テレビが地上デジタル放送に完全移行する7月24日まで、いよいよ約1カ月。夏のボーナス支給と価格の下落が追い風となり、地デジに対応した薄型テレビの商戦が盛り上がっている。買い替えが一巡すれば需要は一気に冷え込むとの見方もあり、家電量販店やメーカー各社は“最後の特需”を取り込もうと躍起だ。
「6月のテレビ販売は例年のボーナス商戦以上に伸びており、一緒に地デジ化工事を申し込む人も増えている」。こう語るのは、ビックカメラなんば店(大阪市中央区)でテレビ販売を担当する東幸志(あずま・こうじ)主任。同店ではアナログ放送終了までの日数を売り場に表示。地デジ相談の専門カウンターを設けるなど、買い替え需要の取り込みを狙う。
調査会社のBCNによれば、全国の大手家電量販店の5月の薄型テレビ販売台数は前年同月比で約1.8倍に拡大した。さらに「アナログ放送終了前の駆け込み需要」(大手家電量販店)もあって、6月13~19日の期間は約2.6倍に伸びている。
総務省が3月10日に発表した調査(平成22年12月時点)では地デジの世帯普及率は約95%で、その後も高まっているのは確実。地デジ対応テレビの普及が一段落すれば、「今後しばらくテレビの需要が盛り上がることはない」(BCNの森英二アナリスト)だけに、最後の特需を逃すまいと商戦は熱を帯びる。
BCNによれば、5月の32型薄型テレビの平均価格は約4万7千円(税抜き)と1年前に比べ約35%も下落。大阪市内の家電量販店では32型の一部液晶テレビが3万円台で売られる。3月末の家電エコポイント終了で抱えた在庫を処分するため、家電量販店が「値下げ合戦」を強いられ、価格下落に拍車がかかる。
しかし、過度の価格下落でテレビメーカーは「採算が合わない」(大手電機幹部)と悲鳴を上げる。パナソニックやソニーなど大手メーカーは、販売台数が増えているにも関わらずテレビ事業は軒並み赤字だ。
販売価格の引き上げを狙い、各社は3D(3次元)やネットワーク対応など高機能テレビを売り込むものの、足元の買い替え需要は低価格機種が中心。高機能テレビへの関心が本格的に高まるのは、メーカーの思惑をよそに、地デジ完全移行後となりそうだ。
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総務省が3月10日に発表した調査(平成22年12月時点)では地デジの世帯普及率は約95%で、その後も高まっているのは確実。地デジ対応テレビの普及が一段落すれば、「今後しばらくテレビの需要が盛り上がることはない」(BCNの森英二アナリスト)だけに、最後の特需を逃すまいと商戦は熱を帯びる。
BCNによれば、5月の32型薄型テレビの平均価格は約4万7千円(税抜き)と1年前に比べ約35%も下落。大阪市内の家電量販店では32型の一部液晶テレビが3万円台で売られる。3月末の家電エコポイント終了で抱えた在庫を処分するため、家電量販店が「値下げ合戦」を強いられ、価格下落に拍車がかかる。
しかし、過度の価格下落でテレビメーカーは「採算が合わない」(大手電機幹部)と悲鳴を上げる。パナソニックやソニーなど大手メーカーは、販売台数が増えているにも関わらずテレビ事業は軒並み赤字だ。
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