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こっそり読書日記

HQの感想。ネタバレあり。

ホロー荘の殺人

2023年04月30日 | アガサ・クリスティ ポワロシリーズ

The Hollow 1946  ハヤカワ・ミステリ文庫 中村能三訳

ヘンリー・アンカテル卿 行政官 ホロー荘の主
ポワロさんとはバグダッドで高等弁務官をしていた時からの知り合い(殺人事件絡み)
自室に鍵をかけているのは、自由気ままな妻に朝早くから起こされたくないため
妻の突飛な行動に驚きつつも、可愛い子供をみるように見守っている
Edward Hardwicke
2代目ワトソンさんでした、その他出演作多数のベテラン枠

 

ルーシー・アンカテル ヘンリーの妻 60歳を過ぎたくらい
貴族階級?(爵位はわからず)の奥様ならではのキャラクターって感じで
警察はもちろんポワロさんでさえ手玉に取ってしまうような変わった人物
でもあの時代なら現実にもいそうなと思える
だってその場に居合わせた関係者から使用人まで統率が取れてたら、殺人事件と言えども
隠蔽もありでしょってね(もちろんポワロさんがいなければってことですが)
ポワロさんはこの風変わりな夫人に好感を抱いている
グレンジ警部のルーシーに対する印象は、「雲をつかむような」「少し頭のおかしい」人
Sarah Miles
1984年版「無実はさいなむ」メアリー・デュラント

 

ホロー荘の客

ミッジ・ハードカースル(ハードカッスル)母方がアンカテル家
ドラマ版では出番も少なくて空気みたいな存在感でしたが
原作ではしっかりロマンス部分を担当されてて
この方のエピがなかったらこのお話好みじゃないわって微妙になってた気もする

ヘンリエッタを愛するエドワードを一途に想っているが振り向いてもらえないこともわかっている
裕福なアンカテル家の親族でも、小さな家内事業に苦闘してきた父親に献身的で
幼い頃からアンカテル家の親戚の家で暮らしたり、物質的な恩恵も受けてきたが
彼らの好意による経済的援助に頼ることは拒んできた自立した女性
ただしお客や雇い主に媚びへつらい、首にならないよう不安を抱えて暮らす生活のため
アンカテル家に対して好意と恨めしい気持ちという相反する感情を持つ
アンカテル家に流れる血について、鬼火のような捉えどころのないもので
妖精じみた冷たさを内に持っているという言葉も

Caroline Martin
「グランチェスター」S5E2 「刑事モース」S5E6 「刑事フォイル」 「リンリー警部」

 

ヘンリエッタ・サヴァナク(サバナーク) 彫刻家 ルーシーは従姉
結局は芸術家なのよねって凡人の私には理解できないキャラ
ジョンとの関係は半年前から
Megan Dodds
「ホワイト・カラー」 「CSI:NY」「CSI」 「ドクター・ハウス」 「ライ・トゥー・ミー」等米作品にゲスト出演
「ホテル・バビロン」 「MI5」

 

エドワード・アンカテル 
ルーシーのアイルランドにある生家エンズウィックの限嗣相続人 
外交官をしていたが、相続人となり退職し財産だけで生活するように
書物好きで初版本を集めたり、有名ではない雑誌に時々投稿したりの生活
また従姉妹のヘンリエッタを一途に想い、プロポーズは3度断られてるが諦めきれないでいる
この方も出番的には少なかったけど、ヘンリエッタに袖にされて(わざとっぽかったけど)
原作ではドラマ版のようにミッジとの関係も唐突でもなく
やっと別の方向に目を向けることになり、ミッジを白馬の騎士の如く救い出しって展開にワクワク
それだけかと思ってたら(ラスト近くにさらなるエピを盛り込んでくれたのねと嬉しかった)
高等遊民な自分の立場を恥じてもいたのね、そこでのミッジとのロマンス展開には満足
Jamie de Courcey
「ヴェラ」S8E3 「ダウントン・アビー」 「刑事フォイル」 「ワイヤー・イン・ザ・ブラッド」

 

デイヴィッド・アンカテル オックスフォードを卒業
家庭が複雑(母親が被害妄想症で精神病院で死亡)でややシニカルな思想
エドワードが結婚せず子供がいないままなら、エンズウィックが相続される

 

ジョン・クリストウ 医師 ハーレイ街でも優秀な医者
自分の追求する難病研究第一の仕事熱心さは間違いなくても、女癖は悪い
Jonathan Cake
ジョナサンさんの奥様、ジュリアン・ニコルソンさんで
見たことあるお顔と思って経歴チェックしてみたら、最近見直した「8月の家族たち」の次女役だったり
「霊能者アザーズ」ってドラマを見つけたのですが、これなんか評判悪かったような
記憶だけ残っていて、なぜその記憶が残っているのかもう一度見て見たいとまたまた脱線
「ロウ&オーダー:SVU」 「クリミナルマインド」 新マープル「蒼ざめた馬」マーク・イースターブルック
「ロウ&オーダー」 「チャック」 「ロウ&オーダー:クリミナル・インテント」
米作品にもゲスト出演多々

 

ガーダ・クリストウ ジョンの妻 子供が2人 テレンスとジーナ
誰からもグズでのろまな(どこかで聞いた覚えが・・🐢ジャない)と思わせるような
周りをイライラさせたり、人によっては保護本能を覚えさせるキャラでも
実際は人々が思うほど馬鹿でも愚鈍でもなく、逆にそう思われることを利用して
何もできない自分を装ってるところもあり、心の底から夫を崇拝している
それにしてもあそこまで夫に馬鹿にされてても気づかないものなのか?
Claire Price
(ドラマ版ではこの方の方がヘンリエッタよりなんなら美人さんに思えたので
 性格がアレではってこともあるけど、もう少し平凡なルックスの方が配役的に納得できたかも)

