11回東日本外来小児科学研究会(平成14年10月20日(日):東京コンファレンスセンター

2002-10-31 15:34:47 | 研究会集会
第11回東日本外来小児科学研究会および第1回日本外来小児科学会アドボカシー委員会主催シンポジウム(平成14年10月20日(日):東京コンファレンスセンター

プログラム

8:30 受付開始

9:00 1部 一般演題 1演題につき質疑応答を含めて12分 座長:宝樹真理(医 東京都渋谷区)

1)広野優子 ER・テレフォン・クリニック(他 千葉県船橋市)
「医師と患者にとって望ましい時間外対応システム」~電話診療アシスタントの導入とその成果~

医療を受ける側のニーズに適った救急医療体制を考える手がかりとして「電話診療アシスタント」を導入した小児科医院の例を報告した。その結果、臨時休診の多い月で65%、通常では90%強が即日の診療を伴わずに問題を解決でき、24時間の小児医療に対するニーズは「受診」だけでなく「経過の共有」にもあること、電話という診療以外の手段も有効であることなどが分かった。質の高い電話対応を導入することで、親は不安や疑問を分かち合い、問題解決の選択肢を、「受診」だけから「待つ」ことや「様子を見る」ことへと増やすことができる。これは親の自立と治療への主体的な参加を促し、こどもへのケアの質も高めると考えられる。一方、医師は経過を共有することで診療の振り返りができ、過剰な負担を負わずにかかりつけ医としての身近な存在をアピールできると言える。

2)松永貞一 松緑会永寿堂医院 (医 東京都葛飾区)
    「小学校における校医の責務と権限の問題点」

私が校医を勤めるある公立小学校では、都職員、区職員、人材派遣会社職員の3種類の雇用形態の教職員が勤務している。しかし、校長と学校医にはこのうち都職員に対してのみ直接の健康管理上の権限が認められているだけで、 その他の職員に対しては権限が無く校医による積極的健康管理は困難な状況にある。この現状を明らかにするため、都道府県、県庁所在都市、都下教育委員会にアンケート調査を私的に行った。都合54.77%の教育委員会から何等かの解答を得た。この調査から、小学校の健康管理体制は自治体毎に大きな差異があることがわかった。また、日本の小学校における健康管理体制の現状にはまだまだ改善する余地が多々あると感じられた。今
後、産業医の手法や考え方なども勘案し、小学校の健康管理体制の改善に向けて努力すべきであると考える。【参考文献】松永貞一;日児誌105巻131~134,2001

3)内海裕美   吉村小児科 (医 東京都文京区)
 「絵本の中に描かれている子どもから学ぶ発達心理臨床」

少子化の時代に育った子どもたちが親になっている。子どもがわからない大人が増えている。正常の発達の過程ですら正常か異常か、問題なのか問題でないのか悩みの種になっている。絵本には子どもたちの発達の様子(仕草、気持ち、表情、反応など)が非常に細やかにしかも的確に描かれている作品が多い。子どもにかかわる人(保護者だけでなく小児科医もふくめて)の子ども理解に非常に有用だと考えている。わたしは子育て支援の一環として絵本の読み聞かせやブックトークを続けてきた。絵本の中に描かれている子どもたちからどのように子どもの発達を理解していくか、それをどう親に伝えるか、さらにそれを子育ての現場で、さらに育児支援にどのように活かせるかを臨床上の経験も交えて発表した。

4)原 朋那   はらこどもクリニック (医 埼玉県所沢市)
 「クリニックでは麻疹ワクチン接種をいつ受けているか-10年間の経験から」

小児科医が最も強力に薦めてきた筈である、麻疹ワクチン接種の効果を接種を受けた子どもの数、月齢、月別の数などから検討してみた。1995年から2001年までの自施設の内容をみると、周辺の医療機関の増加に伴い経年的に接種を受ける子どもの数は減少してきていたが、’01年_施設を移転し、予防接種専用の場を確保したこともあって増加していた。ポリオ、BCGが集団で行われる時期には麻疹の接種者が減少している。この数年は、インフルエンザの接種が増加して、自施設での予防接種を行った数は著増しているが、その期間は麻疹の接種を受ける子どもの数は減少していた。接種を受けた月齢は誕生月までに接種を受けていたのは8.5%が39.2%へ15ヶ月までに受けた例が26.4%から71%へ18ヶ月までが52.8%が83.5%_ヘ、2歳までが75%が90%へと接種を受ける月齢が早くなっていた。接種を受ける月齢が早くなっていることは運動の効果は出ていると判断した。

