昨年暮れも押し迫った12月27日。
「立ち退いてちょうだいね」
という趣旨の通告がきてから、O沼の行動はチョッパヤでした。
立ち退き料に関しては
「こちらも弁護士を立てて交渉に臨まない限り上乗せは考えられない」
という結論に至ったので、出された条件で未来にエネルギーを注ぐことにしました。
気分は、一人目の妻と別れ二人目の妻を娶る、しかも期限付きで、そんな感じ。
再婚相手ですから、そんなに簡単には現れないだろうけど、ビンボ居酒屋は油を売っているわけにはいかないのです。
O沼の条件はというと
「ポツンと何にもないところとか。お寺さんの前なんかいいと思わねぇかー?」
風景だけ???中はいいのかよっ!と突っ込むのも忘れ、私も一緒になってお寺さんかぁ、などと夢想。
2月、3月と、営業の合間をぬっては、せっせと周辺の物件探しです。
賃貸仲介の不動産屋さんに何軒かご案内いただいて、第一回のお見合い。
見せてもらったのがこんな感じ。
店舗は三年くらい前に閉店したままの状態。
正直、第一声は
「マジか… 」
紹介してくれた担当のSさんも
「うーん、ここはないですよね… 」
という印象。
しかしここ、目の前が
\(^o^)/お寺さんだ!!!!\(^o^)/
よっぽどのお金持ちでもない限り、この景色は買えません。
内心、もうここでいいじゃん、という気持ちになっているところをポーカーフェイスで隠し、第一回のお見合いは終了したのでした。
この世に完璧な人間も、完璧な居抜き物件もありません。
再婚するなら、自分に合うように相手を育て直すしかないわけです。
契約を済ませ、まずは不要なものの撤去をやっていただきました。
うわー。

床も掘られてコンクリートむき出し。

カウンターもこれかー。

店の表、こりゃ人の家の入口みたいだわ。
とまぁ、文句言っても始まらないので、行徳の営業が終了した翌日から行動開始。
DIYの三種の神器
・電動ドリル
・電動ノコギリ
・サンダー杉山
を購入し、いきなり大工さんになった気分でウキウキです。
とっかかりは奥の床と壁。




とにかくほとんどの板という板にサンダー杉山をお見舞いし、拭いて、塗って、また塗って。
次。カウンターのあるスペースの床板を打つべし!打つべし!

の、合間に変なモノ作るO沼。
カウンターに漆喰や塗料を塗って塗って塗りまくって。
テーブルも行徳の店から持ってきたのをリメイク♡
トイレもなんとなくのイメージどおり。まさにイメトレ。
O沼が再婚相手を育て直しの最中、こっちは手続きのためにあっち行ったりこっち行ったり。
まず保健所。
ここで大じな検査キットを購入。
保健所では月二回しか受付してくれないので、急ぎのヒトは、毎日受付してくれている東船橋の検査機関に持ち込みです(現在閉鎖)。
移転に必要な書類作成。
間取り図は得意なO沼に書いてもらい
ワタシはビックラこいちゃう用紙名「廃業届」に記入。

そっちの都合でやっているからこういう名前になるんでしょーよ、利用者ありきだってことをですねぇ(こんなグダグダは聞いてもらえない)。
そうこうしているうちにガンガン進む店作り。カウンターもイスもテーブルも、もともとあったものは捨てて自作。
なんとなく見られるようになって、最後のゴミ出し。スモーキーマウンテン(別名・行徳富士)の麓に運ぶはレンタカーのアクティ。

大変お世話になったので、洗車してお返ししたら、受付をしてくれたスタッフがビックラこいていた。
フハハ、気分爽快。
大きな物の搬入も終わり、最後の仕上げはフロアのオイルなんちゃらコーティング。

舐めてもいいと思う艷やかさ。
最初はあんなだったのに、とっても美人になったわね。
あとは表札。

考えた挙句やっぱり手作りにしたO沼。
アクリル系の塗料でちょっと盛り上がる感じにして出来上がり。
そうそう、お電話の移設。
4月の前半に電話開通のお願いをしたら、工事担当が最速で5/1だと言う。
マジか。
何時に来るのか尋ねると
「当日の午後にご連絡いたします」
マジか。
天下のNTTさんはすごいですな。
一般企業で顧客にそんな対応できませんよ(≧∇≦)スゲー。
そんなこんなで午後1時40分、開通。
外装は漆喰を重ね塗りしたり枕木を置いたくらい。そのうちちょこちょこ手入れしていくことにして、表札設置。
この眺め、プライスレス。
「出来上がっていけばいくほどこの店知ってる」
になっていったそうな。
キミ、彫刻家か。
33日間の記録でした。
[オマケ]
O沼が再婚相手とよろしくやっている間、前の女房を終わらせる儀式を粛々と進めていたワタシ。

リサイクルショップのおじさん、雨の日も晴れの日も、取り外しやら運び出しやら、お世話になりました。
食べたり飲んだり喋ったり寝たり泊まったりしてもらったな。
開店して間もなく客席から私たちの控室兼荷物置き場と化した奥の小上がり。
壁の落書きたちともおさらば。

間違って水と一緒に捨てられたどじょっこ。どじょうのミイラは初めて作ったぞい。どじょうもミイラにされたの初めてだと思うけど。
そんなこんなで、ちっともシンミリしているヒマはなかったのでした。
─ 完