「おもしろい」って、どういうことよ?

売れていないラノベ作家が「おもしろい」とはどういうことか、
日々悶々としています。

特に理由なき皆殺し期

2016年10月28日 | 日記
「私より人生上手くいってる奴全員死ね―――――――――――!!」
って願ったけど誰も死んでないので、多分全員私より人生上手くいってないんだと思う。

ブッチャキーノンフィクション劇場

2016年10月03日 | 日記
漫画やアニメの実写化の話題が毎月のようにネットを賑わせています。
二次元作品の三次元化には賛否両論ありますが、不安が大きいというファンの皆様も多いように感じられます。
そんな様々な声を耳にしているうち、ふと、その昔、そんな実写化作品の製作者様方が打ち合わせをしている現場に居合わせたことを思い出したので、所々伏せつつも、誇張ナシのノンフィクション思い出話を書いてみたいと思います。


作品の詳細を伏せる為時期については明かせませんが、結構な前、とお考えください。その日、私は仕事帰りに友人と都内のファミレスにおりました。喫煙席の広々としたスペースで、平日の為か客は多くなく、店内はひっそりとしていました。私達はその静かな空間で、あまり周りに声が響かないよう気を付けながら会話を楽しんでいたのですが、隣の席の二人組はそれとは正反対にどんどん話がエキサイトして、声のボリュームが大きくなっており、嫌でも話の内容が耳に入ってくる状態でした。

うるさいな~と思いつつなるべく聞かない様にしていたのですが、ふと、とある有名なコンテンツ名が耳に飛び込み、思わず私達の会話も止まりました。

どうも、実写化するらしい。
それについて揉めているらしい。

しかし、聞き耳など言うまでもなくマナー違反。しかも私はその時、友人から「同性の恋人ができた場合アナルセックスは必須か?」との質問に対して「おっぱいやちんこと違いアヌスは男の子にも女の子にも等しく与えられた神様からのギフト。あの素晴らしい穴を使わないのは人生損している」との持論を熱く語っている最中でしたので隣の会話については聞こえなかったフリを決め込んでおりました。
けれど、隣の男性は熱くなって声が大きくなる一方。いつしか私と友人は話すのを止め、無言でコーヒーを啜っていました。

改めて注意を向けてみると、エキサイトしていると思っていたのは二人の男性のうち片方だけで、その向かいに座る男性は聞き流している模様。
会話の感じから、激昂している方が脚本か監督の方、聞き流している方が制作会社のディレクターかプロデューサーの様でした。
服装も、怒鳴っている方が深夜の中野のドンキに居そうなかりゆしシャツにハーフパンツにサンダル、ハイハイと適当に相槌している方がポロシャツにスラックスにジャケットという、双方いかにもないでたちに思えました。
どうもかりゆしさん(脚本or監督?)は、原作を大事に作品に取り組みたいのに、ポロシャツさん(ディレクターorプロデューサー?)(の会社)が「オトナノ事情」でそれを蔑ろにしている模様? 「?」がついているのはその言い分がかりゆしさんの一方的な言い分であり、ポロさんはへらへらと「まぁ~もう決まっちゃったことなんで~」とか「キャストは動かせませんので~」とか、おおよそ返事になっていない返事しかしておらず、「とりあえず言いたいこと全部言って気が晴れたら帰ってもらおう」感がはたから見てもムンムンだった為、どちらの言い分が正しいかは全く分からないからです。

聞くともなしにかりゆしさんの怒声を聞きながら、私は内心「あー……」と思っていました。昔、原作サイドとしてアニメ作品に携わった際、SHIROBAKOで言うところの「セーラー服とF3」現象をとくと味わった経験があるので、この暖簾に腕押しっぷりには懐かしさともどかしさとデスヨネ感がないまぜになって込み上げていたのです。

さて、もうすっかり自分達の話をすることを放棄してしまった私と友人は、無言のままドリンクを飲み、無言のまま紫煙をくゆらせていました。隣の席のかりゆしさんは、怒りを必死に抑えた震え声で暖簾もといポロさんに訴え掛けています。


