loca plus+

自作お題メインの創作。
自分の文章を模索しながら絶賛迷走中。
愛しくて切なくて恋がしたくなるような文章が書きたい。

007.君に届け

2006-05-22 23:04:07 | 選択式
 君におくる歌をひとつ。
 やがて来る未来のあとに、どうか穏やかでありますよう。

 * * *

ポップンCS7(だったかな)に入っている「キミに届け」という曲からきたお題(ていうかまんまじゃん)
そういうわけで、どうしても書けなかったのでモノローグで誤魔化す始末(やめい)

006.言葉にするのが怖くて

2006-05-17 19:16:11 | 選択式
 嘘をつきました。
 けれど、あの人はそれを笑って許しました。
 大きな手で私の頭をそっと撫でて、何も言わずに頷いたのです。
 ―――――だけど、私は知っています。
 あの人は、私の事を許してなどいないのだと。
 私が望んでいるものをあの人はちゃんと知っていたのです。
 だから、それとは対極にあるもの――すなわちこの場合は許し――を与えたのです。
 私が欲しかったもの、それは目に見える明確な罵りだとか蔑みだとか、そういった負の感情でした。
 中途半端な同情は、静やかに緩やかに、傷を抉っては消えていく事を知っていたからです。
 優しい人は皆、同情やいたわりをくれました。
 優しい人は皆、ただ只管に優しかったのです。

(それを厭う事が、何故出来ましょう。
 あの人は別として、それらは全てただの優しさであったというのに)

 私は何も言いませんでした。
 その代わり、涙を堪える事もしませんでした。
 それはどうやらあの人のお気に召したらしく、その時だけは本当に、何の感情も籠もらない手で頭を撫でてくれました。
 その時だけです。
 あの人が、私に対して虚構の許し以外を寄越したのは。
 今となってはもうあの人の真意など知りようもないのですが、結局、私はあの人に許されても蔑まれてもいないという事だけは、多分明確な事実なのです。

(傷を抉られるよりもあの時は痛いと思ったのです。
 けれど傷はいつしか消えてしまって、あの人の言葉も、最早断片的にしか残っていません。
 思えばそれがあの人なりの優しさだったのかも知れません。
 もっとも、どれもこれももう、終わってしまった話ではあるのですが)

 私は何も言いませんでした。
 何かを言えば壊れてしまう、終わってしまう事を知っていたのです。
 やがて来るべきその時があるとはいえ、悪戯にそれを引き寄せる真似をするつもりもありませんでした。
 私は失いたくなかったのです。
 あの人の、優しい大きな掌を。

(真綿で首を絞めるようにあの人は言ったのです。
 『あなたを許します。誰が何と言おうと、あなたを許します』)

 私は何も言いませんでした。
 あの人はとても綺麗に笑って、大きな手で頭を撫でてくれました。
 あの優しい、残酷な人は。

 * * *

アニス→ジェイド、なイメージ……とか言ったら石投げられそう(お前…)
どうとでも解釈出来るように書いたつもりですが、そうすると今度は何やら意味が判らなくなるとか、そういう本末転倒(駄目じゃん)
何にしても、何となく矛盾した文章になってしまったのが残念;

005.それはもう過ぎた話

2006-05-16 00:22:16 | 選択式
 理解しえない感情ばかりが燻っている。
 音もなく拒むように、気配さえなく漂うように。
 指折り数えた日々はいつの間にかこの手を離れ、終わってしまった事にも気付かないまま、未だにやむ事なく降り続いている。
 終わってしまったのだと、誰かが言ってくれたら。
 そうすれば、過ぎ去った日を静かに、波間に埋葬してやる事が出来るのに。
「厭わないままに夜は続いていくの。歌うように日々は積もって、忘れられない何かが穏やかに死にゆくように」
「…どういう意味?」
「意味なんかないの。誰も本質なんて見ていないのだから」
「死にゆく事を、君は厭わない?」
「穏やかならば。願わくは、独りで」
 そう言って彼女は微笑う。
 酷く透明な、完成された笑み。
 それを見るたびにいつも、彼女の中では既に何かが終わっているのだろう、と思わずにはいられなかった。

