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女医のひとりごと

外科医である女医♪が専門的なことからぶっちゃけ話までいろいろな「ひとりごと」をいいます。

レセプト

2005-06-03 20:51:47 | 病院ネタ
毎月はじめになると帰るのが遅くなる日があります。
それはレセプトー!

実は今日がその日だったわけですが、レセプトとは医療機関が保険組合に請求する
診療報酬明細書のことで、医師は患者さんに行った治療や投薬、検査などが妥当であるかどうかを
提出する前にチェックしなければなりません。

簡単に言えば患者さんには病名があって、その病名に適した加療をしているかを見るのです。

事務の担当者が前月分のレセプトを打ち出して医師に渡します。
医師は病名と治療を照らし合わせます。
たいがいは実際している治療にあわせて病名を追加する形です。

それがまたたいへん!
入院分と外来分とあるんですけど、例えば便秘症=便秘薬、とかは単純で分かりやすいんですけど
保険組合も現金なので、100万円以上のレセプトには「付記を書け」と言ってきます。
あーしてこーしてこんなになんたんや!ってちゃんと書かないと
「レセプト漏れ」になっちゃいます。
単純に前述のごとく、入院も外来も二人のキャパシティーを超えた患者を診察しているので
数も結構なものです。

しかも適応がいろいろあって、その病気にこの薬は効くのに適応症に入ってないから
違う病名を書かなきゃ、なんてこともあります。
これは頭の固いお上のすることという感じがします。

あと、くせものは研修医!
研修医は救急での当直をしているときに、けっこう適当に病名をつけます。
もちろん、診察自体は上のドクターに聞きながらしているんでしょうけど、
病名はどうせ違うドクターがチェックするからいいやと思ってるのか知りませんが
とにかく適当な病名をつけるんです。
だからたいがい病名を付け替え、部位なんて書いてあるほうが珍しいから部位をつけたし、
付け足すためにはIDをいれてカルテを開いて、病名を変更して…とすごく手間なのです。
これを読んでる研修医!病名をきちんと書いてください!部位もね!
だからと言っていちいちちょっとしたことで呼び出されるのはもっと大変なので
あんまり大きな声ではいえませんが。
できるだけ頑張って書いてね☆

実際、レセプトの仕事は医学生のころも存在すら知りませんでした。
研修医の頃も、研修医はそんなチェックをできませんから(何と何が妥当かを判断できないので)
対岸の火事状態でした。
でももう大事な月一回の仕事になってしまいました。
医者はこんな事務作業もしているんですよー。

MRさんとの関係

2005-06-02 22:54:41 | 病院ネタ
久々に医療業界のお話です。

MRという職業をごぞんじですか?
MR=Medical Representatives,医療情報担当者です。
つまり,製薬会社が自社の医薬品の情報や副作用の情報などを説明するために
病院を訪問する,いわゆるプロパーさんです。

MRさんは結構大変な仕事です。
基本的に営業がお仕事です。
自社製品の情報を知らせるだけが仕事ではなく,やはり売り上げが関与してくるので
いかに自社製品を売り込むかも考えなくてはなりません。
売り上げを上げるためには医者に使ってもらうしかない!
そのために,若いペーペーの医者にもぺこぺこしているおじさまMRさんもいます。

われわれとしても,情報が得られると使いやすいことも多々あるし,
自分の知っている薬よりもいい効果があるのであればいいほうを使いたいとも思うし,
そもそも耳に残っている名前を使うことも多々あり。

同じ薬だけど出している会社が違って名前が違う薬や,
似たような作用をする薬でも各社が競って薬を出していたり。
そんな場合はやっぱり耳に残っている薬を出します。
ここがMRのねらい目でもあるでしょう。

あとは人間の「情」として,がんばっているMRさんにはなんとかしてあげたいとも思っちゃいます。

MRさんは何でもしてくれちゃったりします。
こないだは前任地の秘書が女医♪への荷物をMRさんに頼んで
わざわざ女医♪の勤務地まではるばる持ってきてくれました。(持って来させました,です)

MRさんはおいしいお店などもよく知っています。
だから「この地区でおいしいお店ないですか?」ときくとすぐに教えてくれます。

MRさんはよく販促商品を持ってきてくれます。
自社の薬の名前の書いたボールペンが代表例です。
そのほかにも変わったものがあります。
携帯ストラップ,防犯ブザー,歯磨きセット,ひざ掛け,卓上掃除機,
いま思い出せないけれどもたっくさん種類があります。

女医♪はやっぱりMRさんとかともいろいろ話をできたらいいなと思います。
前任地では仲良くなれて,気軽にいろいろな話を聞くことができたのに,
今はそれもできません。
MRさんがドクターに話しかけることができる場所と時間が決められています。
もちろん,こちらが呼べばいつでも来ることができますが。
今の病院ではMRさんはほんと住みにくいと思っていると思います。
営業もしにくいですしね。
その分女医♪も少々寂しい思いをしてるんですけどね。

MRさんのブログもあるのであわせてみてみるとおもしろいかも!?

