俺は若い頃から、ビートルズのよさが全く分からなかった。
ビートルズを好きなミュージシャンはレヴェルが低いという印象しかなかった。
海外のゲスト・ハウスでドミに長期滞在していて、ビートルズが連日のようにかかっていたんだけど、俺はその時、初めて何故当時の若者があれだけ熱狂したのか少し理由が分かったような気がした。
ビートルズが当時の音楽業界のしきたりや常識を次から次へと覆していったという事はさておいて、ビートルズが当時、斬新で画期的だったのは、 それまで 音楽というものは音大やピアノなどの複雑で難しい一部の訓練された人しか演奏できないものだった。
ジャズやブルースも長期的な厳しい訓練が必要であった。
ビートルズの音楽と演奏は、そういった音楽を音大やピアニストや音楽理論・楽譜などの手続きを次から次へとぶち壊していく面白さがあったのだ。
音楽というものを一部の専門家の聖域から、一般大衆のレヴェルへと引き摺り下ろしたのだ。
その点に当時の世界中の若者は熱狂していたのだと思う。 もちろんそれだけではないだろうが・・・
パンクが出てきてからは、欧米の音楽の水準は目も当てられない程レヴェルが落ちてしまった。
初期パンのフレーズの繰り返し、ベタのオンパレードになってしまった。
大衆化と民主化の哀れな末路を聴く思いがして、ああ、これからは中国やアジアの時代になるなと思ってしまった・・・