とあるキャラが削られることで、作品のテーマが損なわれること。

話が繋がらなくなること。

沢山のファンをガッカリさせてしまうこと。


そのキャラは原作未読の私でさえ知っているほどの有名なキャラで、ファンも多い重要な人物でした。かりゆしさんはしきりに「○○○○の抜けた空白の6ページが」と繰り返していました。「出版社のパーティで△△先生(原作者の大御所漫画家)に宜しくお願いしますって手を握られて言われたんですよ! 僕は先生もファンも裏切れません!」とも。

△△先生とは私のような弱小は面識がありませんが、私の先輩がパーティでお会いしたことがあると聞きました。ちっぽけなプロダクションのディレクターである自分にも温かく接してくださった、優しく寛大な方であったと、先輩はうっとり語っておりました。

さて、ポロさんはといえば相変わらず「はぁ。でも、もう決まったことなんで」を繰り返すばかりで、うんざりした顔には「早くこの人この話題に飽きないかなー」と書いてありました。そのうちおもむろにポロ氏が立ち上がり、携帯電話を手に席を離れました。どうも、上と相談するようです。
ゆったりとした音楽が流れる店内に、私と友人とかりゆしさんが残されました。私と友人は全く無関係なくせに何故か何とも言えないいたたまれなさの中、口数少なくパンケーキをつついていました。かりゆしさんポロ氏の帰りを待ちながら、腕組みをして苛々と貧乏ゆすりをしていました。しかし、待てども待てどもポロが帰って来やしません。

(まさか……)

(アイツ……)

(逃げた……!?)

かりゆしさんと友人(※無関係)と私(※デバガメ)の心がひとつになった瞬間かりゆしさんが勢いよく立ち上がり、ついに彼を探しに行きました。
程なくして二人が揃って帰って来たのですが、その時には既に私達はデザートを食べ終えていましたので、オーダー票を手に席を立った所でした。ですので、彼らの話し合いがその後どうなったのかは分かりません。



そんなこともすっかり忘れた数ヶ月後のある日、朝のワイドショーの芸能ニュースで、件の作品の話題が流れて来ました。

『人気キャラ○○役に、人気俳優●●のキャスティングが決定した』、と。

大人の事情で削除されたはずの○○が無事、実写作品に登場した経緯は分かりません。かりゆしさんが血反吐を吐きながら頑張ったのかもしれませんし、原作サイドから物言いがあったかもしれないし、何かの都合があったかもしれない。しかしそこから更に未来、公開を迎えたその実写化作品は原作ファンの不安を払拭し、むしろ素晴らしいメディア移植作として人気を博したのです。


これが、かりゆしさんの頑張りなのかは分かりません。

彼が誰なのか私達は名前も役職も存じませんし、ひょっとしたらかりゆしさんは作品を降り、別の方が手がけた可能性だってあります。

ただひとつだけ、彼らに、そして、クリエイターの皆様に伝えたいことがあります。



打ち合わせは会議室でしろ。





既に何度も言っておりますが

2016年10月03日 | 日記
クリエイターがやっちゃいけないのはパクリでも他作品disでもなくて、味の無くなったガムを噛み続けることだと思うんだよなぁ。

「死にたい」と思ったので死人先輩に聞いてみた。

2016年05月15日 | 日記
この話は不謹慎かもしれませんし、内容的に身バレ要素を含むので表でしないつもりでしたが、少しずつ気持ちも落ち着いて来たので書いてみたいと思います。身バレについては「お前だったか」と気付いた人たちは私だったのでどうかおくちチャックで。


とある時期、私は毎日のように「死にたい」と口にしていました。口にするのは毎日でしたが、頭に浮かべるのは毎分でした。
立て続けに家族を失い、手術の連続で体も弱り、入退院の繰り返しで貯金がつき、仕事も請けることが出来ず、懇意にしていた人が大変そうだからと手助けをしたつもりが無駄な借金を背負い、かつその人には縁を切られ、まぁなんというかいろいろ重なっていた時期でした。あと変なファン(私のファンではなく別の方のファン)からの迷惑行為を受け、いつでも弁護士事務所に行けるよう仲間内で手分けして物証を集めていたのもこの頃でした。まぁ、死にたかったです。

