SEASONS

幾度巡り 巡り行く 限りある 時の中に 僕らは今 生きていて そして何を 見つけるだろう

ホームレス

2008年07月25日 00時30分26秒 | Weblog
僕は本を読みながら山手線を1周するのが好きなんです。

時々、1周ずっと乗ってる人を見かけると親近感を感じて嬉しくなります。

で、今日も渋谷から渋谷まで内回りで乗ってました。

そしたら、神田でホームレスのおっさんが乗ってきました。

日本史の足尾鉱毒事件で出てくる、田中正造に似てました。

東京に住んでいる人なら1度は経験のあることだと思いますが、電車へホームレスが乗ってくると猛烈に臭いです。

乗客はどんどん別の車両へ移っていったから、混雑した電車だったのにそのホームレスは座れました。

そして、臭い荷物を隣の席に置いていました。

僕は向かいの席に座っていたので一連の動きがよく見えました。

荷物にはゴキブリが這ってました。


ホームレスは暫く大人しく座っていたのですが、駒込辺りで突然立ち上がりました。

何を始めるのかと思いきや・・・

鞄の中からゴソゴソと封筒を取り出しました。

その封筒には「生活費 10円恵んでください」と書いてありました。

ホームレスのおっさんは、袋を持って車内をうろつき回り、3人くらいに「恵んでください」と声をかけて回りました。


誰も支払わなかったので、また諦めて座りました。

新大久保を過ぎた辺りで再度立ち上がり、同じように声をかけて回りました。

今度は、1人だけお金を恵んでました。


そのホームレスの姿を見ていると何だか切なくなって来ました。

僕は1年の頃に新宿中央公園で、ホームレスの自立支援を行っているNGO「もやい」の炊き出し活動へ参加したことがあります。

色んなホームレスに接してみて、本当に甘ったれてやる気のない困った人もいる一方

多くの経験を通じてメチャクチャ深い人生哲学を持ったホームレスも大勢いるんだな(ってか、そっちが多数派)・・・と分かりました。

人より多くの挫折を経験して来た分、本当に深みのある人が大勢います。

「自立出来ないなんて困った奴らだ」という考え方もよく理解出来るけど、そう簡単には割り切れない所もあるかも・・・と感じました。


で、そういう事情から、自分は貧困層に対して同情的であると自覚していました。

そこで、渋谷駅で降りるとき、自分から積極的にそのホームレスへ100円を差し出しました。


そしたら・・・拒否されました。

ムッとしました。恥ずかしかったし、「人の親切を無にしやがって・・・」みたいな感覚がありました。

以前、御老人に席を譲ったのに拒否されたことがあって以来、公共の場で不自然な親切をすべきでないと心に決めたのですが、またやってしまいました。


で、渋谷駅で暫く茫然自失でした。

ただ、ふと立ち直りました。

自分がホームレスに100円を渡した時、「10円を受け取るために歩き回っているホームレスなんだから、100円もらえばどーせ喜ぶでしょ?喜んで当然でしょ?だってホームレスなんだもん。ホームレスの幸福に貢献しようと努力してる僕ちゃんって偉い」みたいな邪な意識があったことを悟ったんです。

そうじゃなければ、拒否されてもムッとしないし。

いくら物乞いをしている人だとは言え、そういう意識で接したらダメなんですネェ。

本心からやってることを拒否された時って、相手に対して「申し訳ないことしたなぁ」って思うんですよね。

そう思わずにムッとしたってことは、やっぱり邪心があったんです。

自分が開発経済学のゼミに入っている動機の深いところにも、そういうマズい意識が全くないと言ったら嘘になるかも。

真摯な気持ちで途上国の問題に取り組んでいるゼミ生の皆さんに対して申し訳ないですね。


今日はホームレスの尊厳を傷つけてしまいました。

「大変失礼しました。」と言いに行きたいです。

70歳近くのおっさん(しかも、普通の人より遥かに人生について考えているであろうおっさん)が、22歳のワカランチンに上から目線で見られたら腹も立つわ。


貧困層と言っても、金が全てじゃないんだということがよく分かりました。



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