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太陽のあとを追って

拙い詩と、拙い散文。

driven

2006年11月04日 | 行李のなか
私たちの関係は、常に彼が主導していると思っていた。

二人のラブストーリーにおいてさえ、主人公は彼で、私は脇役にすぎなかった。
社会的な地位も名声も手に入れ、服装のセンスもよく、顔立ちの整った彼は、自分を愛し、彼を愛する私を愛した。
私は彼を愛さなければ、愛してもらえなかった。
だから言葉を尽して何とか関心を引こうと、盲目的に服従し、必死でもがいた。

二人の関係を、私主導で断ち切った。
それは二人のラブストーリーにおいて私が主導権を獲得した、最初だった。
自分が主導して、「断絶」という二人の新しい関係をスタートさせた。
これほどの快感があるものか。
私はこの権力を絶対に手放さない。

心を亡くす

2006年11月03日 | 行李のなか
忙しく過ごそうと思った。
忙しく過ごして、私も心を亡くそうと。

思い出を振り返るのはまた早い。
まだ、思い出になれてない。

二人で歩いた街並に面影を見出して、
心の中を冷たい空っ風が通り抜けていく。

もう一度、心を取り戻せる時が来るとしたら、
それはあなたを思い出にできたとき。
あせらないでゆっくり。
今度こそ、本当のお別れ。

衣替え

2006年11月02日 | 行李のなか
ひとつの恋が終わって、悲しみを少し遠くから眺められるようになったら、
愛した人のことを、思い出に変えて行く。

思い出に変えて行く作業は、衣替えをするようなものだと思う。
箪笥の引き出しからもう着なくなった服をひとつひとつ取り出して、
膝の上でのばして見て、再び丁寧に畳んで、行李の中に仕舞う。

思い出は、いつでも、いつまでも美しいもの。
あなたと過ごした素晴らしい日々を、ひとつひとつ一つ一つ丁寧に思い出して、
そうしてわたしは、あなたを思い出に変えて行く。