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史緒の気づき

日々得た気づきという宝を失わないために

「男たちの大和」

2006-02-05 01:24:31 | 映画・ドラマ・舞台
会社の人に良い映画だったという話を聞き、久しぶりに映画館に行った。

時代に翻弄された個人の生と死の映画だった。

世界一の戦艦・大和の完成に海軍の男達は喜びを感じ、大和の船員となったことを誇りに思う。15歳で大和に乗り込むことになった新人海兵も同様で、命を惜しまず戦うと叫ぶ。

だが実際にアメリカ軍と交戦すると、仲間や肉親が負傷したり死んだりして、現実を知ることになる。
日本の戦況が不利になり大和が沖縄戦に参戦することが決まり、海兵は母国日本に最後の上陸をする。そこで、親や恋人から「死んではダメ。生きて帰って来て」と懇願される。

生きて故郷に戻りたい気持ちを殺し、愛する人を守るために命を捨てる覚悟をして男達は戦う。そしてある者は命を落とし、ある者は生き延びる。

戦時の状況下では、海軍個人としてはそのような選択しかなかっただろう。国や時代といった個人を超越した力が男達に死ぬ覚悟を迫り、男達もそれを受け入れ自分の気持ちとしたのだろう。ある意味洗脳ともいえる。


今の日本では、命をかけるような選択は迫られない。
だが、勝ち組・負け組に代表される競争社会の中で、時代や国・会社といった個人を超越した力が、個人の生き方・考え方に影響を与えている。

人間である以上、多かれ少なかれその影響から逃れることはできないが、どのような力が働いているかを知ることは必要だ。


大和では、「誰かを守るために命を捨てる者がいるなら、その分生き長らえる者もいなくてはいけない。俺は辱めを受けようとも生きる」「日本の明日を作るためには、失敗が必要だ。薩摩がイギリスに負けて失敗をし、その後ヨーロッパから武器を輸入して倒幕をして明治の世を作った。私達も、明日の日本を作るための糧となるべく、特攻することは本望ではないか」など、時代からの力を受け入れつつも、先を見通した上官水兵がいた。

まさに彼らのように、現状を受け入れながらも長期展望をし将来を考える力は、いつの世にも必要だ。

右にも左にも寄りすぎず、感動的なシーンも多く、考える事の多かった映画だった。

「g@me」

2006-01-15 22:59:01 | 映画・ドラマ・舞台
この間、東野圭吾の原作を読んで面白かったし、
映画の結末は原作とは違うとも聞いていたので、
早速映画「g@me」を見ました。

主人公・佐久間が藤木直人というのはイメージ通りだが、
樹理が仲間由紀恵というのは意外。そもそも原作では
樹理は高校生だったが、映画では大学生になっていた…。

前半のテンポ良い展開は原作通り。
佐久間のマンションは超高層で都心の夜景がすばらしかったし、
樹理のわがままぶりもよく出ていた。
はしょられているところもあったけど、見ごたえがあった。

そして、結末。
原作は腹八分目で終わり、本を置いた後も余韻に浸れたが、
映画は満腹まで作りこまれた感じ。フジテレビらしさが出ていた。
好みの問題だけど、僕は原作の方がよかったな。

「大奥」

2005-12-25 17:40:12 | 映画・ドラマ・舞台
最近、大奥ブームなのかな。

フジテレビの「大奥」シリーズはヨメが好きで、僕もよく見ている。フジのドラマだけかと思ったら、この間テレ東でも「超歴史ミステリー・大奥」と題して、高橋英樹司会の番組をやっていた。

食事をしながら見ていたのだが、これが結構面白い。
特に面白かったエピソードは、春日局と天草四郎との因縁。


春日局が大奥を確固たるものにしたそうだが、そのきっかけが島原の乱とのこと。島原の乱といえば、天草四郎を頭としたキリシタンの反乱だが、幕府は女こどもまで抹殺して乱を沈静した。
キリシタンの反乱とは言え、なぜここまで残忍なことをしたのか。その真相が、天草四郎の出自にあった。

本能寺の変で天下をとった明智光秀は、山崎の合戦で秀吉に敗れる。明智一族であった春日局は、反逆者の親戚として幼少のころから不運な人生を歩む。

時は流れ、大阪夏の陣で徳川が豊臣を破った際、秀頼は自害したと伝えられている。しかし実際には秀頼の遺体を確認した者はいなかった。では、秀頼はというと・・・九州に逃げ落ちた。そして、九州で子をもうける。
なんとその子こそ、天草四郎だ。

春日局にとって、明智を討った豊臣家は憎んでも憎みきれない。その豊臣の末裔が、またもや幕府に反乱をしかけた。
だからこそ、幕府は島原の乱を残虐までに制圧したらしい。
島原の乱が起こったときには将軍・家光は病に伏せており、実際に命令を行ったのは家光の近くの者ということにも裏づけされる。