5)峯 真人   峯小児科 (医 埼玉県岩槻市)
 「重症麻疹全国調査報告、日本小児科医会の調査から」

6)草刈 章   くさかり小児科 (医 埼玉県所沢市)
 「電子カルテ導入の課題」

ここ数年のハード、ソフトの進歩によって、電子カルテの導入は現実味のある課題となり、平成12年12月、ある情報処理エンジニアと電子カルテ導入の支援について契約した。各種ソフトを比較検討するなかで、操作性、拡張性、セキュリティ、カスタマイズの自由度、ORCAとの接続などについて優れている鎌倉市佐藤病院小児科医、高橋 究 氏の作成した電子カルテソフト「WINE」を導入することにした。平成13年1月から同ソフトを当院の診療事情に合致するようにカスタマイズし、10月から試験運用を開始した。導入には1年以上の準備期間、専門家のサポート体制、ハードの調達と環境設定、事務室の改装、従業員の教育などを必要とした。また費用はソフト代、サポート料、ハードの調達など300万円以上の費用を必要とした。

10:15-10:25 休憩

10:25-10:55 日本外来小児科学会電子カルテ検討会の報告 座長:五十嵐正紘 (医 東京都練馬区)

1)WS「使い勝手の良い電子カルテをみんなで作りませんか」のアンケート結果
 清水 健   しみず小児科 (医 奈良県天理市)

電子カルテ使用者と未使用分けてアンケートを行なった。未使用者の導入時の問題は、入力の問題、トラブル時の対応、電子カルテの将来性、今までのデーターはどうする、費用の問題、などがあった。しかし、電子カルテを導入して良かったと、ほとんどの使用者が答えており、解決できることが多いと思われた。使用者の電子カルテの利点は、いつでもどこでもカルテが見られる、検索が優れている、トラブルが減った、カルテの検索や保存問題、処方が楽などがあった。電子カルテ使用上我慢できないこととして、速度、レセプト機能、小児科対応でない事、真正性の問題等があった。価格、サポートは現状で概ね問題なしと考えられ、電子カルテの機能はカスタマイズを希望する人が多かった。予防接種、健診も別画面が必要と思われた。これらを参考にして電子カルテ検討会で新しい電子カルテを作る予定である。

2)外来小児科が電子カルテに求めるもの
 片岡 正    かたおか小児科クリニック (医 神奈川県川崎市)

2001年4月より外来小児科学会電子カルテ検討会(五十嵐正紘会長)で「小児科外来で使う電子カルテ」について、求める機能、実現の可能性を検討してきた。その結果を集積して仕様を決定し、「外来小児科学会が推薦する」電子カルテをプロダクトとして実現する事を目標とした。ワークショップやメーリングリストで会員からのアイデアや要望をくみあげ、電子カルテが実現した際の著作権は外来小児科学会が持つこと基本とした。日医ORCAプロジェクトと連携し、OSに依存しないシステムが望ましいと考える。基本コンセプト、臨床研究に使うための機能、医療判断の質の向上を図れる機能、患者満足度の向上を図れる機能、小児科として使い勝手をよくする機能、医療事務の効率化を図れる機能などについて検討した。

10:55-11:45 特別講演 座長:草刈 章 (医 埼玉県所沢市)
 
「電子カルテの現状と未来(仮)」 高橋 究 先生 鎌倉市佐藤病院 (医 神奈川県鎌倉市)

11:45~13:00 昼休み

13:00~16:00 アドボカシー委員会主催シンポジウム

1)基調講演:社会的課題を実現するためには?
 講師:田中尚揮先生(NPO事業サポートセンター)

2)国会議員に話したこと
 横田 俊平先生(横浜市立大学小児科)
 山田 至康先生(六甲アイランド病院)
 崎山 弘 先生(崎山小児科)
 内海 裕美先生(吉村小児科)

3)パネルディスカッション


第10回東日本外来小児科学研究会(平成14年3月24日(日):茗渓会館(東京都文京区)

2002-03-30 15:27:42 | 研究会集会
第10回東日本外来小児科学研究会(平成14年3月24日(日):茗渓会館(東京都文京区)

プログラム

開会挨拶(10:00-10:05) 内海裕美(東京都)
第1部 (10:05-10:45)

1:フレーバーの甘味づけによる服薬困難の改善 稲垣美千代(薬)
2:横浜市内における黄熱ワクチン接種の状況ー小児を中心にー 小出由美子(看)

特別講演(10:50-11:20)

小児科医に期待すること」 杉山千佳(セレーノ)

第2部 (11:30-12:30)産科との連携した子育て支援

3:周産期の育児支援にのめりこんだ小児科医の話  柳本利夫(医)
4:1ヶ月健診で得られた情報を還元した周産期の育児支援 門井伸暁(医)
5:新米ママ訪問に参加して 細部千晴(医)