で、人に相談すると、たまに「生きていればいい事あるよ!」という励ましの言葉を掛ける人が出て来ます。あのですね、私の経験則で言うと「死にたい」と思ったことの無い人ほどこの言葉を使います。生きていたらいい事あった人しかこの言葉は使いません。ですから、私はこの台詞を信用していません。逆に「死にたいと思っていたけど死ななくて良かったぁ!」という人の話なら説得力があります。「生きてて良かった」と「死ななくて良かった」は似ているようで白と黒ほど意味合いが異なります。

そこで、ふと思いました。
「生きてて良かった」と言う人、
「死ななくて良かった」と言う人のほかもう一人、
「死んだら良くなかった」という人の意見も聞いてみたい、と。
議論をする際には賛成派の意見だけでなく、反対派、中立派、様々な意見を聞くべきです。亡くなった方の中にはひょっとしたら「死んで正解だった!」という大肯定派もいるかもしれません。なんにせよ、私は死んだことの無い人にしか意見を聞いてみたことが無かったので、経験者である死人先輩の感想こそ聞いてみたいと思いました。

ちょうど数日後、私は友人と食事をすることになっていたので、彼女に話を聞くことにしました。その人は病院で検死に関わるお仕事をしている人です。
「死体は語る、ってよく言うじゃん。死人先輩たちは、どんなメッセージを伝えて来るの?」
私の質問に彼女は「……私のところに来る方々は、老衰とか病院のベッドの上とかで亡くなった人達では無いから、少し意味合いが違うかもしれないけど……」と前置きをした上で、慎重に言葉を選びながら教えてくれました。


「大抵の人は、『こんなはずじゃなかった』って顔してる」


「『こんなはずじゃなかった』」
「事故でも自死でも、『苦しい』とか『憎い』とかより、『まさか自分が』、みたいな表情が多い」

こんなはずじゃなかった。
なんだかこの言葉は、どう受け止めたらいいのかわからないまま、以後、私の中でとても重い意味を持つようになりました。
誰だって、欲しいものや目指しているもの、大切なものや行きたい場所がきっとあって、でも、叶わないこともたくさんあって。
死はどんな人間も一生に一度必ず体験するもの、避けられないもの。
その最後の瞬間に浮かべた表情、それが。


結局のところ、私はまだ生きています。
死にたいという気持ちはかなり薄れましたが、いつ死んでも特に構わない感じではあります。痛いのと苦しいのと怖いのさえなければホントいつでもいい。怖いのだけはホント嫌。
先輩方の体験を私は活かせていないけれど、けれどやっぱり、時折思い返しては考えます。
多分、これからも考えます。

「いいからデレマス18話を見て来い」

2015年10月09日 | 日記
我が家の近所に、ケーキ屋さんが出来ました。
ちっちゃなちっちゃなお店です。
規模や内装から個人経営であることは想像に易く、うちの妻は改装工事をしているうちから「まだかな、まだかな」とそわそわ待機していました。見事なアーリーアダプターです。

さて某日、ようやく店舗がオープンしました。
カントリー調のとても可愛い店内です。
メニューは少な目でこじんまりとしていましたが、個人経営でいずれも手作りなら、そんなに品数も増やせないでしょう。飲食店でメニューを一品ふやすのがどれほどリスキーか、他人事ながら話には聞いたことがありますから、オープン当初はこんなもんかな?という感じで、さほど気にはなりませんでした。

接客に現れたのは若い女性で、コック服を着ていました。おそらく彼女が店主であり、パティシエールなのでしょう。少し緊張した面持ちなのがとても初々しく、応援したい気持ちになります。

店内には、友人や先輩から贈られたであろう開店祝いの家具や花。
お店を持つって、簡単なことではありません。
ここに来るまでにどれだけの苦難の道があったでしょう。

さて、肝心のケーキですが、先述したとおり品数は少なく、見た目も大変シンプルです。
そして何より、高い
うん、単価がとても高いのです。
不二家のケーキの2/3位のボリュームで、平気で800円くらいする。
シンプルなのに。シンプルなのに!!

