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「ヤマダ電機の暴走」の果て

2010-12-15 | 会計・株式・財務
まずは、思わず爆笑してしまった記事がありましたのでご紹介。
この会社はもともと訴訟好きですが、これを恥の上塗りと言わずして何という。


2010年12月14日 読売新聞
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ヤマダ電機、満足度ランク最下位訴訟で敗訴

. 週刊経済誌「日経ビジネス」の消費者満足度ランキングで最下位にされ名誉を傷付けられたとして、
業界最大手のヤマダ電機(群馬県高崎市)が発行元の日経BP(東京都港区)に5500万円の
損害賠償などを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

 石井浩裁判長は「ランキングの根拠となった調査には、恣意(しい)的な結果が生じるような事情はなかった」
と述べ、ヤマダ側の請求を棄却した。

 問題となったのは、同誌2008年7月28日号に掲載された特集記事。
アフターサービスの満足度に関するアンケート調査で、家電量販店部門はヤマダが16社中最下位だったなどと報じた。

 ヤマダ電機は訴訟で、調査が事前に登録していたモニターを対象に行われたことについて、
「読者は、国民全体からアンケートの回答者を無作為抽出したと誤解する可能性が高く、不適切だ」と訴えた。

 これに対し、判決は、同誌側がモニターから回答者を無作為抽出し、
組織票を防ぐためにメールアドレスのチェックも行っていたことなどから、
「合理的な調査結果になるような配慮がなされていた」として退けた。

 ヤマダ電機の話「極めて不当な判決で、直ちに控訴します」

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(コメント)
私はこれまで何度かヤマダ電機についてネタを書いておりますが、
何か大きな転換点に来ているようです。

上記の記事を見て2つの本を思い出しました。

ひとつは最近出たコレ。

ヤマダ電機の暴走
立石泰則
草思社


前著「ヤマダ電機の品格」の改訂版。「LAVI1 日本総本店 池袋」の実情など
最新状況がアップデートされておりますが、基本、同社の経営ぶりに対する冷ややかな目線は変わっておりません。


月刊誌「選択」12月号にも「ヤマダ電機の変調」という記事が出ておりまして、日本総本店の収支が厳しいのではないかなど興味深い観測が示されておりました。
(日本総本店は収支が厳しく、赤字にならないように(≒減損会計適用を回避するため)、人件費を郊外店が負担している、
 との指摘もあり、こういう減損逃れの方法もあるんかと感心すらしました。)


そして、もしやと思って読み返したのがコレ。
ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階
ジェームズ・C・コリンズ(James C. Collins)
日経BP社



衰退の五段階。
以前、拙稿でも取り上げましたが。
改めて衰退のそれぞれの段階で起こる現象とヤマダ電機の近年の動きを見てみますと、
かなり「あてはまっている」印象
がします。
まぁ、ゲゲゲの女房ではありませんが「来るべきときが来た」のかも知れません。


第一段階 成功から生まれる傲慢
 ・成功は当然だとする傲慢 
 ・主要な弾み車の無視
 ・何からなぜへの移行
 ・学習意欲の低下
 ・運の役割の軽視

第ニ段階 規律なき拡大路線 
 ・持続不可能な成長の追求と、大きさと偉大さの混同
 ・関連しない分野への規律なき飛躍  →今ではこんなのも売ってます
 ・主要なポストのうち、適切な人材が配置されているものの比率の低下
 ・容易に利益を得られることによるコスト面の規律の緩み
 ・官僚制による規律の破壊
 ・問題のある権力継承 
 ・組織の利害より権力者個人の利害を優先

第三段階 リスクと問題の否認   →自社に不利な情報に対して徹底抗戦(今回の訴訟) 
・良いデータを強調し、悪いデータを小さく見せる傾向  →過去に、売上高をミスリード
 ・事実の裏付けがない大きな賭けと大胆な目標
 ・曖昧なデータに基づいて、とてつもないリスクをおかす動き 
・経営陣の健全な行動様式の衰退  →こんなアホな訴訟するかよ?(by dancing-ufo)
 ・外部要因への責任の押しつけ   →「悪いのは日経BP社だ!」
 ・組織再編への固執
 ・傲慢で超然とした姿勢  →「悪いのは日経BP社だ!」

第四段階 一発逆転策の追及 → 都心大型店、中国進出  ←今はこの段階か?
 ・特効薬の追求
 ・救世主のような指導者への期待
 ・パニックと拙速  →山田会長、焦ってる、疲れている 
 ・抜本的変化と「革命」の喧伝
 ・業績より売り込みの優先
 ・当初の業績回復とその後の失望
 ・混乱と皮肉な見方
 ・リストラの繰り返しと財務力の低下  →すべては株価のためだったのに、成長神話が終焉。
                                 転換社債の借り換え、どーする?



第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅 
 ・戦いをあきらめる
 ・選択肢が尽きる・・・・・・

私、思いますけど。
「ビジョナリーカンパニー 衰退の法則」の日本での適用第一号は、ヤマダ電機で決まりではないでしょうか?
失礼ながら、ケーススタディーとして最適ではないかと・・・・・。



おっと、これ以上書くのはやめましょう。
私も訴えられたらたまりませんから。






でも見落としてはならないのは・・・・・・・、




「衰退の5段階」を出している出版社が訴訟相手の日経BP社
だということ。

なんたる偶然!すごいオチです、我ながら・・・・・。




・・・・・そして・・・・・・数年前から申し上げている通り、やっぱりケーズデンキが追い抜いていくのでしょうか。



またいきます。



なかのひと

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