 

エルシー・パターソン ガーダの姉 (ドラマ版では友人)
Teresa Churcher

 

ヴェロニカ・クレイ  映画女優    15年前に捨てられたジョンに未練たっぷりで
臆面もなく奥さんもいる前に姿を現して、誘惑光線発してるところはさすが女優か?
ポワロさんの別荘のお隣ダヴコート荘を借りている
Lysette Anthony
出演作にブライアン・アダムスのミュージック・ビデオが数作品あって専属だったのかしら

 

ガジョン  執事  原作でもぶっ飛んでるルーシー・アンカテルにすご〜く忠実で
使用人一同で奥様をお守りしなければ!・・的な立ち位置
執事やメイドさんがいるから屋敷が火事にならずに過ごせてきたのねってくらい
心ここに在らずの女主人の毎回のやらかしも私がお守りする!って感じの、ザ・執事でした
Edward Fox
「ルイス警部」S7E5,6 新マープル「チムニーズ館の秘密」ケイタラム卿 「刑事フォイル」
弟さんのジェームズ・フォックスさんといい、兄弟で同じようにコンスタントに活躍してらっしゃるってなかなかいないような

 

シモンズ  メイド
Harriet Cobbold

 

グレンジ 警部 地元警察でもポワロさんが居合わせて協力に感謝する警部でした
Tom Georgeson
「ニュー・トリックス」S11E7 「ロウ&オーダー:UK」 「ウィッチャーの事件簿」S1E1
「キケンな女刑事」S2E6 「リンリー警部」 2005年版「ブリーク・ハウス」14エピ 「刑事フォイル」
「SAS」 「カドフェル」等々結構観ていたものが多かった

 

エルキュール・ポワロ 
ロンドンを離れて田舎に別荘(レストヘイヴン荘)を買ったのに、基本田舎は嫌いで
別荘が四角いところだけは満足
やっぱどこへ行こうが殺人事件がついてくるポワロさん
今回はヘンリエッタを素晴らしい女性のように扱ってましたが、ここは納得いかなかった

原作のあらすじは

“田舎の別荘に来ていたエルキュール・ポワロはバグダッドにいた時知り合った
アンカテル夫妻からの昼食の招待を受け、時間通りホロー荘を訪問する
だが迎えに出た執事ガジョンに案内された四阿で、思いがけない光景を目にすることになる

それは休日をホロー荘で過ごしていたクリストウ夫妻の夫ジョンの殺害現場で
彼の傍で銃を手にして虚な表情を浮かべて見下ろしていた妻のガーダの犯行かと思われたが
知らせを受けて駆けつけた地元警察のグレンジ警部に協力して聞き取りを進めるポワロは
ホロー荘に集まった人々の複雑な人間関係と対峙することになり・・“

 

 

 

今回も原作に非常に忠実で文句もなし
ただしロマンス部分に関しては、ミッジとエドワードのパートが省略されてたのが残念
多分ドラマ版はぼんやり記憶にあったけど、原作を読むのはほぼお初(記憶にあるわけないか)
だから、ドラマ版で覚えていたジョンという男がどれだけ優れた医師であろうと
他のことなどどうでもいいという自己中ぶりに腹が立ってたことと
ヘンリエッタの偽善ぶり(知り合いとか友人とか姉妹とかこれ不倫で一番許せないパターンという点で)
心の声とはいえ明らかにガーダを馬鹿にしてるところも嫌な感じ
確かにガーダはそばにいたら嫌われるタイプでしょうが、それにしても
ドラマ版の私とジョンはそんなガーダを守っているのよ的な行動がとても嫌だった記憶が

そんなヘンリエッタさんのことを誠実だというポワロさんに、今回は納得できなかった

確かに周りに愚鈍と思わせて、夫の裏切りを知った途端用意周到に殺害するって
ガーダには基本小狡いところがあるのかもしれないけど
なんか以前ドラマを見た時の感想は、良い印象は持たなかったような

だからほぼドラマ通りの展開でお話が進んでいく中、原作ではラスト近くで思わぬ拾い物
まさかミッジとエドワードのエピで感激するとは思わなかった(やっぱロマンスファンだからか)

 

そしてラストも原作とは違って、ドラマ版では自死を選んだガーダさんでしたが
原作では真相を知る(そらバレるわな)ヘンリエッタを毒殺しようとしてたから驚いた
ヘンリエッタがジョンと関係していたと知ってしまったなら、この展開もありかなと思うけど
単に追い詰められたから殺そうとするとか、こうなると同情もできなくなってしまう

 

ヘンリー卿の爵位は バス勲爵士でした
それにしてもこちらの基準で考えるとアンカテル家はルーシーの実家だから婿養子ってことなのか?

 

今回のお話の中にも、黒人に対する差別用語(料理の名前)が出てきてたけど
こういうのも無くなってしまうのかな


ラストでクリストウ夫妻の息子が大人になって自分のところに来たら
真相を話すとポワロさんが言ってまして、やっぱ傷ついても真実を知ることが大事なのだそうです
でも子供ながら親をじっくり見てるようなところとか、父親のDNAを受け継いでいるのか
頭も良さそうだったから、要らぬお世話ですがやや将来に不安も

なんにしても今回は原作を読んでよかったと言えるお話でした

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