12:30-13:30 昼休み
13:30-13:45 今後の研究会の運営について(総会)

第3部(13:45-14:45)

6:子育て支援のための地域の勉強会 横田俊一郎(医)
7:小学校授業は楽しい!一度やるとやめられない 宝樹真理(医)
8:ブックトーク(育児支援に絵本を生かす試み) 内海裕美(医)

教育講演 (14:50-15:50)

「抱きしめられたい母親たち」 たけなが かずこ(マザリング研究所)

第8回東日本外来小児科学研究会(平成13年3月25日(日)):川崎市健康・検診センター

2001-03-01 15:20:16 | 研究会集会
第8回東日本外来小児科学研究会(平成13年3月25日(日)):川崎市健康・検診センター

プログラム

10:00-10:05 開会挨拶 山中龍宏(横浜市)

10:05-11:30 一般演題 座長:横田俊一郎(小田原市)

1)外来小児科学会員の院内検査体制 --WSアンケート結果から--
佐藤順一(横浜市/さとう小児クリニック)岡本裕一(綾瀬市/綾瀬市保健医療センター)
 
 第10回日本外来小児科学会年次集会(大宮)で開催したWS「小児科クリニックの効率 的な立ち上げ-その2:検査機器」での資料として、既開業の会員を対象に検査機器の 所有と活用状況に関するアンケート調査を行った。回答数は143、主な機器の所有率はレントゲン86%エコー45%血球計数器71%心電計84%であった。また院内迅速検査 実施率はCRP76%溶連菌76%インフルエンザ53%であった。これらの詳細と活用状況 について診療規模を加味して報告する。

2)川崎市の小児救急医療体制の現状とこれからの展望
森島 昭(川崎市/森島小児科内科クリニック)片岡 正(川崎市/かたおか小児科クリニック)

 川崎市では小児一次救急患者の病院集中=夜間休日診療所の低迷が問題となってい た。病院小児科、小児科医会、医師会が集まり「川崎市の小児救急医療を考える会」を発足させ、現状の打破を探っている。これまでの経緯と今後の展望について報告する。

3)渋谷区医師会付属診療所予防接種部門(旧:予防接種センター)の実績
 宝樹 真理(渋谷区/たからぎ医院)

1968年東京都渋谷区医師会付属診療所予防接種センターが全国に先駆けて設置された。開設以来30年の実績と現状をまとめて報告する。

4)インターネット上での診療予約の試み
 宮田章子、渡部寿美子(立川市/みやた小児科)高下弘(Net Walker ふっさ)

 当院はコンピューターによる電話自動予約システムを採用しているが、それに加え自 院のHP上に、乳児健診と予防注射の予約ができるようプログラムを構築したので、供覧する。電話予約に比較して視覚からの情報を提供できることにより予約状況の把握が容易になり、予約の際の細かい説明なども画面で検索できる。また電話回線の混雑解消や操作の簡素化もでき今後の診療予約の重要な選択肢になるとおもわれる。

5)小児の事故防止 -- 親に行動変容をおこさせる外来場面をめざして
 山中龍宏(横浜市/緑園こどもクリニック)内海裕美(文京区/吉村小児科)

 小児の健康を守り、推進する役割を担う小児科医として、事故防止活動をどのように展開したらよいかを提案してみたい。事故防止活動の目標は、事故そのものを減らすことではなく、保護者に事故防止のための具体的な行動変容をさせることである。今回は、3か月と2歳の子どもを連れた母親に対し、健診の場でチャイルドシートの着用をすすめる小児科医という状況を設定し、ロールプレイで展開してみたい。

11:30-12:10【講演1】座長:山口乙丸

小児ぜんそくのパッチアダムスになりたい
-患者さんも、そして僕らも元気になれる治療をめざして-
 ■吸入ステロイドの小児ぜんそくにおける位置づけ
 ■ガイドラインをどうやって使いこなすか
 ■小児のEarly intervention って何だろう
 ■患者さんが楽しくなるような情報支援
 山本 淳(横浜市/星川小児クリニック)

特集 2000-2001シーズンのインフルエンザの総括

13:10-13:50【講演2】座長:山中龍宏

インフルエンザ脳症:病態と治療 水口 雅(自治医科大学小児科)

13:50-14:30【講演3】座長:宝樹真理

2000-2001年シーズンのインフルエンザと迅速診断による新しいサーベイランスの試み
 砂川 富正(国立感染症研究所・感染症情報センター実地疫学専門家養成コース)

14:30-14:40 休憩

14:40-16:00 【インフルエンザ関連演題】 座長:片岡 正

1)A型インフルエンザに関連して発症したADEMの一例
 富田秀治、山下行雄、長 秀男、安部 隆、御宿百合子、中尾 歩、麻生泰二、酒井忠和、後藤美和、南 裕子、武内可尚(川崎市/川崎市立川崎病院)

