西の里（信）の側線に特急貨物列車が停車します。退避列車が通過すると程なくして出発信号機が注意現示されると、短い汽笛と共にＤＤ５１重連は起動開始しました。しかし、動き出してすぐ次機が空転。さらに本務機も空転が始まってしまいました。砂が撒かれ空転が収まると、フルノッチになりＤＤ５１はボディーを左右に小刻みに揺らしながら発車していきました。私が見たＤＤ５１の姿で間違いなく、５本の指に入る程の凄い迫力でした。 ９２，１２，２３ 西の里（信） ３０７１レ ＴＭＹ スキャナー ： Ｎｉｋｏｎ ＣＯＯＬＳＣＡＮ ⅣＥＤ
２０年前の１２月は室蘭・千歳線でＤＤ５１の重連列車を撮影しています。この当時、ＤＦ２００は９０１号機が登場していましたが、まだ試験走行を繰り返し実績データを蓄積している状況でした。一方、千歳線千歳空港―札幌間は急速に列車増発がなされ、ＪＲ北海道としては出足が悪い貨物列車が眼の上のたんこぶの存在になってきていました。定期列車が定時で運転されていれば問題ないのですが、ひとたびダイヤが混乱すると他の列車の閉塞を受けた貨物列車が減速します。その後、信号現示が上位信号になり再加速する際、どうしても電車並の加速を望むことは出来ず、さらにその貨物列車の後ろを走る列車は今度は貨物列車の閉塞を受けて更に列車が遅れると言う悪循環を繰り返していました。そこでＪＲ北海道はすこしでもこの弊害を減少させる目的で特に定めた貨物列車をＤＤ５１重連牽引にして加速を少しでも良くして定時運転確保をしようとＪＲ貨物にＤＤ５１の重連運転を要請しました。
このような経緯から９２年１０月から鷲別―札タ間で多数の貨物列車でＤＤ５１の重連運用が出現しました。ダイヤが込み入っている時間帯と千歳空港―札（タ）に退避がある列車が主に重連となったために撮影には好都合でした。
西の里（信）に停車したＤＤ５１重連はここぞと言う場所で停まってくれました。まるで私だけのための撮影会の様な絶妙な場所です。 ９２，１２，２３ 西の里（信） ３０７１レ ＴＭＸ スキャナー ： Ｎｉｋｏｎ ＣＯＯＬＳＣＡＮ ⅣＥＤ
この時はＪＴＢ主催のクリスマスパーティーツアーを利用しました。往復の飛行機の便が指定されている事、さらに２３日の夜にパティーが開催されそれに参加する以外はフリーで撮影に好都合でした。札幌でレンタカーを借りて２日間、ＤＤ５１重連三昧でした。今振り返るとＤＤ５１の重連が次々にやってくると言う信じられない時代でしたが、何と言っても極めて例外を除いて原色のＤＤ５１しか来ない時代でしたのでストレスの無い撮影が出来たのが何とも幸せな時代だったと思います。
北海道の夕暮れは駆け足でやって来ます。１５時前後に通過するこの列車も光線はほとんどない状況でした。 ９２，１２，２４ 上野幌－西の里（信） ３０７０レ ＴＭＸ スキャナー ： Ｎｉｋｏｎ ＣＯＯＬＳＣＡＮ ⅣＥＤ
