緒形拳の大石内蔵助

2008-10-07 23:56:35 | 雑記帖
1982年(昭和57年)はNHKの大河ドラマ「峠の群像」を見ていました。
緒形拳にはまっていたからです。

この年は会社を起ち上げて2年目。
南新宿のマンションでワイワイ楽しくやっていましたっけ。
社員はたしか8人でした。
同い年のユウコさんは瞬間芸の特技があって、彼女の形態模写は抜群に面白かった。
月曜日には前日に放映された「峠の群像」から、ユウコさんが「あの場面をもう一度」演じるのがお楽しみでした。

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「峠の群像」は忠臣蔵ものです。 堺屋太一の脚本は忠臣蔵を仇討ち劇としないで、倒産した企業(赤穂藩)の元社員たちのその後の人生を追うスタイルだった。 緒形拳演じる大石内蔵助の心理劇という面もあり、わたしはこの番組で緒形拳のファンになりました。
さて、緒形拳が演じその翌日にユウコさんも再演した、今でも鮮明に覚えている場面があります。

浅野内匠頭の刃傷沙汰により、赤穂藩お取りつぶしの沙汰が赤穂城の家臣たちに伝えられた日のこと。 上を下への大騒ぎとなった家臣たちをなんとか宥めた大石内蔵助は、ようやく帰宅いたします。

夜遅く、ひとりで食事をする場面。
張り詰めていた気持ちがほぐれていくに従って大石の目に涙が浮かんで来る。 嗚咽しながらそれでも飯を食い続ける大石内蔵助。
やがて胸の思いがこみあげて我慢ができなくなった大石は、両手で顔を覆い、口に頬張っていた飯を吹き出し、飯つぶにまみれて大泣きをする。

あれはすごかった。 悲しいやら汚いやら、ああいう表現があるんだなぁと感心しました。
翌日、この場面をユウコさんが再現したのですが、これも別な意味で大悲劇。(笑)
「そこまでやらなくても~~」と室内に悲鳴があがりましたから。

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年齢の割にはやつれている印象があったので、映像を見るたびに気にかかっていたのですが、とうとうお亡くなりになったのですね。
緒方さんの臨終について津川雅彦さんが語っているところでは、津川さんの表現力がありすぎて、怖いような気持ちになりました。

ためいきひとつです。 ご冥福をお祈りします。



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