【現代思想とジャーナリスト精神】

東京都知事選から福島県知事選に継承されたもの



櫻井智志

 十月九日に告示され、二十六日に投開票される福島県知事選は、自民党が民主・社会・連合に公明党とともに相乗りしたことで、「逆オール福島」の態勢がしかれた。一方、反原発陣営は宮古市で市長を務める医師の熊坂義裕氏と元双葉町長の井戸川克隆氏が出馬を表明したことで、反原発陣営が分裂しそうになっている。

 日本共産党福島県委員会のホームページhttp://jcp-fukushima.de-blog.jp/を見ると、八月中旬に「みんなで新しい県政をつくる会」の方針http://jcp-fukushima.de-blog.jp/blog/files/14_8_12.pdfが掲載され、そこではオール福島の視点が述べられている。けれど九月二十日現在の選挙戦の情勢に対応するなにものも書かれてはいない。


  “脱原発”の熊坂義裕を応援する全国勝手連 結成記者会見
https://twitter.com/kurahonn/status/512538419654688768
そんな中、都知事選で細川氏と宇都宮氏にわかれてそれぞれの選対に入った弁護士の河合弘之氏と海渡雄一氏とが、木村結さんや新里宏二弁護士とともに発起人となって、「“脱原発”の熊坂義裕を応援する全国勝手連」を結成して記者会見を開いた。それを聴きながらはっとした点を列記したい。

①自民党の高等戦略で自社公民の態勢が敷かれれば、敗北主義の気分に陥った反原発・抜本的でチェルノブイリなどから学んだ福島原発事故対策はその時期を決定的に失う。
②細川護煕氏は都知事選の疲れを癒して福島知事選の運動には参加しない。小泉純一郎氏は「新エネルギー」開発対策に取り組んでいて、福島知事選には対応しない。
③卒原発を掲げた嘉田前滋賀県知事は、現知事の三日月氏への支援忠告に取り組み、遠く離れた福島県の知事選に実効的な運動ができないので、直接福島知事選に加わらない。
④福島県の知事選に東京で勝手連を結成して動いているのは、熊坂候補から河合氏らに呼び掛けがあり、その動きに連動して福島県内で多数の勝手連が立ち上げられていく。

 私は「みんなで新しい県政をつくる会」「オール福島」から「全国勝手連」と進む選挙の文脈から、日本共産党や「県政をつくる会」は、熊坂義裕氏を支援していると思い込んだ。しかし、「県政をつくる会」は熊坂氏を支持表明してはいないと忠告の市民からのご意見をいただいた。その後に井戸川克隆氏が出馬表明した。井戸川氏は前回の参院選で谷岡郁子氏が党代表を務めた「みどりの風」から比例区で立候補された。しかし、予想外にみどりの風が得票が少なかったために、当選できなかった。

 反原発連合の実質的で有能な弁護士二人は、都知事選での分裂を克服して、福島県知事選では共闘して取り組む。ただ新たに出馬したことで、熊坂氏と井戸川氏は反原発の支持票を分かち合うかたちが作られつつある。さらに、日本共産党と「県政をつくる会」は、いまだ沈黙したままである。もっとももうひとつ重要な沖縄県知事選に日本共産党は全面的に論陣をはり、実践にいそしんでいる。

 これから福島県知事選挙告示までに、熊坂氏・井戸川氏・日本共産党支持候補と三極の陣営が急速に動くことが考えられる。沖縄県がかかえている問題は日本の国民の憲法と平和運動の今後を占う重要な方向性をもっている。その点で共産党の動静は了解しうる。ただ、福島県知事選は、事故をおこした原発が今もくすぶっており、排水は高度の放射能を海にまき散らし続けている。それは職光連鎖を通じて諸外国もそうとう困難な大問題として、国際問題である。まして、2020年東京五輪に向けて、全く実態と反する原発収束をまくしたてた安倍総理の国際公約によって、オリンピックに実際を知る多くの外国人たちは、原発事故の処置に対応する日本国政府の詭弁と対応のまずさを感じるだろう。こ の間も東京近辺の都市で震度五の地震で首都圏では人々を驚かせた。保者政治家でも構わない。まず原発の事故措置に国の内外の英知を集めて、最も困難な生活を送っている県民の生活水準保障生活政策を実行することだ。
 それには反原発派と原発再稼働派という全く矛盾する自社公民推薦候補では、当選するだけでその後は何もできまい。

 党勢拡大や赤旗購読者を増やすことの外側で、日本共産党は絶対に負けられない、なぜなら生命保障と直結しているからだ、福島県知事選挙に、熊坂氏や井戸川氏と胸襟を開いて、福島県知事選勝利の展望を福島県民、日本国民、国際社会の世論にアピールしてほしい。ずるずると告示日を迎えるようなことは絶対ないと信じているが。国土が放射能で汚染され、放射能による子どもたちの甲状腺がんが発生し、後から広島や長崎のような被害者が続出させないこと。いま、何が最も大切なのか。
 都知事選だけが知事選ではない。福島と東京と全国と沖縄と。連鎖する諸問題に、未来の歴史の検証に堪えうる政治的実践。

いま、反原発派は、そして私たち国民と在日外国人は、最も困難で重要な岐路に立たされている。福島で勝利して沖縄県知事選を迎えようではないか。そのために小生もできることは実行したい。

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