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女医のひとりごと

外科医である女医♪が専門的なことからぶっちゃけ話までいろいろな「ひとりごと」をいいます。

「必ず治るからね」

2005-08-03 21:06:36 | 診察ネタ
女医♪が主治医をしている患者さんに全身に大変な傷を負った人がいます。
そろそろけがをして1年になりますが,まだ体のいたるところに傷があり
毎日痛い処置をしていますが,3歩進んで2歩下がる,といった経過をたどっています。
患者さんは若く,患者さんなりにがんばってはいるのですが,なかなか傷の治りもリハビリもうまく進まない状態が続いています。

先日その患者さんを視察しに都会からその筋の専門の先生が来られました。
以前にも数回きたことがあったのですが,今回は傷を直接見て,リハビリの先生などと
主治医とでディスカッションをしました。

その傷を見に行ったときのことです。
ボスがガーゼをはがしながら,こんなで…と説明し終わった後,
その先生は何気なくかもしれませんが,患者さんに
「かならず治るからね。がんばろうね。」といいました。

一通りの傷の説明が終わると,女医♪以外の先生などは別室に移動し
先にディスカッションを始めたのですが,
女医♪は看護婦さんと残って処置の続きをしていました。
そのときに患者さんが「必ず治るからね,っていわれた。必ず治るんだ。」といいました。

女医♪も処置の最中にはいつも「よくなってきてるよ」とかの声はかけますが
その筋の専門の先生に「必ず治る」といわれたのが非常にうれしかったようです。
説得力もあったんでしょうね。

患者さんは医師からの何気ない一言がすごくうれしかったり傷ついたりすることがあります。
とある外科の先生はなくなった患者さんの家族から
「本当に感謝していました。先生に下膳してもらったのがうれしかったそうです」
といわれたそうです。
そのほかにも,スリッパをそろえてもらったのがうれしくてならなかった,という話も聞いたことがあります。
患者さんは医師のしていることを非常によく観察しています。
ちょっとした一言もすごくよく覚えています。
それを考えると,われわれ医師は非常に責任のある油断のできない職業だとつくづく思います。
もちろん,医師も人間なので少し失敗することもあります。
でも,それをカバーできるのは唯一患者さんへの思いやりなのでしょう。

少しでも患者さんの心に響く一言で安心させてあげることができると
傷の治りも早いのかもしれません。
ひとときひとときを大事に患者さんに接することの重要性を再認識した出来事でした。

医科と歯科

2005-07-23 18:00:52 | 診察ネタ
どうもやっかいな問題が「医科」と「歯科」の区別です。
もともと,歯をはじめとする口腔内に関するスペシャリストを要請する場所が「歯学部」。
いうなれば,それ以外の体すべてに対するスペシャリストが「医学部」。
一緒のようで違うところがたっくさんあります。

例えば会計。
女医♪のいる病院は歯科,口腔外科(そもそもこの違いがわからない)を含む各科を備えていますが,
歯科とそれ以外の科の会計は別です。
簡単に言うと,保険証を2回だして,歯科のものとそれ以外のものと別々に会計されます。
以前「レセプト」のブログでお話したように,レセプトに関しても別です。
第一,診療報酬の基準自体が別なのです。
だから,歯科用のコストを「医師」がオーダーすることはできないのです。

でも歯科医師は医師の使用するコストを取れることがあります。
例を挙げると,下顎骨骨折を受傷しました。
病院によっては口腔外科(=歯科医師)が治療するところもあればそのほかの科でする場合もありますが,
歯科医師がしても医師がしても,手術のコストとしては医師が使用する診療報酬で落とされます。

でも,下顎骨全体を写すレントゲンをとるとすると,そのコストは医科と歯科とでコストが違います。
(治療内容としては同様のことをしているので,患者さんに大きな違いは出ませんからご安心を)

