H28.1.30になめがた地域総合病院で高校生の病院見学会が開催された。
当院のある鹿行地域(ろっこうちいき)は茨城県の南東地域に位置し、水郷地帯であり住友金属等の鹿島臨海工業地域もある県産業の要所ではあるが、医療資源の不足が大きな課題(らしい)。
そんな中、地域で活躍する医療従事者は地域で育てることを目標に、地元の高校生たちに医療に興味を持ってもらおうと、小田有哉先生が始めたこの企画。今回は私立清真学園高(鹿嶋市)や県立竹園高校(つくば市)の高校生5名が参加。
独断と偏見だが、他と比較して今回の見学会が素晴らしいと思った点は以下のとおり。
【ポイント1】体験学習が充実している
せっかくだからいろんな体験をしてもらいたいと、当院では、院内見学(病棟、検査室、リハビリ、救急外来、手術室)だけでなく、体験学習(エコー、電気メス、縫合、糸結び、腹腔鏡、心肺蘇生&AED、検食等)にも力を入れている。
今回は骨切りや金具での固定や心臓カテーテル器具使用も加わり更にバージョンアップしていた。
整形外科医の指導のもと、骨にスクリューで穴をあけてボルトで固定する高校生。
循環器内科医の指導のもと、ワイヤーを操作しながら患部でのステントの開き方を体験する高校生。
こんなのなかなか体験する機会はない。脳神経外科、整形外科、循環器内科など多くの先生方のご協力の賜物だろう。高校生たちは目を輝かせて真剣に取り組んでいた。こういったところから医療に対する興味は更に深まるのだと思う。
【ポイント2】地域の医療事情とリンクした内容であること
シミュレーションマシンによる内視鏡や聴診・心肺蘇生なども行った。○千万円しそうなマシンを惜しみなく使っての実技。もはや研修医並み。
清真学園高OBの永田博之先生。永田先生は先日高校にも来て講演をしてくれた。今回は白衣で内視鏡のレクチャー。
心肺蘇生法では、ハンズオンCPRの重要性や、助けを呼んで皆で協力することの大切さを学んだ(私も少しだけお手伝いした)。
ここで印象に残ったのは、スタッフの皆さんは、地域の実情を踏まえながらレクチャーしていたこと。
例えば、心カテや心肺蘇生の実習時には「鹿行地域では心筋梗塞で救急搬送される人が多い」「禁煙を進めるなど予防できることはある」「この地域の老人は痛くても我慢してしまう人が多い」など高校生に説明しながら進めていた。ただ練習させるだけではそれで終わってしまう。「私たちの住んでいる地域はこんな状況だから出来るようになる必要があるんだ」という強いメッセージを送ることで高校生たちも身につきやすくなるし、故郷の医療事情も記憶に残る。
【ポイント3】ロールモデルの存在
今回は、自治医科大4年生の茂木志歩さん主催のワークショップも開かれた。茂木さんは清真学園高出身。昨年の夏、母校に講演に行った際にこんなにもたくさんの高校生が地域医療に興味をもっているのかと衝撃を受け、後輩のためになにかできることはないか考え、高校生が地域医療について考えていることをアウトプットできる場を設けたい&彼らが何を考えているのか知りたいと思い今回の企画を志願したらしい。
茂木さんが自治医科大学への進学を熱望したきっかけは、自治医大医学生が清真学園高で行った心肺蘇生講習会。その際に医療や自治医科大学に興味を持ち、努力の末、医学生となり頑張っている。その講習会こそ当時医学生だった小田先生が始めたものであり、実は私も見学に行っていた。運命って怖い。
茂木さんが小田先生たちに憧れたのと同じように、今回の見学会に参加した高校生が何かに目覚め、地域の医療を支えてくれる存在になっていくようになれば、素晴らしい循環だと思う。そういった意味でも目標にできる存在(ロールモデル)がいて、高校生のうちからアドバイスを受けられるのはたいへん有意義なことだ。
同行した進路指導の先生ともお話したが、このような医療に触れられる機会は非常に大切だが、医学部に進学できるだけの学力の向上も不可欠。「医療に対する真摯な思い」「学力の向上」「郷土愛の醸成」をバラバラに進めるより、この3つの鎖をうまく絡め合せ、円滑に進めていけるように支援することが我々の役割だと感じた。今後もこの見学会が続いていけばいいな。
