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拡張ボリュームとRAID1について

どらともサポートでは、NAS(ネットワーク接続ディスク)を納める場合は、2ドライブ構成の機種で、さらに定時バックアップ用のUSB接続ディスクで構成します。ご要望があればUPS(無停電電源装置)も設置しています。
使用するNASは、IOデータのHDL2-AAXシリーズ(以前はHDL2-AAシリーズ)です。対象は「個人・家庭向けNAS」なのですが、2ドライブで冗長化を図り、かつ定時バックアップを外付けUSBディスクに行えば、データの喪失の可能性はかなり低くなります。
今回このHDL2-AAX2を納品する機会がありましたので、思うところを記載します。


冗長化についてですが、HDL2-AAXシリーズでは・・・「拡張ボリューム」「RAID1」「RAID0」が設定できるようになっており、出荷時は「拡張ボリューム」モードになっています。この中でRAID0は、ストライピングと呼ばれる方式で・・・複数(ここでは2台)のディスクに分散してデータ記録するので高速化は図られるのですが、2台のディスクのうち、1台が故障するとデータの読み書きができなくなってしまいます。冗長性が確保できないので、候補から外れてしまいます。

ここからは、ディスクが2台搭載されたNASの前提で書きます。
「拡張ボリューム」と「RAID1」の基本的な考え方は、2台のディスクに同内容を書き込みます。つまり同じ内容のディスクが2台あり、仮に1台が故障しても残りの1台で運用が可能です。
では何が異なるかというと・・・「拡張ボリューム」は、ファイル単位で書き込みます。「RAID1」のほうは、ブロック単位で書き込みます。ブロックは、ディスクのデータの最小単位です。
ちょっとわかりずらいかもしれませんが・・・「RAID1」は、ディスクの最小単位で書き込んで、書き込みデータや位置なども2台のディスク(仮にDiskA、DiskBとします)同じ状態になります。RAID1がミラーリングと呼ばれる由縁です。一方、「拡張ボリューム」は、ファイル単位でDiskA、DiskBへ書き込みますので、保存されているファイルとしてはDiskAとDiskBは同じですが、ブロック単位でみると、データの書き込み位置などは異なっていることがあり、全く同じとは言えません(あくまでもブロック単位でのお話です)
どちらの方式でも、DiskAとDiskBには同じファイルが保存されており、片方のディスクが故障しても、もう一台の正常なディスクで運用を続けることが可能です。
「拡張ボリューム」は、「RAID1」と比べて以下のような特長があります。(2台のディスク構成とします)
1.RAID1では、2台のディスクから同時に読み込みを行いますが、拡張ボリュームでは、一方のディスクから読み込むため、2台のディスクの稼働時間に差ができ、ディスク故障の時期を分散できます。
 RAID1では、両方のディスクに読み書きし、全く同じ負荷がかかり1台のディスクが故障すると、残りの1台も使用状態や稼働時間が同じのため、ほぼ時期を同じく故障することが多くあります。これは、RAID1のDiskAが故障して、新品のディスクに交換してDiskBから再構築を行っている最中に、DiskBも故障してしまいRAID崩壊を招くことが稀にあります。拡張ボリュームでは、このようなリスクを軽減できます。

2.ディスク故障で交換した場合、正常なディスクから再構築が行われるのですが、RAID1はブロック単位で全領域をスキャンしデータをコピーしますが、拡張ボリュームでは、ファイル単位でのコピーなのでデータの保存領域のみスキャンしてコピーするので、再構築にかかる時間は短くなります。
どらともは、RAID1のディスク故障による再構築は何回か経験しているのですが、だいたい1TBのRAID1で2時間~3時間かかります。

3.拡張ボリュームでは、2台のディスクの容量を増やすことが可能です。これは例えば、2TBのディスク2台の運用の場合、DiskAを4TBにまず交換し(この段階では2TBの実質容量)、再構築後にDiskBを4TBに交換再構築することで実質容量4TBに増やすことが可能です。RAID1の場合、容量の拡張は基本的にはできないと思ってください。

では「RAID1」はダメなのか・・・というと下記のIOデータが出している比較表を貼り付けます。


今回「RAID0」や「RAID5」「RAID6」は関係ないので、左側赤枠の「拡張ボリューム」「RAID1」の比較を確認してみると・・・
「アクティブリペア」が「拡張ボリューム」は「×」、「RAID1」は「〇」となっています。
「アクティブリペア」は、RAIDの機能でディスクの一部に不良セクター(ブロック)が見つかった場合に、正常なディスクからデータを読み込み、異常のあるディスクに書き込み、データの損失を未然に防ぐ機能です。
1回/月に自動でアクティブリペアを実行することができるのですが、RAID1(1TB)で、約2時間かかります。ディスク全体をスキャンするのでそれくらいかかるのでしょうか。
一方「拡張ボリューム」でもアクティブリペアは「有効」になっており、実際「開始」・「完了」の通知もメールで来るのですが、2~5分程度で完了してしまいます。こちらは、保存領域のみのチェックだと思うのですが、少し時間が速すぎるように感じます。

「拡張ボリューム」「RAID1」のどちらも、ディスクの冗長性については確保されるのですが・・・これだけでは安心できません。
ディスク以外の故障・・・例えばNASの基盤、NASの電源については故障してしまうと、NASとして動作できません。それを避けるために必ず他のディスク(例えばUSB接続のディスク)などにバックアップを取るようにします。これもそれほどデータの更新や追加がなければ、一日1回の定時バックアップでよいと思います。
これであれば、NASの2台、バックアップ用の1台のディスクにデータが保存されているので、データの喪失の可能性はかなり低くなります。
大きな企業様では、RAID5やシステム自体の二重化・三重化を図るのでしょうが、どらともが対象としている個人やSOHOのお客様では、この構成で十分だと思っています。

※あくまでも、どらとも個人の考えであり間違っている点もあると思います。その際は・・・そっと教えてくださればありがたいです。
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