そして医科は混合診療,つまり保険診療内の診療と保険外の診療を同時に行うことができません。
でも歯科では日常茶飯事的に行われています。

さらに,電子カルテの話を以前しました。
女医♪のいる病院では,全電子カルテといいましたが,ちがいます!歯科,口腔外科は紙カルテなのです!!
(あのブログ記載後に知りました)
だから,女医♪の患者が歯科受診を希望して,歯科に診察依頼をすると,依頼書の返事は電子カルテに記載されますが,
歯科のカルテの内容は参照することができません。
都合が悪いったらありゃしない。
カルテを読んで,わかるわからないはともかくとして,どこをどんなことをして
今後どういう治療をしていくかは主治医としては把握をしておきたくても
カルテは外来に保存してあるらしく,電子カルテでは見ることができないのです。
(これに関しては女医♪の病院だけの問題だと思います)

なぜこのようなことを書いたかというと,先日歯茎のところにできたできものが切れて出血して止まらないと患者さんが救急にきました。
そこで女医♪たちが呼ばれたその時点でおかしいんですけど,(単純に考えて歯科を真っ先に呼ぶべき)
そこで,手術直前にもかかわらず,口腔内の出血=生死に関わる,ため,手術予定の患者さんに
事情を説明して少しお待ち頂き,救急にすっ飛んでいきました。
そしたら,なんてこったない,ちょろちょろ出血している程度ではあったんですが,
見るからに女医♪の範疇でない!となり,歯科の先生に電話をしました。
そしたら「いまから手術が始まるからいけない」といわれ,
おいおい,女医♪たちだって,手術予定の患者を待たしてんだよー!と思いつつ,
とりあえず止血をしました。
結局遅れて歯科の先生はきてくれたんですが,その際のコストをどうとるかでこれまた一騒動。
医科の診療報酬には歯肉部のこんなのはないんです。(だって範疇じゃないもん!
救急の医療事務の人がいろいろと聞いてくれてみつけはしたんですが,
この一騒動も医科と歯科とで診療報酬の基準が違うから起こるんです。

まあ,この問題は,はじめから歯科がみてくれてさえいれば起こらなかった問題なんですが。
どなたかこの辺の明確な区分がわかる方,ぜひ教えてください!!

夏休み

2005-07-21 18:55:54 | 診察ネタ
今日から小学生は夏休みのようです。
その余波が病院に広がっており,忙しくなっています。

どんな余波かというと,夏休み中に治療を済ませてしまいたい親子であふれるのです。
ちなみに女医♪の病院は平日の午前中のみの診察なので,夏休みにはいり,平日の午前に
学校を休ませず診察にこれ,かつ夏休み中を希望,つまりこの時期にそんな患者さんでごったがえります。

そのような患者さんは当然予約はなく当日予約という形になります。
そうしたら前日までの予約患者だけでも予約があふれかえっている状態にくわえ,
当日患者さんがどーっとくる,つまり以前「予約診療」の ブログでぐちった状況にいたります。

人数が単純に多いだけではなく,手術を希望するということはそれだけ診察に時間がかかります。
ちょっとした手術の術後処置だけであれば消毒して薬塗ってガーゼ,テープ,包帯で
「今度いついつ来てくださいね」でおわり。しめて5分ほど。
それがこんな患者さんたちの場合,まずは話を聞き,そのものの経緯,既往歴などなどを聴取,
写真撮影,そのカルテ記載,じゃあ手術しましょうになったら手術に関してのお話,
手術日程の計画,決定,それに伴っての術前検査,手術同意書の作成,手術申し込み,
全身麻酔であれば麻酔申し込み,入院治療計画書,病理検査の仮登録,次回診察の予約
などなどなど,することはおおいわ,一つ一つ結構時間かかるわで,進まないんです。
そんな人たちに限って診察室を出た途端に「やっぱり日程を変えてほしい」って帰ってくる!
ギャー!するとまた書類をはじめとするすべての日付を変えなきゃいけない。
もちろん,後からでもできることはおいておいて後でしますが,じゃあ後っていつだ!
ここ1週間は11時30分までの予約枠しか取ってないのにも関わらず外来が終わるのは1時前。
午後は手術で1時から。
えーーーー!いつお昼ごはん食べるの?の世界。
わかっていただけます?このたいへんな状況。
これだけ人が多いと待つ時間も長くなり,すると患者さんもいらいらし始め,
予約患者さんが予約時間内にすまないとそれはそれでおこられちゃうし,
だからといって当日予約さんを診ないわけにもいかないし,
あーーーーーーーーー,悪循環。

明日は女医♪の外来日です。
金曜日は毎週混みます。
土日が休みなので2日以上あけたくない人はとりあえずみんな金曜再診になってしまうので。
今日見たところによるとすでにマイナスの予約時間帯がいくつか。
マイナス=予約可能人数以上がすでに予約されています。
それに加えて当日予約。
おーーーーー,おそろしーーー。
どうなることやら.......



