じゃあね、と短く言って、それきり一度も振り向かずに去って行った背中が、私があの人を見た最後だった。
あれは確か、梅雨入り間もない曇天の、ひどく不快指数の高い日で、まるで凪いだように、気味の悪いくらい無風の日だったような気がする。遠ざかる背はおそろしく遠く見えて、隔てるものなんて一つもないのに、きっと、二度と手を伸ばすことは叶わないのだと思った。それは理由のない確信だった。
またね、と言えていたら、もしかしたら何かが変わっていたのだろうかと、時折、そんな詮無いことを考える。またね。またいつか。また今度。そんな、何一つ明確たり得ない言葉を、たった一つあの人に投げかけていたとしたら、私は今なおあの人の傍らにいただろうか。時折そんなことを考える。答えは出ない。
たとえば、また来週、と、もう少し明確な約束を交わしたとして。あの人はそれを違えることはないだろうけれど、きっと、それさえもあの人を繋ぎ止める理由にはならないのだろう。また来週。また明日。その日が来ると信じて疑わないからこその約束。
凪いだような夜。
漣のような雨音。
あの人はもういない。
* * *
日曜日関係ない。途中で何が書きたかったのか見失いました(…)
あれは確か、梅雨入り間もない曇天の、ひどく不快指数の高い日で、まるで凪いだように、気味の悪いくらい無風の日だったような気がする。遠ざかる背はおそろしく遠く見えて、隔てるものなんて一つもないのに、きっと、二度と手を伸ばすことは叶わないのだと思った。それは理由のない確信だった。
またね、と言えていたら、もしかしたら何かが変わっていたのだろうかと、時折、そんな詮無いことを考える。またね。またいつか。また今度。そんな、何一つ明確たり得ない言葉を、たった一つあの人に投げかけていたとしたら、私は今なおあの人の傍らにいただろうか。時折そんなことを考える。答えは出ない。
たとえば、また来週、と、もう少し明確な約束を交わしたとして。あの人はそれを違えることはないだろうけれど、きっと、それさえもあの人を繋ぎ止める理由にはならないのだろう。また来週。また明日。その日が来ると信じて疑わないからこその約束。
凪いだような夜。
漣のような雨音。
あの人はもういない。
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日曜日関係ない。途中で何が書きたかったのか見失いました(…)