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ライブドア、セシールを買収へ 通販事業を強化

2005-10-21 | 事業再生・M&A
やっぱり出ましたね。本日の日経朝刊。
「ライブドアがホワイトナイトになる」って話。
ライブドアが民放大手のTBSに対し、楽天との経営統合交渉が
決裂してTBSが敵対的な買収の脅威にさらされた場合、
TBS側の防衛策に協力する用意があると申し入れていたんですね

申し入れするだけで(1銭もカネかけずに)ニュースにしてくれるんですから
トクな会社ですよね。呆れるけど。

さて本題に関して雑感を少々。

①中古車のジャックに続き、通販のセシール。
 いわく付きの会社をどう再生させるのか。
 大胆なリストラ策が飛び出してきそうで、興味深々です。

 でもデューデリジェンスはちゃんとやったのでしょうか?
 財務面、というよりも、この会社のキモにあたる
 顧客名簿1,500万人の実在性とそのメンテナンス状況が
 大変気になります。

②このニュースに接した時、以前、ジェトロのホームページで見た
 「日本の通信販売市場調査(JMR No.74)2005年3月」という
  レポートを思い出しました。
  http://www.jetro.go.jp/jpn/reports/05000905

  このレポートは対日投資に関心のある海外企業に向けて、
  業種別に日本市場を紹介するシリーズ・レポートの1つでして、
  いわば「外資による対日M&Aの手引き」みたいなものです。

  このレポートにはご丁寧にM&A成功のポイントが書かれています。
  何も外資系だけでなく、国内異業種企業にも参考になりそうですね。
    ・魅力ある独自商品やサービスがあるか
    ・独自のビジネスモデルを構築しているか
    ・参入した場合の自社のポジショニングの明確化、
    ・(外資系の場合)
      日本におけるベストパートナーの選択やそのパートナーとの
      適切な機能分担、現地(日本側)の経営陣への権限の委譲、
    ・日本の消費者やビジネス環境に関する詳細で正確な情報収集、
    ・参入前および参入後のマーケティング調査や
     フィージビリティスタディ、
    ・決済やデリバリーシステムの把握とその活用
   (まぁ言われてみれば当たり前の論点ばかりですけど・・・)

 ジェトロのレポートの題材にされるくらいですから、
 通販業界は格好の買収対象なんでしょうね。
 でも、本当にセシールで良かったのでしょうか。
 まぁ株式。とりわけIT株は期待を先取りしていくもんですから、
 何かを買収していればいいんでしょうね。
 ですから、目先は良いんでしょうね。

<以下、毎日新聞>
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ライブドア セシールを買収へ 通販事業を強化
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 ライブドアは21日、カタログ通信販売大手のセシールを
買収すると発表した。
ライブドアの子会社でネット広告などを手がけるライブドア
マーケティングが、株式公開買い付け(TOB)などで
セシールの発行済み株式の50.1%以上を約200億円
かけて取得する。
セシールの高い知名度などを使って、ライブドアグループの
インターネット通販事業を強化する。

ライブドアマーケティングはまず、セシール創業者一族の
資産管理会社からセシールの発行済み株式の25.7%を
取得したうえ、TOBで買い増し、持ち株比率を50.1%以上にする。
TOB終了後にセシールに過半数の取締役を派遣、
セシールは上場を維持する。


ライブドアは、30~40歳代の女性を中心に1500万人に
達するセシールの会員を自社グループのホームページに誘導、
ポータル(玄関)サイトとしての価値を高めたい考え。
会見した堀江貴文ライブドア社長は
「金融商品も共同でセールスしていきたい」と述べた。


一方、セシールは04年12月期まで2期連続の経常赤字で、
05年12月期も黒字転換の見通しが立っていない。
経営の立て直しが急務で、ライブドアとの提携で活路を見いだしたい、
としている。【岩崎誠】


◇IT駆使せず通販事業は困難に


ライブドアグループによる通信販売大手のセシールの買収は、
ネットや携帯電話での取引が急拡大し、紙のカタログ中心だった
通信販売業界に大きな変化が起きていることを象徴している。
通信販売事業そのものは市場が拡大しているが、
IT(情報技術)を駆使しなければ、
生き残りが難しい状況になっている。


日本通信販売協会によると、通信販売の売上高は95年度の
2兆1100億円から04年度は3兆400億円へと、
右肩上がりで拡大している。
ネットの利用は01年度は5%だったが、03年度が12%と、
ここ数年で急増。
同協会は「ネットやモバイルに対応できない企業は厳しい」と分析する。


通信販売大手の千趣会は、約1200億円の通販事業の3割が
ネットによる売り上げだが、07年までにネット経由の取引を
50%まで引き上げる計画だ。
「ITに強い企業との提携も可能性がないとはいえない」と語る。
20代、30代の顧客が多いニッセンも
「ネットやモバイル経由が売り上げの約27%」という。


通信販売業界は、化粧品や食品など、特定の商品を専門に取り扱う
事業者が増え、さまざまな商品を取り扱う総合通販事業の苦戦が
目立っている。ネットへの対応を誤れば、さらなる業界再編につながる
可能性もありそうだ。
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1 コメント

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経営者のバンザイ (温故知新)
2006-01-05 13:00:49
 ...といっても喜びの表現ではありません。ギブアップという意味です。

 セシールは従来は日本一巨大な通販企業で、主力商品は下着に靴下、なおかつ通産省が設立した通信販売協会にも加盟しない極めてエッジな企業でした。

 それが株式を公開して少ししたあたりから利益率も高いけどリスクも大きいアウターウエアに力を入れ、カタログも分冊につぐ分冊を行い、方向性を見失いました。一時期、非常に優秀な役員のおかげで立ち直ったように見えたのですが、結局オーナーと合わずサヨナラ。その後はまっさかさまという感じでした。

 そこに現れた白馬の王子がみずほ銀行から来た前社長だったのですが、リストラ二年でギブアップ。彼の最後の決算説明会では、業績がボロボロというのに薄ら笑いすら浮かべているという状況でした(多分、今回の話が決まっていたのでしょう)。

 こんな状況ですから、顧客リストがどれだけメリットになるかわかりませんね。だいたい通販の顧客は一名集めるのに1万円かかるといわれていますが、実際にリスト交換やリスト売買をしてもそのコストを回収できるだけの売上は上がらないといいます。とすると残るのは巨大な物流センターだけ。

 いっそのこと、元通りキャリー在庫にしやすい下着やパジャマ、靴下などの通販に戻ればいいのになと思うんですけどね。
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