「生きる」ということ

2005-07-03 11:42:47 | 診察ネタ
女医♪が例のごとく当直をしていたときのことです。
一人のCPA(心呼吸停止)の患者が運ばれてきました。
50歳代の男性です。
もうすでに顔から血の気が引いていました。
それでもなんとか蘇生しようとがんばりましたが,息を吹き返すことはありませんでした。

彼の首にはロープが。そう,首吊り自殺したのです。

明け方に高架下の目立たないところで首をつっているところを通行人が発見して搬送になったそうです。
彼には奥さんと二人の娘さんがいました。
蘇生をしたあと,ご家族の前で死亡確認を行いました。
でも家族は何が起こったかわからないような感じで呆然としていました。
奥さんは明け方だんながいないことに気づいたのですが,散歩にでも行ったのだろうと思っていたそうです。
それが突然帰らぬ人となってしまった。
ほんとうに泣くことも忘れてしまった状況です。

統計的に見れば自殺をする人は非常に多く,年々増加傾向にあります。
性別で言うと男性のほうが女性より自殺率は高く,男性では特に50歳代に最も多く見られます。
手段別とすれば縊死(首吊り)が最も多く,次にガスによるものが続きます。
死亡曜日別の統計もあり,月曜日が最も多く,土曜日がもっとも少なくなっています。
(次に少ないのが日曜日です)
死亡時間別では午前5時台が最も多く,午前7時ごろや午後7時ころは少なくなっています。
人目につく時間帯は避けているような傾向が出ています。
死亡月別では4,5月が断然多く,この時期にストレスを感じる人が多いことがわかります。
五月病とはよく言ったものです。
事業別では農林漁業作業者,サービス業従事者の順で多くなっています。
サービス業が多いのはわかるにして,農林漁業の方の多い理由はなんでしょうか?
ちなみに,医師は他の職業に比べ自殺率が高いといわれています。
そして,専門職だけに,未遂が非常に少ないのが特徴です。
知識があるだけに確実に死ぬ方法を知ってしまっているのです。

自殺は準備状態のときに直接的な原因が加わることで起こるといわれています。
自殺準備状態のときに話を聞いてあげたり一緒に悩んであげることができれば防げたかもしれません。
「死にたい死にたいといっているひとは死なない」といわれることがありますが,
死にたい人は本当に死にます。
自殺をする人は孤独であることが多いといわれています。

「生きる」事に関して女医♪もまだまだわからないことだらけです。
しかし,自殺は防ぐべきものだということは確かだと思います。

どこまでいく?

2005-06-29 23:20:01 | 診察ネタ
皆さんは手術を受けるとき,どのくらい遠いところまで行く気になりますか?

女医♪のいる県はいつも言うように田舎で,当科的な専門治療を受けるとなると
やはり近隣の県の病院にいかざるを得ないことが多々あります。
第一,当県における当科のある病院は大学とうちの病院とあと少し。
あと少しのところは常勤医が1名という,やはり規模的には小さい病院になります。

例えばそんなにありふれた病気でない場合,女医♪としては
「うちの病院でもできるんですけど,○○にいけば症例数も多くて経験も豊富です」
と話をすることがあります。
以前にいた病院ではそのような話をするとたいがい○○に行くことを患者さんが選択され,
女医♪は紹介状をよく書きました。
しかし当県ではあまり外の病院にいきたがらず,それこそ症例数や経験よりも
「近さ」を優先されるのです。
もちろん,患者さんの選択なのでかまわないのですが,もし女医♪がその患者さんなら
○○にいくと思うんです。

では,なぜ当県の患者さんたちは外の病院にいきたがらないのでしょう。
まずは物理的な距離がやはりあると思います。
女医♪がよく紹介しようとする病院は車で80キロ,高速使って1時間の所です。
確かに以前よく紹介してた病院は少なくともこれよりは近かった。
例えば同じ県内だったり,違う県でも50キロ程度だったり。
1時間かかるのとかからないのは少し違うようです。
しかも,1回行っただけで治療が終わるわけではないので,それを考えると
金銭的にも時間的にも負担にはなると思います。