 * * *

前半と後半がさっぱり繋がっていません(要反省)
終わってしまった話を、まるでそこにあるかのように書くのは楽しいので好きです。
完成されたものを、まるで未完成のように書くのも好きです(よく判りません)

004.茜は過ぎて

2006-05-14 23:11:12 | 選択式
 にっこりと笑って「さようなら」を告げたあの人は
 日暮れが終わって夜になる前に消えてしまった
 けれど一日はまだ終わらず続いていく
 あの人のいないままに
 夜は積もっていく


 (茜色の空を見上げました。
  目が眩むほどの色彩は
  どうしたって
  あなたの面影を思い出させてはくれませんでした。)


 「さようなら」と呟いた声は少しも震えず
 でも真っすぐに響く事もなく
 ただ静かに
 夕暮れの空に溶けていった
 あの人の声はとても綺麗で
 ほんの少し
 夜に似ていた


 (夜はやがて明けていきます。
  静かに音もなく降り積もる時間に
  いつの間にか
  置き去りにされてしまったのです。)


 空は広く
 世界は広く
 夜は近く
 茜は遠く。
 気付かないうちに何かを失い
 もう
 ここにあの人の面影は残っていないのだと
 気付いてしまった


 (「さようなら」と言えませんでした。
  だって
  あなたはさいごまで
  優しすぎたのです。)


 そうして見上げた空と
 一日の欠片の中に
 いつしか茜は消えてしまった

 * * *

小説、ではない感じ。じゃあ何なのかといわれても困るのですが(…)
こういう形態も書いていて楽しいです。
そして相変わらず何のオチもありません(待て)

003.Dear, my dear.

2006-05-14 00:12:55 | 選択式
 嘘ばっかり、と言って笑った君の横顔は今でも鮮明に思い出せる。
 あの時、嘘じゃない、と嘘でも言えていたら、何かが変わっていたのだろうかと今でも考える。
 受け取る人のいない手紙を書きながら、過ぎた日を思う。
 感傷に浸ってみた所で、もうあの日々は戻らないのだと知りながら。

(これくらいの距離が丁度いい。…近過ぎればきっと、お互い駄目になってしまうのだから)

 忘れない為だけに手紙を書いて、受取人の名前だけを書かないままに封筒ごと破ってやる。
 なるべく細かく。何が書いてあったか判らないぐらいに。
 どうせまた繰りかえされる事なのだ。
 だって、ずっと繰り返してきた事なのだから。
 書き始めが苦手だ、といつも言っていた君。
 便箋には、"Dear,"とだけ書いてまた破ってしまった。

