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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

王者・電通の苦悩に思う

2006-03-25 | 会計・株式・財務
いつもご覧下さり誠に有難うございます。

昨日はパソコンの調子が悪くて更新できず大変失礼しました。

年度末でご多忙の方も多いと思われまして、最近コメントされる方が少なく、
それだけを見ると不安なのですが、でも木曜日781名様、金曜日685名様に
ご覧頂きました。
恐縮の至りです。

さて本日のネタ。相変わらず、検索キーワードで上位に来る「電通」。

日経ビジネス06.3.27号にて『「王者」電通の苦悩』という記事がありましたので、
その記事の中から、事実関係だけ抜き出して私なりに整理してみました。

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■テレビ広告市場における電通の位置づけ

・シェア37%。2位の博報堂との差は倍近い。
・一般に広告会社が受け取るテレビスポットCMの報酬率は15~20%だが、
 電通のような大手にはさらに手数料が支払われてる模様。
・証券アナリストによれば、電通は単体粗利益の約6割をテレビで稼ぎ出すと。


■しかし、2005年10月に衝撃走る

・通常、10月は年末商戦を睨んで企業側が新製品を投入する時期であり、
 テレビCM出稿が伸びる時期。しかし、昨年は、CMの出稿が急に落ち込んだ。
・企業側の業績が好調な中で、12月までの出稿量は前年比▲4~5%減と異例の
 事態。
             ↓
・デジタルメディアの台頭や消費者行動の変化で、広告市場を取り巻く環境は激変
 しており、10月の異変はその地殻変動の始まりを象徴的に示す。

・企業側もマス一辺倒の広告展開を改め、「広告のROI(投下資本利益率)」
 を判断の軸とするなどして、より効果的なマーケティングを模索していると。


■補足
・日経ビジネスの同じ号で、テレビ業界の展望をしておりました。
 そこでの論点を挙げますと、

  ①テレビ界にかつての映画産業の排他的体質が根付いている。
   参入障壁を高くし、キー局5社体制を40年維持。希少な電波を押さえ込む
   ことで巨額の利益を得ていた。

  ②しかし、無料放送モデルのネット配信がスタート。
   ネット上で民放と同様のモデルができることを世に示した。
   ライバル出現である。

  ③映画産業は当時の新興メディアであるテレビと断絶状態(=銀幕スターを
   テレビに出演させないという「5社協定」)を作ったことで、
   時代に取り残されていった。
   大変革期を迎えるテレビ業界はどう対応するのか。
   映画の二の舞となるのか。

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(コメント)

①素人目で見ても、テレビ・広告業界は大激動の時代を迎えたとする論調に
 違和感はありません。規制に守られ最後の「護送船団」と揶揄されいるテレビ局
 が今後今のような厚遇を続けられるか疑問です。
 また、CM収入の減少はテレビ局だけでなく広告業界の収益にも打撃を与えます。

②こうした中で巷間言われるように村上ファンドが電通を買い進めていくとしますと、
電通に対する要求として「経費リストラ」が真っ先に上がると思います。

電通の財務分析は今後行う予定ですが、1つだけ例を挙げてみます。
05年3月期の有報p.80(税効果会計)を見ますと,会計上の税率が高いんですね。
05年3月期の法人税等の負担率(会計上の税率)は49.5%と、
一般的な実効税率41%よりもかなり高い。

このうち、交際費など永久に税務上損金とならない項目で3.7ポイント押し上げて
おります。この期の連結税金等調整前利益が549億円ですから、
ざっと「20億円が交際費等と推定」されます。
 業務上必要なものもあるのでしょうが、私なら真っ先にリストラの対象にしますけど。

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5 コメント

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交際費 (佐藤)
2006-03-25 17:48:45
電通あたりは、実質の交際費ではない物を交際費処理してるんじゃないですか?と、勝手な推測。話は違ってすいませんが、本日のロイターに「米投資銀行リーマン・ブラザーズの欧州・アジア地区最高経営責任者(CEO)、ジェレミー・アイザックス氏は、ロイター通信とのインタビューで、日本の人員を向こう3年間で倍増させる考えを示した。

 アイザックスCEOは、日本を中心としてアジア業務が全体的にリーマン・ブラザーズの成長の原動力になるという見方も表明した。

 CEOは「日本はリーマンの投資先として最も重要な場所であり、最大限投資していく」と指摘。「たんす預金が資産購入に向かう現象が現在起こっている」と話した。

 リーマンの欧州業務拡大計画はよく知られているが、アイザックス氏は今回初めて、アジア業務での抱負を語った。

 同社はアジアに現在約2200人の従業員を抱え、うち半数以上は日本が拠点。世界全体の同社社員数は2万2900人。

 アイザックス氏は、日本の今後の転機になる要因として、2007年にも企業買収ルールが改定され、外資系が株式交換で日本企業を買収することが可能になるとみられている点を挙げた。改定があれば07年には外国企業に買収標的にされる前に、企業同士が提携しようとするなど業界再編の動きが活発になるとの見方を示した。」いよいよ、三角併合法を睨んでの外資進出が本格的になるんでしょうか?更には、第二東京タワーの建設のニュースも・・。「日米規制改革及び競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」に書かれている要望が着々と現実化されていくように感じてなりません。

返信する
コメント有難うございます。 (dancing-ufo)
2006-03-25 21:25:49


どこの佐藤さまだかは存じませんが

佐藤さま、コメント有難うございます。







>「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ>に基づく日本国政府への米国政府要望書」に>書かれている要望が着々と現実化されていく

>ように感じてなりません。



これは全く同感です。

私もブログを立ち上げた昨年夏から、

関岡さんの「拒否できない日本」(文春新書)と要望書をネタにいくつか記事を書いて

おります。



例の三角合併の1年先送りも、米国の動きを察知した国会議員からの働きかけで実現したとか。



ですから、私は「要望書=予言書」と

見ております。比較的当るし。

引き続きフォローしていきます。











返信する
要望書=預言書 (どこぞの佐藤です(笑))
2006-03-26 02:58:45
名言ですね。これから「日本国政府への米国政府要望書」と言わずに、「日本国政府への米国政府からの預言書」と言うことにします。て、かなり情けない気が・・・・。預言書に対して書かれているのも遡って読まさせていただきます。
返信する
教祖はだれか? (スパイラルドラゴン)
2006-03-26 10:21:10
こんにちは。

要望書=預言書だとすると、その予言書を書いている人は「教祖」と言うことになりますね。

そして、「教祖」という言葉を「システム言語・言語学」で表示すると、「きょう うそ」となります。

 つまり、自らを「教祖」と言う人とは、「今日 嘘をつく人」という意味となります。

そして、アメリカの要望書を書いている「教祖」とは、一体誰なのでしょうか?

単純な推論だと思われることを恐れずに、私の推論を申し上げますと、アメリカの「教祖」は、アメリカの軍事産業を操っている連中ではないでしょうか。
返信する
Unknown (偶然)
2006-04-05 02:26:48
財界展望でコレに関連する連載が始まりましたね。



アンチ派の挙動なのか、煙幕なのかよく分からない感じです。
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