あと他の理由としてはやはり考え方が田舎なんでしょう。
当県の患者さんたちは「セカンドオピニオン」という概念がありません。
ほとんどの方が「まな板の鯉やからいいのにしてくれ」といいます。
第一,同じ県内で選択できるほどの病院がないし,
これまた結構な数の患者さんが「入院するならここ(うちの病院)しかない」といいます。
こういわれるともうちょっと他の病院にもがんばってほしいところでもありますが・・・
それこそ都会の,診察をずっとビデオやテープに録音している患者さんやら,
自分の画像をデジカメで取らせてくれという患者さんとかの話を聞いたらびっくりされそうです。

みなさんはどれくらいなら遠いところまで病院を探しますか?
どうやって病院を選んでいますか?


はじめてみた!

2005-06-27 23:18:32 | 診察ネタ
今日は少しびっくりな患者さんがきました。

刑務所でけがした人が受診しました。
当科で簡単な局所麻酔の処置を必要としたのですが,手術中も監視をする人が
ずっと近くにいるのです!
患者さんはおっかない感じの人ではないのですが,
処置中も3人のそれこそおっかないというかこわおもての看守さん?に囲まれて
処置するにも緊張しました。
診察に来るにも腰に紐のようなものを括り付けられ,後からそれをもたれていました。
今回は手のけがだったのでなかったようですが,手でない部位のけがであれば
手錠はついたまま受診してくるそうです。

一通り処置が終わり,再診をどうしましょうか?というと
再診はできるだけ患者さんの少ない時間で,と。
そらそうだよねー。
お互いその方がいいですよね。
待合でまってても周りの人もそれこそきょろきょろ見ちゃう。

刑務所からの患者さんは年に3人くらいは来るそうです。
女医♪はいままで刑務所に程近い病院に勤務したことがなかったので非常に珍しく思ったのですが,
そんなめずらしいものではなさそうです。
全身麻酔になるようなことになっても手術室にまで看守さん?が乗り込んできて
二人くらいは手術中もずっと監視されているそうです。

事件の犯人だとかはICUならその入り口のところで警察さんがずっと張り込みしているようなことはあっても,
手術室にまで乗り込むって言うのもすごいですねー。

患者さんのやる気

2005-06-16 23:35:56 | 診察ネタ
去年の秋から入院している30歳代の患者さんがいます。
仕事中のけがで全身に傷があり,なかなかなおりません。
治らない要因はいろいろあって,試行錯誤中なのですが,
例えば栄養状態が悪いと治りが悪く,現在栄養士さんにも見ていただいています。

しかし,この人の治癒を遷延させている原因として,治療に対する姿勢があります。

彼は非常に被害者意識が強く,まだ自分で自立しようとすることができません。
毎日厳しいリハビリをし,最近はやっと50mくらい歩けるようになりました。
手の作業も少しずつできるようになってきた,とリハビリの先生は言います。

でもそれを日常生活で生かそうとすることができないのです
「リハビリであれだけできるようになったんだからやってみよう」と病室で言っても
「リハビリで疲れたからできない」といって看護婦さんに全介助してもらいます。
リハビリ室でできたことが病室ではできないのです。
リハビリは日常生活で使うために練習しているということがわかりにくいようです。

被害者であることは確かです。
でも,いつかそこから抜け出さないといけないと思うのです。
現状を理解し,現状を受け入れることに非常に難渋しています。

同じ病棟には同じように不慮の事故で下半身麻痺になって車椅子生活を余儀なくされている人もいます。
その人はすごく前向きで自分の身の回りのことはほとんどできますし,
できるだけ自分でしようとします。
でも彼は外にでることもいやがり,他の人と接する機会もありません。
被害者はあなただけではなく,こんながんばっている人もいるということも知ってもらいたいとも思うのですが
それも拒否されてしまいます。

傷に対して,そのときの状況に応じていろいろな治療薬を使いたいと思うのですが,
しみるからいやだ,と拒否されてしまいます。
その薬は確かにしみる薬なのですが,しみないけれどもあまり治療効果の少ない薬を漫然と塗るか
少ししみるけれどもそのときに適した薬を使って前向きに取り組むか。
薬の種類の問題だけではなく,治療への態度がそこに現れてきます。

現実問題として,こちらとしても患者さんと相談しながら行うので
本人がいやだという治療はこちらとしてもすることができません。
自宅に帰って,できる範囲で自分の身の回りのことはしなくてはならない日がいつかやってきます。
その日ができるだけ近くなるようにしたいと思うのですが…むずかしいです。

救急とは!?