女医♪とその周囲の先生方

2005-05-31 23:15:59 | 病院ネタ
女医♪は現在大病院の一医師として勤務しています。
大病院というのも,当病院は医師が130人以上います。
患者数は700オーバーでないでしょうか。

そんななかで医者がいっぱいいたらお友達もいっぱいいるんだろうと思いきや,
プライベートでお付き合いするようなお友達はなかなかできません。
その理由として,患者さんのことでないと他科の先生としゃべる機会がない!
例えば医局だとかで他愛もないことをしゃべる機会がないのです。

それが!現在の病院に赴任して2ヶ月ですが,やっと誘ってもらえるようになって来ました。
今日は内科の女医さんに「今度ご飯いっしょにいきましょう★」と誘ってもらい
すごくすごくうれしかった!
その先生は女医♪より年数は少ないけれども,もちろん専門分野もまったく違うのですが
非常に「できる女医」なのです。
その女医先生とは,その女医さんの患者さんの緊急手術を女医♪が休日に担当したという
経緯でお話しするようになりました。
はじめはほんとに患者さんのことだけしかしゃべらなかったんですが,
少しずつ他愛もないことをしゃべるようになり今日のようになったのです。ルンルン

そのほかにも,以前医局歓迎会の際にお酒を一緒に飲んでいた先生方で
グルメツアーをしようということになり,それが現実化してきました。

そのほかにもやっと少しずつプライベートのお話をすることができるようになってきたのも
やっぱりまめさが大事なのかなあと思います。
ご飯を食べにいかないまでも,お話できる程度の先生というのは
例えば友人の同級生でそれをねたに話しかけてみたり,
一緒に手術に入った先生に対してはその患者さんのことでちょっと話しかけてみたり
そんな女医♪なりの地道な努力が2ヶ月たって少しずつ身になってきた気がします。

ここにくるまでは,最低でも週1回以上は外食をしてました。
それが最近は急患さえない限りほとんど家でご飯を作って食べています。
それはある意味いいことではあるのですが,女医♪の精神衛生上はいまいちです。
実際ダイエットをしているわけではないのに体重が落ちてきました。
もっといろんな先生とお友達になっていろいろ気軽に教えてもらえるといいな。
もっと女医♪を誘って

すごい病院!

2005-05-29 22:39:15 | 病院ネタ
女医♪の勤める病院は昨年の秋新築されました。
女医♪は前の病院は知らないのですが、相当古かったそうです。
カルテはもちろん紙カルテ、病院も30年もので相当狭く汚かったと聞きます。
それが今ではひじょーーーーに綺麗な病院です。

噂には聞いていましたが、行って一番初めにビックリしたのが
病棟の大部屋です。
女医♪は前任地で大部屋は窓際と廊下側で開放感や明るさなどぜんぜん違うのに
同じ料金であることがおかしいくらいに思っていました。
(言い換えればサンダーバードと雷鳥くらいの差があるように思います←わかるかな?)
それが新病院では廊下側のベットでも専用窓がある!!
これには最強にびっくりしたし、すごい!画期的!これだよ!と思いました。
作りとしては、大部屋自体が真四角ではなく、両脇がすこしへこんだような形になっていて、
その分部屋の全体的な広さとしては狭くなってしまっているのですが
廊下側のベットにもちゃんと窓があって光が入るのです。
これでどのベットでも大きな較差なく過ごすことが出来ます。

あとは、カルテが全電子カルテであること。
これに関しては女医♪としては少し納得いかないところで、
電子カルテの出来としては、前任地の電子カルテのほうがすすんでいたし使いやすかった。
今の勤務地の電子カルテのほうが後発品なのになんで!?と思うところです。
が、新病院にはシャーカステン(レントゲンをうつす蛍光灯のようなもの)が診察室になく、
すべての画像をパソコン上で見ることが出来ます。

