母が末期がんと初めて診断された時、医師は「ステージ4の大腸がんの場合の平均余命(生存期間中央値)は22ヶ月です。」と言った。
これは、単純に言えば、10人中5人目の人が22ヶ月で亡くなると言う事で、この時点での半分の方は亡くなり、残り半分の人は生存していると言う事で、
ただし、母の場合がとちらの半分のグループに属するのかは分からないという事も色々ネットで情報を調べた私は覚悟していた。
決して、母は22ヶ月は大丈夫などと安心していた訳ではない。
それにしても、昨年9月の宣告から約1年弱。少なくとも母の場合、標準的抗がん剤治療といわれるFOLFOX4などが、予後を延長してくれたとはどうしても思えない
抗がん剤治療も人によってよく奏功してくれる人、あまり効かない人がいて、こればかりは医師もやってみないと分からないと言うが、それも仕方ないと思う。
私は、当初、母の術後の体調があまりにも良いので、とりあえず標準的抗がん剤治療で様子を見て、
副作用や体力消耗などがひどかったら、次の一手を考えればよいと考えていた。
でも本当に今更だが、この安堵感が母の余命を大きく削ってしまったのだと後悔してやまない。
母の相当辛抱強いという性格を考慮せず、「副作用そんなに我慢できない程じゃないよ。大丈夫!」と言う言葉だけで判断し
標準的抗がん剤治療を受け続ける事に対して油断しきっていた。
母は、完全に歩けなくなる4,5日前まで車の運転もして、父や弟の仕事の手伝いまでしていた。
2日前、大好きな私の息子達の為に、スーパーに好物のメロンを買いに行っていた。
まさに坂道を転がり落ちるようにと思っていたが、きっと普通の生活を送ることは、もっと前から相当辛かったに違いない。
そこまで、なぜ気がついてあげられなかったのか
あと数ヶ月はやく、標準的抗がん剤治療を即刻辞めさせていれば、今頃U先生の治療に元気に通院していられたかも知れない。
U先生の所に通えれば、今後認可される抗がん剤。アバスチンの少量単独投与、たとえ費用がかさんでも、出来る限りの事をしてあげたいと決意しても、
本人に通院の体力が残されていない今となっては、何の手立てを打ってあげることが出来ないのだ。
過ぎた事を悔いても仕方ないことは充分承知しているけれど、その事については、家族のばかさ加減を何度悔やんでも悔やみきれない
1つだけ言える事、完治が難しく再発予防の為でもない、腹膜播種の母に対しての標準的抗がん剤治療は、余命の延長は逆効果だった。
まだ、間に合う人には、どうか、どうか、私達の様な思いはして欲しくない。早いうちに効果を見極めて、治療路線を決めて欲しいと切に願います