『似肖屋(あやかりや)』 旧東海道 江尻宿で商いをしています。ー現在の清水銀座商店街です。ー

でくのぼう シャツ、作務衣、スラックスの製造元です。美と癒しと新和風をテーマに、古代布の復元を目指しております。

東海道江尻宿シャツその三

2008年02月26日 | Weblog
 今日、朝日新聞の中野さんから電話をいただきました。
「江尻宿シャツ記事にするよ!」とうれしい電話でした。
その時、「何で江尻宿シャツなのですか?」と質問されました。
「地域ブランドとして“江尻宿”を清水銀座にも自治体にも
輪を拡げてゆきたい」と答えました。
それはそれでまちがいではないのですが、時間が経って
よくよく思い直してみると 最初は江尻宿の風景にあつたシャツを
作りたい、という想いだったように思います。リュックを背負って
東海道江尻宿から府中宿にに向かう人たちを見ていて、(私も歩くのが好きで、
江尻を起点にして興津、由比、蒲原へ行ったり、反対に府中、丸子へ
よく歩きます。)自分ならもし、江戸時代の柄のシャツを着ている人と
出逢ったらうれしいだろうな・・・、と思い、絣とか定式幕柄を
思いついたのだと振り返ってみたりしました。

 さて、最初に思いついたのが、この絣柄の江尻宿シャツです。
似肖屋では、最初に布をイメージしてから作品のデザインを考えてゆきます。
ですから、例えば当初、鯉口シャツをイメージしていても織りあがった布を見て
オープンシャツに変更することはよくあることです。
 写真がそのシャツです。鯉口シャツからオープンシャツに変更した訳は、
ただ単に、“鯉口シャツでは祭りにしか着ることが出来ないからもったいない”という理由からです。
しかも、出来上がったシャツの胸ポケットが派手なので、絣柄にしようとか、
デザインもいくつか変更しました。
ですから、写真のシャツは、少し変更して2~3日うちに出来上がってきます。

 全ての工程を“メイドインジャパン”で、そしてその中に“和”とか、
“日本の歴史”を付け加えるデザインが出来ればこれに増す喜びはありません。
私は、いつもそんな気持ちで布を見つめ、服のデザインを考える様にして
おります。
 皆様がシャツを着た瞬間、"和と歴史”を感じていただけるように
いつも願っております。
  
 “東海道江尻宿シャツ”どうぞ手にとってご覧ください。
あやかりやの自信作です。

 

東海道江尻宿シャツ その二

2008年02月24日 | Weblog
 
 この東海道江尻宿シャツは飛脚をイメージした時、最初に使いたかった
布地です。

 注染の技法を使い定式幕風に手染めした 軽くて肌ざわりの良い布です。
 お祭り用の鯉口シャツや、半纏にしてもしゃれた生地なのですが、
いろいろ検討した結果、祭り、歳時にはもちろん、普段でもお洒落に着れる
ヘンリーネックのシャツにしました。
前立て、カフス、後ろの切り替え部分は布地をバイヤスに使い、
パッチ部分は、薄い芯地を入れてその上からキルティングをしておしゃれに
仕上げてあります。  

 

東海道江尻宿シャツ その一

2008年02月20日 | Weblog
 
 このシャツの柄は、“はんこ”の型を手捺染で手染し、襟裏、
袖口の裏、見返し、と前身後身のポケットに使用しているのは
家紋柄の手捺染です。
 襟を少し小さくして日差し避けに襟を立てて着ると粋な感じに
なります。
 袖口のカフス部分も浅くしてあります。

 デザインを考えた当初、飛脚をテーマにと思ったのですが、
いろいろしらべてみますと着ている物は腹掛けとか半纏の様な
着物なので普段チョットお洒落に着れる飽きのこないシャツに
しました。

 飛脚についてはいろいろな文献がありますが、どうも難波歩き
(右手右足、左手左足を一緒に出して歩く、走る)だったようです。
陸上の高野コーチによりますと体のぶれをなくし、姿勢を整えて
エネルギー消費も少なくてすむと薦めております。
今日ではすもう、柔道等、武道に少し見られる程度だそうです。

東海道 江尻宿シャツ

2008年02月17日 | Weblog
 
 清水は清水市になる以前は(現在は静岡市)“江尻”と呼ばれていました。
 
 50年ほど前のお年寄りたちは、今の清水へ行く時は“宿へいってくる”
と言って大勢のひとたちが着飾って出かけて来ていました。
 当時の店の前はジャリ道で、人の出入りと荷車が行き交い、風の強い日は
打ち水を何度しても土煙がたち、ほこりっぽかった事をおぼろげに覚えています。

 今日も、似肖屋の前を、大勢の人たちがリュックサックを背負い、
府中宿に向かって歩いてゆきますが、歩くスピードが昔とずいぶん違います。
早いのです。“健康の為”ということもあるのでしょうが、足を止めて休める
風情のある場所がないからだと常日頃思っていました。

 あやかりやを移転して格子の店作りにしたのも、その想いの表れの一つです。

 もう一つは“江尻宿シャツ”“江尻宿Tシャツ”“江尻宿腹掛け”“それぞれの下に穿くパンツ”の製作をして江尻宿をおおいに売り込もうと思ったことです。
 綿糸の素材を吟味し、布の柄を考え、祭事や歳時だけに着るデザインは止めて
“ふだん、ちょっとお洒落に、それでいて時代を感じられる”をテーマにデザインして行こうと思いました。

 各々の製品にパッチワークをする“東海道江尻宿”の字体は“似肖屋”“似肖布”“でくのぼう”を書いていただいた中村行雄氏(八王子市)に縦字、横字それぞれ18種類づつ書いていただき、その中から4種類づつの字体を選んでパッチにしました。
 おかげさまですばらしいパッチが出来上がりました。
又、静岡中央高校美術講師、土屋満章氏にもご指導をいただきました。
 お二人に心より御礼申し上げます。


 尚、江尻宿シャツの説明は次回のブログで報告させていただきます。