外来で患者さんを呼ぶ時は、パソコンの画面をクリックすると
中待合の液晶に受付番号が表示されます。
つまり、患者さんは番号つけられ、患者さんの名前を呼び出すことはなくなりました。
もちろん、診察室の中では名前でお話しますよ。

病院自体新しいので院内のレストランも綺麗。
他には、だれでも使えるギャラリーのようなスペースがあったり、
図書室、ヘリポートもあります。

女医♪ははじめこの病院に異動になるとき、「陸続きの離れ小島」といわれて来ました。
つまり、海で隔たれた島にあるわけではないけれども、
あまり医局の情報が入らない、そういう意味で距離のある病院だといわれました。
事実、ここで働くとその意味をとても理解することが出来たのですが、
でもその不都合さや寂しさを含めて考えても、新しい病院でよかったと思います。
他に色々なストレスがあることはどこの病院でも同じこと。
それなら、少々忙しくても新しい病院だと気持ちいいからいいな、と思います。

明日からまた新しい一週間、頑張らなきゃっ!

医者の大学院

2005-05-28 22:16:21 | 病院ネタ
ウリさんからリクエストがあったので女医♪を含む医者が行く大学院についてお話しようと思います。

女医♪も卒業した大学院医学研究科というところは一般的な大学を卒業した後にすすむ
大学院と少し違って特殊なところです。

まず医学部を卒業した後に行く大学院は4年間あります。
そして4年間卒業すると一気に「医学博士」(厳密には「博士(医学)」)になれます。

難しいことはおいておいて、女医♪は医学部を卒業してすぐに大学院に入りました。
女医♪は基本的には「臨床医」つまり、患者さんを診察できてなんぼの医者であることが
前提だったで、4年のうちの2年間は自分の選択した科にどっぷり浸かっての研修でした。
そして、大学院2年の終わりにやっと自分の科の教授にテーマを与えられました。

教授からテーマを与えられるとそれについての調べ物をし、
それについての実験を始めていきます。
女医♪はウサギを使った創傷治癒に関する実験でした。

それはそれはつらかった。
いままで大学受験や国家試験の勉強などいやなことはいっぱいしてきましたが、
そのなかでもこれは最強に辛かった。
女医♪にとってもっとももう一度したくないことです。
もちろん、楽しんでされてる方もいらっしゃいますし、
研究に人生を注ぎ込んでおられる先生方を尊敬します。
しかし、根っからの臨床医である女医♪にとって研究生活は毎日苦痛でした。
動物が苦手で、猫や犬も満足に抱っこできない女医♪がウサギを抱えて
麻酔をかけて実験するんですよ!キャーー!
何度ウサギ小屋のオッちゃんになきついたことか。
ウサギ小屋の床をおっちゃんが掃除したばかりでぬれてたところで滑って転んだり、
ウサギが脱走したり、ウサギにおしっこかけられたり…
そんな思い出は数知れず。

しかも、初めの頃はやってもやっても思った結果が出ない!
失敗をたくさん繰り返してやっとこさある程度の結果が出て、それに
枝葉をつけて、別の実験も組み合わせて、ようやく論文を仕上げました。

大学院を卒業するには審査があります。
まず予備審査があり、自分の主任教授である主査と自分の実験内容に長けている
他科教授である主査3名による審査を受けます。
それで、自分が行った実験とその結果を審査され、学位論文にふさわしいものにするために
いろいろと足りないことなどをいろいろと指導されます。
それでさらに追加の実験などを行い、本審査に持ち込みます。
その頃には論文を作成し、実験内容、手技、その結果、考察などなどを書面にします。
それで本審査でふさわしいとみなされればほぼ審査は終了し、
あとは論文の作成と、教授会での承認を待つのみで、無事修了式を迎えることが出来ました。

でもまあ、終わってしまうと不思議なものでつらくてつらくてたまらなかったと思う反面、
自分で「女医♪はよく頑張った」と思い、いい経験をさせてもらったと思っています。
自分の研究結果をいろいろなところで発表する機会を与えられ、
そこでさらに勉強させてもらうことができ、ついでにたくさんの先生方に知り合うことも出来ました。

もしこれを読んでいる医学部もしくは大学院に興味のあるドクターがおられれば
大学院は是非オススメします。
あれだけひどかったといった女医♪が言うのはなんですが、
ペーペーのときに辛い思いをするのは今から思うと非常に自分の糧になります。
いくら臨床でバリバリやるから実験なんていらないわといっても、臨床診療の根底には
基礎的な実験による裏づけがあるのです。
一歩すすんだ臨床医になるには基礎を身につけ、evidenceのわかる医者になるのも
いいのではないか、とおもう今日この頃です

びっくり仰天!

