goo blog サービス終了のお知らせ 

史緒の気づき

日々得た気づきという宝を失わないために

「下流社会」

2006-02-25 21:59:42 | 
読んでみました「下流社会」。

大部分は「中流が減って下流が増えている」「社会が二極化し格差が拡大している」など、あちらこちらで言われていることだった。

▼自分らしさを求めても、下流は幸せでない
生き方や考え方が多様化しているといわれつつも、結局幸せを感じているのは、ある程度裕福な男性と専業主婦と子どものいる家庭か、裕福なDINKSのどちらかだ。

下流は低収入ながらも自分らしさを求めて生きているのだが、実際には自分らしい生活ができず生活満足度は低い。時に瞬間的な盛り上がりでうっぷんを晴らすが、その盛り上がりさえも、サッカーW杯のようにメディアによって管理されたものである。

「勉強しなくても頑張って働かなくても、自分らしく生きれれば幸せになれる」というのは、幻想でしかないということだ。


▼「自分らしさ」って?
「自分らしさ」について、上流・下流の女性それぞれに聞いたら、
上流:人づき合いが上手、明るい、元気な、品がよい、礼儀正しい、てきぱきした
下流:のんびりした、目立たない、地味
と、それぞれ分かれたらしい。

僕は男性だが、
友人・知人と大騒ぎをしている自分も、尊敬する上司や仲良い同僚と仕事をしている自分も、家でぐうらたしている自分も、すべて「自分らしい」と思う。状況によって自分らしさなんて変わるから、「何が一番自分らしいですか?」ということ自体あまり意味をなさないと思う。

それに、「自分らしさ」なんてこだらない方がいいのではないだろうか。
モラトリアム時代だった大学生のときには「自分らしさ」についてもよく考えたが、結局そんなものは分からなかった。あるとすれば、社会生活の中でいろいろな経験をし、結果的に身についてくるものだと思う。


▼今日は下流生活
昨日は楽しく話をしながら、夜中まで飲んでいた。
タクシー帰りだったが、また今後もいろいろ話したいぞ!という気分。
#どうもありがとうね。

で、今日はダメ生活。
昼に起きて、本を読んだりゲームをしたり。ほとんど外に出なかった。

「宿命」

2006-02-06 00:19:34 | 
「ゲームの名は誘拐」に引き続き、僕が読む2つ目の東野圭吾作品。

「ゲーム~」が良い意味で予想を裏切る結末だったので、「宿命」も期待して読んだ。期待を裏切らない展開、そして思いもせぬ結末。

多くの登場人物が出てくるが、最後にその関係が一本の線で繋がる。殺人事件の犯人も予期せぬ人物だ。そしてライバルの二人がまさか…。
社会への問題提起もあり、期待通りの作品だった。

今週末も、いい本読めてよかった。

「ゲームの名は誘拐」

2006-01-07 18:09:36 | 
東野圭吾さんの、「g@me.」のタイトルで映画化されたもされた作品です。

日星自動車副社長に恨みのある主人公が、ひょんなことから副社長令嬢と出会う。彼女は、家庭に複雑な事情があり、家出をしたと言う。
利害が一致した二人は、娘の誘拐を装い、副社長から身代金を奪うことを目論むというストーリー。主人公である犯人の一人称で書かれてる。

誘拐もののミステリーは、犯人が分からなかったり、身代金や人質の受け渡しが最大の見せ場だが、この作品は違った。確かに、WEBやケータイを使った身代金の受け渡しにはあっと言わされたが、それは作品全体の半分しか占めていない。

最後にどんでん返しが待っている…

はじめからスピード感のある作品だったが、最後の1/3は超特急になった感じ。
そして、あのような結末になっているとは、思いもしなかった。というか、どんな結末になっているかが全く予想できずに読み進めていき、読み終わった時には、頭の中に電撃が走った。まんまといっぱい喰わされた。

東野圭吾は初めて読んだが、いっぺんにファンになった。
多くの作品を出している人なので、これからも東野作品をたくさん読みたいと思う。

「理由」

2006-01-05 00:28:51 | 
冬休みに、宮部みゆき「理由」を読んだ。
直木賞を取った作品だ。

某マンションで、殺人事件が起きた。だが、犯人はもちろん、被害者の身元も判らないという幕開けで始まる。
複数の人間のそれぞれの事情が絡み合って起きた事件であり、章ごとに登場人物が変わる。文体も、第三者視点やインタビュアーなどに変化する。なんとなく、村上春樹「ねじまき鳥クロニクル(第3部)」を想起した。

