日経に「1億円粉飾決算疑い プロルート元社長ら逮捕、東京地検」という記事が出ました。詳細は現物記事をご確認下さい。
事実関係を整理してみますとこんな感じ。
・プロルート社は1951年に設立、88年に現在の商号に変更。衣料品の卸売を中心に事業展開。
・筆頭株主のコンサルティング会社「ウェルスブラザーズ」(WB)は2017年設立。石山代表の人脈を軸に、顧客企業の事業支援。
同社は19年9月、プロルート社と資本提携契約を結び、同社の株式約19%を保有。
・19年3月期は大幅な最終赤字を計上。
・20年3月期の連結決算は営業損失が約4億円、経常損失が約4億3000万円、約11億円の純損失。
・2021年3月期の連結決算が今回の容疑。
本来、営業損失が約3900万円、経常損失が約5500万円、約6500万円の純損失だったものを
1億円ほど上乗せし、営業利益を約6300万円、経常利益を約5400万円、純利益を約4300万円
と偽った有価証券報告書を同年6月に近畿財務局に提出した模様。
・2021年1月にはコンサートグッズの販売会社を子会社化、
2021年7月に医療機器販売会社を子会社化
・2021年8月、WB社は株式売却で筆頭株主から離れる
・2022年11月、同証券取引等監視委員会が社の株価をつり上げる目的で虚偽情報を公表した疑いがあるとして、金商法違反(偽計)容疑で同社や関係先企業を強制調査
さっそく問題となった有報をみてみましょう。
2021年3月期4Q有報
気になった点
・主力の卸売事業の売上高が前期比+0.1%
まずこれをおかしいと思わないと。頑張って売上作っちゃった感が満載なんですけど。
・連結営業活動キャッシュフローは4期連続マイナスなのに、僅かな連結経常黒字。単体は赤字継続。
・売上債権、在庫とも大幅増
古典的な粉飾パターンじゃないでしょうか?
監査法人は何を見ていたのか?と思いたくなる。
2020 2021
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上 5770 5810
経常利益 -437 54
売上債権 517 701
在庫 467 567
折しも本日、会計士協会で実施された「会計不正」研修資料には、以下の記載がありました。
架空循環取引の防止・早期発見策として書かれておりますが、当件にも十分当てはまると思いますよ。
(この研修資料はなかなか良くできてますので会計士先生諸氏、ぜび活用下さい)
「不正の兆候」は貸借対照表とキャッシュフローに顕在化
→ 「取引先別売掛金・買掛金残高」「品目別棚卸残高」
→ 残高が急増・急減している「合理的な理由」はあるか
→ 残高の変化は被監査会社の経営方針に合致しているか
損益計算書(=仮装・隠蔽された結果)には「不正の兆候」は表れない
・売掛金・買掛金残高の急増は,「架空売上」「循環取引」の前兆
・棚卸資産残高の急増は,「売上原価の先送り」を疑う ⇒ 実地棚卸
・利益が出ているのにキャッシュフローが赤字(悪化)
→ 過去に「倒産」事例がもっとも頻発している粉飾パターン
原材料高、サービス業での人手不足によるコスト高、とかこれからまた粉飾決算が増えそうですよね。
基本に立ち返って勉強し直しましょうか。
事実関係を整理してみますとこんな感じ。
・プロルート社は1951年に設立、88年に現在の商号に変更。衣料品の卸売を中心に事業展開。
・筆頭株主のコンサルティング会社「ウェルスブラザーズ」(WB)は2017年設立。石山代表の人脈を軸に、顧客企業の事業支援。
同社は19年9月、プロルート社と資本提携契約を結び、同社の株式約19%を保有。
・19年3月期は大幅な最終赤字を計上。
・20年3月期の連結決算は営業損失が約4億円、経常損失が約4億3000万円、約11億円の純損失。
・2021年3月期の連結決算が今回の容疑。
本来、営業損失が約3900万円、経常損失が約5500万円、約6500万円の純損失だったものを
1億円ほど上乗せし、営業利益を約6300万円、経常利益を約5400万円、純利益を約4300万円
と偽った有価証券報告書を同年6月に近畿財務局に提出した模様。
・2021年1月にはコンサートグッズの販売会社を子会社化、
2021年7月に医療機器販売会社を子会社化
・2021年8月、WB社は株式売却で筆頭株主から離れる
・2022年11月、同証券取引等監視委員会が社の株価をつり上げる目的で虚偽情報を公表した疑いがあるとして、金商法違反(偽計)容疑で同社や関係先企業を強制調査
さっそく問題となった有報をみてみましょう。
2021年3月期4Q有報
気になった点
・主力の卸売事業の売上高が前期比+0.1%
まずこれをおかしいと思わないと。頑張って売上作っちゃった感が満載なんですけど。
・連結営業活動キャッシュフローは4期連続マイナスなのに、僅かな連結経常黒字。単体は赤字継続。
・売上債権、在庫とも大幅増
古典的な粉飾パターンじゃないでしょうか?
監査法人は何を見ていたのか?と思いたくなる。
2020 2021
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
売上 5770 5810
経常利益 -437 54
売上債権 517 701
在庫 467 567
折しも本日、会計士協会で実施された「会計不正」研修資料には、以下の記載がありました。
架空循環取引の防止・早期発見策として書かれておりますが、当件にも十分当てはまると思いますよ。
(この研修資料はなかなか良くできてますので会計士先生諸氏、ぜび活用下さい)
「不正の兆候」は貸借対照表とキャッシュフローに顕在化
→ 「取引先別売掛金・買掛金残高」「品目別棚卸残高」
→ 残高が急増・急減している「合理的な理由」はあるか
→ 残高の変化は被監査会社の経営方針に合致しているか
損益計算書(=仮装・隠蔽された結果)には「不正の兆候」は表れない
・売掛金・買掛金残高の急増は,「架空売上」「循環取引」の前兆
・棚卸資産残高の急増は,「売上原価の先送り」を疑う ⇒ 実地棚卸
・利益が出ているのにキャッシュフローが赤字(悪化)
→ 過去に「倒産」事例がもっとも頻発している粉飾パターン
原材料高、サービス業での人手不足によるコスト高、とかこれからまた粉飾決算が増えそうですよね。
基本に立ち返って勉強し直しましょうか。