2005-05-19 22:56:59 | 病院ネタ
数日前に入院した患者さんです。
その患者さんとは毎日処置で顔をあわせるのですが,今日一緒に処置についてくれた看護師さんと
患者さんとの3人の会話です。(Pt;患者,Ns;看護師)

Ns  「新聞にあなたの撮った写真が載ってたよ!」
女医♪「え?すごーーい!それっておしごと?しゅみ?」
Pt  「んー,どっちもかな。最近は仕事の依頼も増えてきたし。」
女医♪「どんな写真を撮ってるんですか?」
Pt  「静止画ばっかりだよ。景色とかね。」
Ns  「そうなんだー。じゃあ動いてるもの撮らないの?人とか。」
Pt  「苦手なんだ。でも人は撮りたいと思ってるんだ。先生撮らせてよ」
Ns  「働く女性の姿!?かっこいーじゃない,先生。」
女医♪「そうかもしれないわねー。」
Pt  「いやー,それはあんまり…」
Ns  「もしかしてそんなんが撮りたいんじゃないんじゃないの!?」
Pt  「先生のヌード撮らせて!!前から撮りたいと思ってたんだ!」
女医♪「…」

おいおい,何かと思ったらヌード写真のモデルのお誘い!?
確かにねた的には売れそうよね。「美人(?)女医の裸体現る!」
もーー,やめてよーーーーー。
確かに,働く女性の姿なんていうテーマだったらステキかも!?って思ったのに
大違いです!
女医♪はそんな趣味はございません!

女医と看護師の違い

2005-05-15 22:16:33 | 病院ネタ
女医と看護師の違いを一番感じるのはお昼時です。

看護師さんは大体12時前後になると交代でお昼休憩に入ります。
もちろん,交代なので病棟ががら空きになるわけではありません。

医師は自分の代わりはいないので,お昼時になっても仕事が差し迫っていれば
お昼を遅らせてでも仕事を続ける必要があります,。
お昼を食べれずに帰る時間になることもままあります。

帰る時間もそうです。
看護師さんはある程度自分の仕事が終わればほぼ決められた時間に帰ることができます。

医師も自分の仕事がおわれば帰れますが,たとえば手術が長引いたら
そのまま続ける必要が当然あります。
手術中でも,看護師さんは時間になると交代の看護師さんが来て
ほぼ決められた時間に帰ることができます。

このようなとき,女医♪はいいなーーとつくづく思います。
もちろん,仕事内容もぜんぜん違います。
簡単にいえば,看護師さんと患者さんとの距離も違いますし,
患者さんに接する方向性も違います。
あるときは医師と患者さんの間に立って,また別のときは同じところから
違う目線で患者さんに接します。
初めて「看護」という仕事を確立したナイチンゲールはほんとにすごいと思います。
今では看護師は病院でなくてはならない存在であることは言うまでもありません。

でも女医♪は医師になってよかったと思います。
医者になるんじゃなかったと思ったことも多々ありますが,
それでもやっぱり今の仕事が大好きです。

表現の難しいもの

2005-05-11 23:04:53 | 病院ネタ
患者さんもいろいろな方がいます。

最近の変わった方は明らかに「M」な患者さんです。
初診のときからこのような会話です。

女医♪「痛いですか?」
患者さん「どの程度で痛いといっていいかわかりません」

女医♪「いや,痛かったら痛いっていっていただければいいんですよ」
患者さん「それがちょっと快感だったりするんですよ」

女医♪「え?」
患者さん「いままで思ったことなかったんですけど,今気づきました!」

つまり「masochism」いわゆるマゾです。
それ以来も処置をすると(痛いところを指差して)「そこをやってください」
と指定してくるのです。
最近は「男の人にいたいことをされてもうれしくなってきちゃいました」といいます。

痛くないはずのことをしても過剰に痛がる患者さんもいれば,
痛いはずのことをしてもぜんぜん痛がらない患者さん,
あるいは痛いことをすると喜ぶ患者さんと,ほんと多種多様です。
痛みは個人差があるだけにその評価も困難を極めます。
「狼少年」のように,痛くなくても痛いといっていたら本当に痛いときに
いつものことか,と思ってしまうこともないわけではありません。
患者さん一人一人に合わせた対応や治療を必要とするので
その適応能力といいますか,患者対応バリエーションを得るのも
まずは経験だろうなと思います。

もっとできる女医になるぞーーーー