まぁそれもこれも個人経営ですから、工場から運び込むより、どうしても原価が高くつくのでしょう。
こんなもんかな、と少し諦めにも似た気持ちで、私は妻と自分の分、ふたつのケーキを買って帰りました。

お土産片手に帰宅すると妻は大変喜び、早速紅茶を淹れてくれました。前々から気になっていたショップでしたから、期待値も高かったのでしょう。「美味しかったら通っちゃうかもね、こんなに近所なんだものね」と食べる前からウキウキです。二人で向かい合ってテーブルにつき、いざフォークをケーキに、

固ぇ。

なんだろ、こう、タルト生地がとにかく固い。
不味くはないんです、添加物のないナチュラル系のケーキがふわふわしてないとか匂いが素朴とかあまり甘くないとかよくある話なのでそこは店主の腕が悪いとも思わないし、不味いと言うほどでもないのです。
ただ、通うほど夢中になる味かと言えば……うーん。
別に普通

「これは麺吉の二の舞かもねぇ」
食べ終わると、妻がぽつりと言いました。
麺吉(仮名)とは、ケーキ屋が開店する前にテナントに入っていたらーめん屋です。美味しいお店だったのですが、この不景気の中、一年と少しで閉じてしまいました。
「そうかもねぇ」
食べ終わった皿を見つめながら、私は答えました。やはり少し小さかったらしく、やや食べ足りません。
「女子校がすぐそばにあるんだから立地はいいはずなのに、なんで活かさないんだろ」
妻の言いたいこともわかります。
ケーキ屋は、私立女子高と目と鼻の先。上手くやれば放課後に彼女らをキャッチ出来る筈です。たとえば100円のシュークリームを帰り道に食べるとか、150円のクッキーを放課後に買って帰るとか、いくつかシーンは想定できます。
けれどそこにあるのは一個800円のケーキ。
食べ歩きも出来なければ、高校生には敷居の高い金額です。
しかも、高校の少し先にはセブンイレブン。
400円も出せばヤマザキのショートケーキ(2個入り)が買えちゃうわけです。ふわっふわでボリューミィなやつが。

「手作りケーキだからヘルシーなのだろうとは思うけど……」
とは言えこの立地で、客層に合った展開とは思えません。しかし、それが店の方向性であり、店主のやりたかったことなら仕方ない。私たちが口を挟むことではありません。

それから数日後。
ポストに、ダイレクトメールが入ってました。住所が書かれていないので、おそらくポスティングされたのでしょう。差出人は、件のケーキ屋。ぺらりとめくると裏面には、可愛らしいショップの前でコック服を着てにっこりほほ笑む店主の姿が。


違ぇ――――――――――――――――――よ。
そうじゃねぇよ!!


長年の夢だった店舗をオープンして舞い上がりもするでしょう、そうでしょうとも。
でも、そうじゃないよ!!
お客にとっては貴女の夢なんて全く興味のない情報です。
いいからケーキの写真載せようよ!!
添加物のないナチュラルでヘルシーな手作りケーキなんでしょう?
その話をしようよ!!
どうしてこのサイズで800円もするのか、デメリットではなくメリットなのだと、コンセプトを納得させようよ!
貴女が嬉しい気持ちはフェイスブックに書き込もうよお友達がいいねするから!!



さて現在、私はとあるプロジェクトに参加させていただいています。
しかし、業績は芳しくありません。
各種媒体に広告を出してはいるものの、いずれも成果が出ていません。
広報について口を挟める立場ではないので黙って見守っておりますが、正直なところ、当然の結果のように思えています。
掲載誌がターゲットとズレている。
告知のタイミングが遅い。
スペックと価格と発売日の話だけで、作品の魅力を伝えていない。
恐らく、というか確実に、広報担当者はこの作品に触れていません。内容を理解していません。もちろん魅力もわかっていません。そんな状態で全くまっさらな人たちに「お客様になってもらおう」なんて無理な話に決まっています。
滅びゆくプロジェクトをぼんやりと眺めながら、私はただ、思うのです。

「いいからデレマス18話を見て来い」