2005-06-04 19:12:21 | 診察ネタ
当院の救急の体制は、平日の当直は救急医1名、内科医か外科医か1名、研修医1or2名で、
土日は日直、当直共に救急医1名(フレックスで2名の時間帯もあり)、内科医1名、
外科医1名、小児科医1名、研修医1or2名でやっています。
これだけでどれだけの数の救急患者が来るかお分かりいただけるのではないでしょうか。
とんでもない数の患者が時間外にやってきます。
救急車でやってくる「本物の」急患から、こけたり頭打ったりでくる急患などなど。

けしからんのが数日前から風邪引いてたけど平日の時間内にこれないからくる患者。
採血の項目が少ないって文句言うのもそういう人たちもいます。
休日には必要最低限の検査しか出来ません!それが救急です。
他にも、傷跡が気になると休日に来る患者。
まったく急ぎではありません!
また、医師の指定をする患者。
時間外にそんなことできません!

と、まあ、けしからん人たちも多々います。
さらに、最近は女医♪が小さい頃ではぜったいに病院にいかない程度のことで
来る人が増加しています。
昔はおばあちゃんの知恵袋的なものがあったように思います。
最近は一般人のやばいのかやばくないのかの判断能力が非常に低下しているように思います。
少子化もその拍車をかけているのでしょう。

最近は救急が通常の外来化していて、気軽にいけばいいというような意識が
強くなっているのではないでしょうか。
当然、救急では生死にかかわるような人を優先して治療する必要があります。
生死にかかわらずとも急ぐ必要のあることもあります。
医師の数もかぎられています。

救急で出来る範囲も限られていますし、応急処置しか出来ません。
専門の医師も不在であることが多いです。
できるだけ通常診察しているときに行けるときは行きましょう。

どうしよう…

2005-06-01 23:39:53 | 診察ネタ
最近気にかかる患者さんがいます。

日ごろすごくがんばって積極的に治療に取り組んでいる患者さんが
最近めまいがひどくてへばっちゃっています。
当科的にはそろそろ退院,と思っていたころにめまいに襲われ,
最近は特にひどくなってきてご飯も進みません。

めまいが起こる前は体力が落ちてきたということで
「リハビリの先生にみてもらいましょうか?」というと
「自分でリハビリしてみてだめならお願いする」といい,様子を見ていたら
急患で夜遅くに病院を歩いていると,その人が暗い外来で
一人リハビリに励んでいました。

本当にがんばりやさんで,自分のことはできるだけ自分でするという意識を
非常に強く持ってらっしゃる方で,
今回の入院加療に関してもなんとかしてあげたい,という気持ちを持って女医♪たちも
治療に向かっていました。
そんながんばりやさんの患者さんが
「ほんまに(めまいが)ひどくてうごけへんのや」といって
悲しそうな顔をして横になっています。
もちろん,専門の先生にも診てもらって,しばらくしたら治るから
慣れるしかない,といい現時点でめまいを抑える積極的な治療はない状態なのですが
毎日顔を見に行くと,本当に辛そうにしています。

めまいのリハビリを教えてもらって,その際,つらいときはしなくていいけど,
できるだけがんばってやったほうがいいよ,といわれたらしく,それに対しても
「どこまでをつらいと判断すればいいんかわからんのやー。
 できるだけしたほうがいいといっても,初めてのときに試しにやってみただけで
 ふらふらで気持ち悪くなったのに…
 どうすればいいんやー。」
と困っています。

それも専門の先生に問い合わせ,その内容を話に言ったら
目を赤くして向こうむいてしまいました。
本当にがんばろうとしているだけに,みてて非常に痛々しいです。

なんとかしてあげたいです。
でも無力ってつらい。