寺子屋ぶろぐ

日記から身近な法律問題の解説まで。

成年後見制度の概要②(成年後見制度の種類)

2010年05月25日 | 成年後見制度
前回の復習です。

世の中には、たくさんの契約があります。

そして、契約とは、それを締結した当事者を拘束する鎖と表現されます。
…ちょっと、穏やかな表現ではありませんが。

したがって、契約の内容や効果について理解した上で鎖に繋がれるべきだ、という考えが成り立ちます。
良く解らないのに鎖で繋がれたくはないですよね。

そこで、契約の締結には、当事者に事理弁識能力がなければならないとされました。

しかし、さまざまな理由で事理弁識能力を十分に発揮できない方々がいます。
こうした方々も、契約と無関係で生きていくことはできません。

そこで法が考えたのが、成年後見制度です。
つまり、事理弁識能力を補佐する人を選任して、その人がご本人に代わって、契約を締結したり、財産の管理をしたりする制度です。

さて。

上記のような理由で創設された成年後見制度は、大きく2つに分かれます。

①法定後見制度
②任意後見制度 です。

①と②の大きな違いは、1つです。
それは、契約に基づくか否かです。

①は、契約に基づきません。
したがって、事理弁識能力が十分ではない状態になってしまった方が、直ぐに利用できます。
また、補佐する役割の人の選任は、家庭裁判所の決定によります。
ちなみに、法定後見制度は、3つの類型に分かれます。
後見類型、保佐類型、補助類型です。

②は契約に基づきます(任意後見契約)。
任意後見人になる者と制度利用者との間で契約を締結します。
契約を締結するので、その締結時点で事理弁識能力があることが必要です。
したがって、この制度の目的は、自分が元気なうちに信用できる人と契約を締結し、将来的に自分の事理弁識能力が十分ではなくなってしまった場合に、元気なうちに締結した契約に基づいて、その人に財産の管理等をしてもらうこと、と考えられます。

…「成年後見制度の概要③-1(法定後見制度)」につづく。