 * * *

……使いにくいお題だなァ;(自分で創っておいて!)
ていうかやっぱり私の発想はワンパターンなのだと思います。
そろそろ違う傾向の話が書きたい所です。

002.明滅

2006-05-13 01:22:21 | 選択式
 季節外れの雪が降った日と、僕が彼女からの最初で最後の便りを受け取ったのは確か同じ日だった。
 薄い空色の封筒の中にはB5サイズのルーズリーフが一枚と、恐らく不要になった連絡プリントの切れ端と思しき紙の切れ端が三枚。
 普通なら訝しむべき所なのだろうが、僕にとって彼女はまさしくそういう人間だった。
 型に嵌った事を嫌う……というより、自分のいいように行った物事が往々にして、世間一般の"普通"とかけ離れている、というただそれだけなのだけれど。
 とにかく僕は、その手紙をそれこそ暗記するほど繰り返し読んだ。
 彼女の字は整ってはいるが癖があり、一目見ればそれと判るようなものだ。
 そういう意味でそれはまさしく彼女からの手紙であり、また手紙であるというには余りにも異質なものであった。
 切れ端の方は、一見して判る通り単なるメモ用紙のようなもので、手近にあったペン――彼女らしくない事にそれはピンクだった――で走り書きがされているだけだった。
 一枚には明らかに日本語ではない言語が並び(ちなみにこれは英語でもなかった)、もう一枚には歪んだ五線譜と幾つかの音譜が書き込まれていた(試しに音階を追ってみたがろくに音楽にならなかった)。
 そして最後の一枚は―――といいたい所だが、何とも面白くない事に最後の一枚は何かが書きこまれている様子はなかった。
 元々印刷されていた連絡事項が斜めに分断され、中途半端な情報だけが僅かに読み取れただけ。
 ピンク色のペンはその中の一文にアンダーラインを引く為に用いられており、しかし僕はその一文がどんな文章だったか全く覚えていないのだ。
 ルーズリーフの方は、それよりは幾分まともな手紙の形態をしていた。
 罫線の最上段に僕の名前が書かれ、その二行下から始まった本文はメモとは違い、此方はちゃんと黒のボールペンで書かれていた。
 内容は別段変わった事が書いてあったわけではない。
 突然の手紙について詫び、近況を社交辞令程度に語り、社交辞令的に「また機会があったら会いたい」などという、本当に当たり障りのない事ばかりが綴られていた。
 僕はそれらを飽きるほどに繰り返し読んだ。
 しかし今になっても、本当に彼女が伝えたかった事が何なのか、はっきりとは判っていない。
 きっとルーズリーフの方の手紙には何の意味もなかったのだ。
 彼女が僕に送りたかったのはきっと切れ端のメモだけで、それ以外の事なんてきっとどうだってよかったはずだ。
 僕の知らない言語も、歪んだ五線譜も。
 何らかの事実を代弁し、けれど結局僕がそれを拾い上げられなかっただけなのだ。
 今や彼女の手紙は、空色の封筒だけを残して処分してしまった。
 そうするように、と書かれていたわけではない。ただそうしなければならないような気がしただけだ。
 思えば、あの日雪が降っていたのは何かの暗示だったのかも知れない。
 喪失にも似た何かが静かに胸の辺りに凝って、そのたびに僕はあの、歪んだ五線譜の旋律を思い出す。
 あの頃、彼女が一体何を思っていたのか、僕には知る由もない。
 以前はあれほど鮮明だった過去も手紙の内容も、もう刹那に明滅する程度の印象でしか残っていない。
 あれはきっとそういうものだったのだ。
 例えばアンダーラインの引かれた文章が彼女の命日の日付を指していたとしても、やはりそれはただそれだけの事でしかないのだ。
 そして少なくともあの日以来――――僕の住む街では雪が降っていない。

 * * *

長ッ!(ぇ)
取り敢えずやっぱり意味不明です。
でも物凄く楽しく書けました。ちなみにオチは特にありません(お前…)

001.平行線

2006-05-11 00:20:02 | 選択式
 例えば平均台が二台並べておいてあるのを想像してみればいい。
 僕と彼女、或いは彼女と僕との間柄はつまりそういうものなのだ。
 判らない、と言われても困る。
 だって僕にもよく判らないのだから。
 少なくとも、絶対に僕らは今の距離を壊す事はないし、また壊そうと思ったってきっとそれは無理なのだ。
 それでなければ…そう、合わせ鏡にも似ているかも知れない。
 果てなく何処までも、突き詰めればきっと終わりなんかない。
 互いに終わらせるだけの決定的な理由をもっていないまま、やはり細い平均台の上を歩くように僕らは共に生きているのだ。
(もっとも、そんな風に生きていくにはこの世界は余りにも窮屈なのだが)

 * * *

こういう形式は、特に深く考えずに書けるので好きです。
けれど、深読みすればするほどきっと判らなくなると思います(自分でも/ぇ)

テステス。

2006-05-05 00:43:13 | daily
小話投稿用。基本的に不定期(とかいいつつなるべく毎日書きたい)、かつ無節操にぼちぼちと。
自作選択式御題の使いにくさを実証するというのがサブテーマです(やめい)
というわけで、そのうちぼちぼち始めます(…)