■財務アナリストの雑感■ シーズン8

会計士兼アナリストによる業界屈指の「脱力系」会計・財務・株式・金融ブログ。不正会計問題を受け、私も「覚醒」しました!

「日本電産 世界一への財務戦略」に思う

2017-01-17 | 会計・株式・財務
このブログさながら大寒波が押し寄せておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて本日は、日本電産について。

最近はこの本をパラパラと見ておりました。
日本電産流「V字回復経営」の教科書
川勝 宣昭
東洋経済新報社

著者は7年間、日本電産グループに在籍し、子会社の役員を歴任後、経営コンサルタントとして独立。この本の詳細については現物でご確認いただきたいのですが、経営課題を図表で見える化するなど「実践メソッド」を紹介しているのが大きな特徴でして、経営の現場でも役立つ場面が多いかも知れませんね。改めて強烈な企業カルチャーを持っている凄い会社であることを確認しました。

と思っていたところ、週刊経営財務1月16日号「永守重信 道を切り拓く世界一への財務戦略」というインタビュー記事に遭遇。
永守会長兼社長の、実体験に基づく財務に対する考え方・原則が明快に示されており、真理を突いていて非常に有益だと思いましたので、後学のためにポイントを抜粋してみます。皆さんは既にご存知の内容かもしれませんが・・・・。

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・財務の基本は「最後はキャッシュ」
・財務戦略の基本は「絶対に会社を潰さない財務戦略」 
・マーケティングの中には「回収」というものがある(売るだけではない)
・「回収は早く、支払いは遅く」これは原則。
・モノを売る時は、必ず支払い条件をはじめに決めなさい。
・結果的にどういう会社が倒産したのか、なぜそうなったのかという研究が大事は
・「いざ」という時、銀行は絶対にカネを出さない。
 (当社に在籍する銀行出身者も銀行を信用したらいけないと言っているとか)
・手形はいざという時の保険(特に中小企業の)。一流手形は最後の切り札。
・安易なお金(例:親戚や親のお金)は受け入れてはいけない。
 まずは「いちばん難しいところ」(審査の厳しい金融機関)から借りるべき。
・日本のベンチャーキャピタルはベンチャーに対して安易にお金を貸しすぎている。
 日本で成功ベンチャーが出てこないのは、これも一因。
・規模の大きくない企業が成長を目指すなら自己資本比率を気にするな。
 (難しい経営指標を言い出すと、会社は伸びない)
 会社の規模に応じて、最も重視すべき指標がある。
・財務戦略の視点からみると「会社はCEOとCFOで8割決まる」
 業績が悪くなった要因のほとんどは、CEOが60%、CFOが20%。
 財務の視点から会社の経営をきちんと見ている人がいないと会社は伸びない。
・経理部長とCFOの違いは何かと言えば、前者が過去のことをやる人。後者が未来のことをやる人。
・M&Aは統計によると88%が失敗。
・「M&A成功の3条件」というのがあって、一つは絶対に高い値段で買わないこと。適正価格で買うこと。
 次は、必ず自社の社風にあった会社を買う。
 3つ目はシナジー。特に海外企業はだいたい一番ピークの時に売る。それを買うとそのままでは絶対に利益は出ない。、
・買収というのは、買う段階までは全体のわずか20%。残りの80はPMI。これに最もエネルギーが要る。
・ファンドが持っている物件を買うときには要注意。仮に経営者が良くても、契約で1年後にはいなくなるといったケースもザラ。
 どういう経営者がいて、本当にこの先もずっとそこで働いてくれるのかどうかすら日本企業はチェックできていない。
・「M&A成功の条件」にもう1つ加えるとしたら「誰から買うか、誰に売るか」。
 私たちは、世界や日本を代表する超一流会社からしか買っていない。
 私は最初から「この会社を買う」と決めており、毎年1月1日に手紙を書く。「あなたの会社を売っていただけませんか」と。
 海外の会社は物凄く立派で「今年も私の会社に興味を持って頂き本当に有り難う。しかし現時点ではまだ売る気はありません」と返事を書いてくる。
・CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)を早くから取り入れている、本音は「不正防止」にある。
 不正で一番多いのは在庫、その次は売掛金。CCCで管理するようになって不正が激減した。
 お金の流れを重視していたら会社は健全化する。
・為替予約は必要なし。為替変動は誰も当たらない。
 3年から5年くらいの間で見たらプラスマイナスゼロじゃないですか。
 それをもの凄い神経を使って一所懸命に予約して、みんな全部さかさまにやって大損しているわけです。
 為替アナリストなんて全部外れてますよね。当たったら、今頃為替アナリストなんかしていません。大金持ちになってますよ。
・「ROE重視」については、やり方が全くおかしい。自社株を買って株数を減らしたりしてね。
 健全な利益を上げてということならいいですよ。
・日本電産の今後重視していく指標は、自己資本比率。
 会社の規模が大きくなってくると調達金額が大きくなってくるので、問題は「格付」です。
・公認会計士は、少なくとも3年から5年は企業に勤めさせて企業経理を経験させるべき。
 粉飾問題が起きるのは、その裏の手口を全然分かっていないことなんです。今の制度は良くない。
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ここまで書いて私はふと、永守氏が社外取締役をしているソフトバンクによる英ARM(半導体設計会社)買収問題を思い出しました。
東洋経済オンラインの記事によりますと、こんな見方をされていました。

永守会長が「社外取締役を務めているので、私もARM買収の議論の場にいた。孫さん(孫正義ソフトバンク社長)は30年~50年先を見て、3兆3000億円も出してARMを買収した。ただ、技術革新のスピードは速いので、私にそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね」と答えると、会場からは笑いが起こった。  

さすが、筋を通してましたね。

でも、上記に書いたような財務方針と「真逆」にあるソフトバンク。
なぜ永守氏が社外取締役をされているのか少々疑問は残りましたけど。



反面教師にするのかな。


またいきます。

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