一瞬たりとも見逃したくないのだろう。CMになっても大樹は決してテレビの前から
離れなかった。他のものには全く眼がいっていない。だが沙良は違った。CMに切り
替わると沙良はベランダに出て行き、手すりの隙間からマンション前に一直線に延
びる道路を見つめていた。
「おねーちゃん、始まったよー。」
CMが終わり大樹に呼ばれると、再びテレビの前へと戻った。同じ光景がCM毎に繰り
返された。
午後九時、エンディングテーマと共に番組は終わる。テレビに向かって丸一時間は
しゃいでいた大樹は、疲れ果ててそのままテレビの前で寝入ってしまった。沙良は
タオルケットを大樹の上にそっと掛けた。
弟と一緒に大好きな番組を見ている間は、確かに何もかもを忘れて楽しい気持ち
になれた。だが番組が終わり弟が寝てしまうと、それまでの楽しさは全てそのまま
寂しさへと移り変わった。沙良は再びベランダに出た。
離れなかった。他のものには全く眼がいっていない。だが沙良は違った。CMに切り
替わると沙良はベランダに出て行き、手すりの隙間からマンション前に一直線に延
びる道路を見つめていた。
「おねーちゃん、始まったよー。」
CMが終わり大樹に呼ばれると、再びテレビの前へと戻った。同じ光景がCM毎に繰り
返された。
午後九時、エンディングテーマと共に番組は終わる。テレビに向かって丸一時間は
しゃいでいた大樹は、疲れ果ててそのままテレビの前で寝入ってしまった。沙良は
タオルケットを大樹の上にそっと掛けた。
弟と一緒に大好きな番組を見ている間は、確かに何もかもを忘れて楽しい気持ち
になれた。だが番組が終わり弟が寝てしまうと、それまでの楽しさは全てそのまま
寂しさへと移り変わった。沙良は再びベランダに出た。