当院のある鹿行地域(ろっこうちいき)は茨城県の南東地域に位置し、水郷地帯であり住友金属等の鹿島臨海工業地域もある県産業の要所ではあるが、医療資源の不足が大きな課題(らしい)。
そんな中、地域で活躍する医療従事者は地域で育てることを目標に、地元の高校生たちに医療に興味を持ってもらおうと、小田有哉先生が始めたこの企画。今回は私立清真学園高(鹿嶋市)や県立竹園高校(つくば市)の高校生5名が参加。
独断と偏見だが、他と比較して今回の見学会が素晴らしいと思った点は以下のとおり。
【ポイント1】体験学習が充実している
せっかくだからいろんな体験をしてもらいたいと、当院では、院内見学(病棟、検査室、リハビリ、救急外来、手術室)だけでなく、体験学習(エコー、電気メス、縫合、糸結び、腹腔鏡、心肺蘇生&AED、検食等)にも力を入れている。
今回は骨切りや金具での固定や心臓カテーテル器具使用も加わり更にバージョンアップしていた。
整形外科医の指導のもと、骨にスクリューで穴をあけてボルトで固定する高校生。
循環器内科医の指導のもと、ワイヤーを操作しながら患部でのステントの開き方を体験する高校生。
こんなのなかなか体験する機会はない。脳神経外科、整形外科、循環器内科など多くの先生方のご協力の賜物だろう。高校生たちは目を輝かせて真剣に取り組んでいた。こういったところから医療に対する興味は更に深まるのだと思う。
【ポイント2】地域の医療事情とリンクした内容であること
シミュレーションマシンによる内視鏡や聴診・心肺蘇生なども行った。○千万円しそうなマシンを惜しみなく使っての実技。もはや研修医並み。
清真学園高OBの永田博之先生。永田先生は先日高校にも来て講演をしてくれた。今回は白衣で内視鏡のレクチャー。
心肺蘇生法では、ハンズオンCPRの重要性や、助けを呼んで皆で協力することの大切さを学んだ(私も少しだけお手伝いした)。
ここで印象に残ったのは、スタッフの皆さんは、地域の実情を踏まえながらレクチャーしていたこと。
例えば、心カテや心肺蘇生の実習時には「鹿行地域では心筋梗塞で救急搬送される人が多い」「禁煙を進めるなど予防できることはある」「この地域の老人は痛くても我慢してしまう人が多い」など高校生に説明しながら進めていた。ただ練習させるだけではそれで終わってしまう。「私たちの住んでいる地域はこんな状況だから出来るようになる必要があるんだ」という強いメッセージを送ることで高校生たちも身につきやすくなるし、故郷の医療事情も記憶に残る。
【ポイント3】ロールモデルの存在
今回は、自治医科大4年生の茂木志歩さん主催のワークショップも開かれた。茂木さんは清真学園高出身。昨年の夏、母校に講演に行った際にこんなにもたくさんの高校生が地域医療に興味をもっているのかと衝撃を受け、後輩のためになにかできることはないか考え、高校生が地域医療について考えていることをアウトプットできる場を設けたい&彼らが何を考えているのか知りたいと思い今回の企画を志願したらしい。
茂木さんが自治医科大学への進学を熱望したきっかけは、自治医大医学生が清真学園高で行った心肺蘇生講習会。その際に医療や自治医科大学に興味を持ち、努力の末、医学生となり頑張っている。その講習会こそ当時医学生だった小田先生が始めたものであり、実は私も見学に行っていた。運命って怖い。
茂木さんが小田先生たちに憧れたのと同じように、今回の見学会に参加した高校生が何かに目覚め、地域の医療を支えてくれる存在になっていくようになれば、素晴らしい循環だと思う。そういった意味でも目標にできる存在(ロールモデル)がいて、高校生のうちからアドバイスを受けられるのはたいへん有意義なことだ。
同行した進路指導の先生ともお話したが、このような医療に触れられる機会は非常に大切だが、医学部に進学できるだけの学力の向上も不可欠。「医療に対する真摯な思い」「学力の向上」「郷土愛の醸成」をバラバラに進めるより、この3つの鎖をうまく絡め合せ、円滑に進めていけるように支援することが我々の役割だと感じた。今後もこの見学会が続いていけばいいな。