歴史のウラ側はおもしろいね。
でも、女性は敵にしてはいけないことが、大きな教訓だ。

「ジキル&ハイド」

2005-12-11 22:37:31 | 映画・ドラマ・舞台
昨日、ミュージカル「ジキル&ハイド」を観た。

日生劇場も初めて。劇団四季以外のミュージカルも初めて。

鹿賀丈史は、ジキル博士の時の高めの声とハイド氏の野太い声で、二重人格を見事に表現していた。マルシアは舞台栄えする歌声だ。鈴木蘭々も最近TVで見かけないな~と思っていたら、いい舞台役者になっていた。脇役陣にも不足なし。

大学生の頃原作を読んだが、内容はほとんど忘れていた。たしか、フロイトよりもずっと前の小説で、人間の中に潜む善と悪とをあぶりだした初の作品だったと記憶している。それが、今でも通じるストーリーなのだから、やはり名作だ。

席は前から5番目の席で、やや端側だったが満足だ。ただ、ステレオが近かったせいかマイク音が大きかった。ややもすると、歌声もオーケストラに負けそうだったし。

といいつつも、ミュージカルは楽しいね。また行きたいな。


「火垂るの墓」

2005-11-04 14:16:42 | 映画・ドラマ・舞台
日テレでこの間やっていたドラマ「火垂るの墓」をビデオに取って、昨日見た。

「火垂るの墓」のアニメ版を初めて見たのは、中学校の時。国語の先生が「これは絶対に見ておくべき話だから」と言って、授業の時間を2時間使って見せてくれた。
それ以来、TV放映されているのを何度か見るのだが、その度に涙がにじむ。

日テレのドラマ版は、遠い親戚のおばさん(清太君と節子ちゃんが親を亡くして頼る家のおばさん)が主人公で、松嶋奈々子がやっていた。アニメでは、意地悪な印象しかなかったが、ドラマではおばさんの状況も充分同感できる仕立てだった。

戦争当初は優しかったおばさんも、戦争が激しくなり旦那が戦死して、子ども4人を養っていかなくてはならなくなり、表情が一変する。少なくなった配給では一家がまともには食べれず、自分が嫁入りに持ってきた着物まで売り、必死で食料を確保し、生き抜く。
遠い親戚の子よりも、まずは自分と自分の子どもたち。そのために娘から鬼と言われようと、構わない。

一番印象的なのは、おばさん宅を出て行ってひもじくなり、空襲に紛れて盗みまで働きつつも、日本海軍が米国を倒すと夢見ている清太に対して、おばさんが「清太さん、これが戦争というものなのよ」と現実を突きつける場面だ。

節子もアニメ同様にかわいげな声でいい演技だったし、ホタルの光がわざとらしいことを除けば、良いドラマだった。

「チャーリーとチョコレート工場」

2005-10-15 23:49:48 | 映画・ドラマ・舞台
先週末に「チャーリーとチョコレート工場」を見た。
この映画、「チョコレート工場の秘密」というタイトルで、小学生の頃みた記憶がある。しかも学校で、演劇鑑賞かなんかの時間に学年200人が体育館に集まって見た。もちろん、ジョニー・デップではなかったが。

20年くらい前に見たにも関わらず、「あ、こんなところあった」と憶えているところもあった。中でも、工場で働いている小人や、好きなところに飛んでいけるウォンカベーターは懐かしかった。
でも、「あれ、こんなのあったっけ??」と全然記憶にないところも結構あった。そりゃ、全部は憶えていないさ。

チョコレート工場への招待チケットをチャーリーが手にするまでのドキドキ感は特に面白かった。最後は教訓めいた感じもあったが、見てよかったと思える映画だった。






「パッション」

2005-09-13 23:56:07 | 映画・ドラマ・舞台
この前の週末、メルギブソンが監督をした「パッション」を観た。映画上映されていた時にも観たいと思いつつ見逃してしまい、DVDを借りてきた。

いやー、すごい映画だった。ホント、すごかったとしか言いようがない。

鞭打ちシーンに一番衝撃をうけた。
刑はただの鞭で打たれるのでははなく、碇のような金属をつけ鞭で打たれる。肉がえぐられ、地しぶきが飛ぶすざましさ。まさに目を背けたくなる映像だった。
恥かしながら、イエスが磔の前にも鞭打ちの刑に処せられたことを知らなかった。

十字架を担ぎ街中を歩かされ、ゴルタゴ(?)の丘で磔にされるシーンまで、固唾を飲んで観てしまった。
磔にされてもなお、イエスは「彼ら(磔を執行しているローマ人)は、自分がやっていることが分かっていないのです。父よ、彼らを許したまえ」と、敵のために祈っている。

僕はキリスト教徒ではないが、こんな残虐な目にあっているイエスを途中から応援したくなった。復活で終わったラストシーンには、報われた感じがした。

イエスが奇跡を起こしたかどうかは分からないが、通常の人間をはるかに超越した力を持った人だったのだろう。

一度は見る価値のある映画だと思う。