 9歳男児。2日間の高熱が続き意識障害が出現し当科入院。自宅でジクロフェナクナトリウム坐剤を使用していた。脳浮腫、髄液細胞増多を認め迅速診断でA型インフルエンザ陽性であったことから当初インフルエンザ脳炎と考えた。人工呼吸管理、アマンタジン、DEX、グリセオール、IVGG大量療法を行い15病日に抜管。以後急速に回復し後遺症を残さなかった。経過中のMRI所見からはADEMが疑われた。

2)乳児のインフルエンザワクチンの抗体獲得について
 山本 淳(横浜市/星川小児クリニック)内海 裕美(文京区/吉村小児科)高橋 菜穂子(町田市/小児科高橋医院)

 2000-2001インフルエンザシーズンを前にして、2000年生まれの乳児50例を対象に獲得抗体価の検討を行った。その結果、とくにA(H3N2)の抗体獲得がきわめて不十分であることなどがわかった。この結果を検討し、考察を加えて発表する予定である。

3)インフルエンザワクチン接種体制についてのアンケート
 片岡 正(川崎市/かたおか小児科クリニック)

 東日本在住の外来小児科学会会員に昨年のインフルエンザワクチン接種の体制について、アンケート調査を行った。接種数や、接種時間帯、予約体制、広報体制などの集計結果を報告する。

4)インフルエンザ迅速診断検体採取の工夫
 崎山 弘(府中市/崎山小児科)

インフルエンザの迅速診断は、一旦導入すると、冬期の日常診療に欠かせないと思えるほどに簡便で有用な診療技術である。しかし、インフルエンザの確定診断がウイルス培養かPCRによるウイルスゲノムの検出であるとするならば、迅速診断は間接的で補助的な診断方法という位置づけにある。この迅速診断法を臨床に活かすためには、感度(インフルエンザを正しくインフルエンザと診断する比率)と特異性(インフルエンザでないものを正しくインフルエンザでないと診断する比率)を最大にするように努める必要がある。キ仕様書によれば、咽頭拭い液よりも鼻腔吸引液を検体とした場合に、感度と特異性が良好となっている。当院では、3年前の迅速診断導入時より、鼻腔吸引液を検体として利用している。その採取方法について、私の工夫を紹介する。


第7回関東外来小児科学研究会(平成12年10月29日(日)):立川市

2000-11-30 15:12:34 | 研究会集会
第7回関東外来小児科学研究会(平成12年10月29日(日)):立川市女性総合センターアイム5F学習室3

プログラム

13:00-13:05 挨拶 宮田章子(みやた小児科 東京都)

13:05-13:40 話題提供「待合室はコミュニケーション広場」 牧田栄子(オフィスマキタ 東京都)
情報を伝達する所は診察室だけですか?
医療機関の情報は、「医師」から、「診察室」で伝えられることがほとんどですが不安を抱えて受する母親たちは病院に入ったときから情報を受けて判断しています。親の病院選びの選択肢の第1は医師のキャラクターですが、「待合室」もあなどれません。待合室は、診察前後の単なる通過点ではありません。そこには、医師やスタッフのメッセージやツールがたくさんあります。親側の子育て事情も集まります。そこで医療側と母親側のコミュニケーションの場として、待合室の工夫や活用、またそれにふさわしいネーミングを考えてみては、いかがでしょう。

13:40-15:00 情報伝達する工夫-患者からのニーズ 座長 宝樹真理(東京都)

@nifty-FCHILDの子育て相談(子どもと病気の部屋)から見た相談
 内海裕美(吉村小児科 文京区)渋谷好孝(函館保健所 函館市)

15:00-17:00<ワークショップ>情報を伝達する工夫-医療機関側から-

第1部 医療機関が伝えたい情報 座長 崎山 弘(府中市)

1.開業医が作ったホームページの顛末
 宝樹真理(たからぎ医院 渋谷区)

2.院内の貼紙
 時松 昭(時松小児科 所沢市)

3.その他
 色々な医療機関での掲示やパンフレットなどを持ちよってその意図、利点、欠点などを話し合います。(供覧資料がありましたら当日お持ちよりください。)

第2部 患者から得られた情報を還元する工夫 座長 原 朋邦(所沢市)

4.第10回日本外来小児科学会WS「医療情報開示時代の外来小児科の診療」の報告
 草刈 章(くさかり小児科 所沢市)

5.開示されたカルテや薬剤情報、患者ノートなど実物供覧しながら討論します。(供覧資料がありましたら当日お持ちよりください)