そのため、頭を切り替えながら読まなくてはいけない。途中まで読んでしばらく間を置いてしまい、前の章に立ち戻ることもしばしばあった。

犯人が犯行に及ぶまでの事情や、被害者が殺されなけれはならなかった理由が、そこに至るまでの経緯を追って丁寧に書かれている。特に家族の事情だ。それぞれ、なにかしら問題を抱えた家族。それが悲惨な事件を起こす遠因となった。

動機がちょっと弱いとも感じたが、読み応えは充分だった。文庫で読んだのだが、1頁の余白が少なく文字がぎっしりで、分量もちょうど良かったし。

映画化されているので、そっちも見てみようかな。

「勇気凛々」

2005-11-22 23:24:24 | 
久々に高杉良作品を読んだ。
高杉良は4年前にリーダーから勧められて読み始めた。ビジネス小説として面白く、読み終わったあとには自分も頑張らなくてはと思わせてくれるので好きだ。

今回読んだのは「勇気凛々」。文化放送のトップ営業だった主人公が独立し、自転車の卸問屋の会社を起こし、成長させていく。

主人公に敬服する点は多々あるが、まずは意志の強さが挙げられる。サラリーマンに安住せず、自ら会社を興し、辛くても一度決めた道を歩み続ける。
次に行動力。文化放送時代も自ら会社を興してからも、取引先にすぐに足を運び、断られてもなんども商談を持ちかける粘り強さがある。
さらに人脈。そんな主人公だから元上司や取引先など縁があった目上の人からかわいがられ、キーパーソンを必要な時に紹介してもらえる。

そう、これらは起業家として成功する人の共通点なのだろう。カブドットコム証券社長の斎藤正勝著「本気論」にも、本気になって仕事をしているうちに、キーパーソンにめぐり合えたという話が書かれていた。

僕も頑張らなきゃね。

「動機」

2005-10-10 23:47:43 | 
「半落ち」に続いて、横山秀夫作品を読んだ。

横山作品はどれも、登場人物の生きざまが鮮明に描かれている。
「動機」では、警官を父に持つ主人公のの貝瀬が、父親の病気を期に警察を、聖職というきれいごとから、やりがいのある仕事ながら給料をもらう手段としての職業へと、認識を変えていく。
軍曹とあだ名される規則規律に最も忠実な男・大和田は、子どもにも警官になって欲しいと願いつつも叶わず、新人警官を大切に思う。
それぞれの気持ちがわかるだけに、思い入れがしやすい。

文庫には、この警察手帳噴出事件の「動機」のほか、出来心で人生も家族も失った男の物語「逆転の夏」、新聞記者という男社会で孤軍奮闘する女性記者の話「ネタ元」、裁判中の居眠りが思いもよらぬ展開をしていく判事の「密室の人」の4編が載っていた。
どの作品もぐいぐい物語りに引きずり込まれたが、一番思いもよらない結末になったのは、「逆転の夏」だ。

読んで満足した一冊だった。

「白い巨塔」

2005-10-09 17:05:16 | 
オペラ座の怪人で「1つの作品を違ったアクターや演出で観るのは楽しい」と書いて思い出したのだが、最近はまっていたもう1つの作品がある。

山崎豊子作「白い巨塔」。

去年唐沢寿明・江口洋介でドラマ化されたが、僕はその前に原作を読んでいた。その後、友人から田宮二郎版ドラマのDVDも借りて観たし、田宮版映画もTUTAYAでレンタルした。

原作ではじめてこの作品を知って行ったのだが、1巻では教授選の結果が気がかりで、2・3巻では裁判の成り行きに目を離すことができず、最後まで一気に読んだ覚えがある。

映像化では、田宮二郎がまさに天役だったことは今さら言うまでもないだろう。だた、映画はまだ田宮二郎も若く白黒で演出も古めかしい作りだったので、あまり面白いとは感じなかった。

唐沢版は2クール6ヶ月だったが、ドイツのアウシュビッツ収容所見学が丁寧に描かれていた反面、裁判の展開が早すぎて、原告・被告双方の作戦会議や証人尋問が雑だったのが残念。ただ、財前が病院を抜け出して里見に診断を求めに行った時に残した「無念だ…」というシーンや、意識昏迷状態でのうわ言は、田宮版以上だったと思う。

勝手にキャスト比較というサイトも面白かった。

ちなみに、「B型は凝る時にはすっごく凝るからね。興味ないものには一切関心を示さないけど」と俗に言われることは、僕はぴったり当てはまるかもしれない。

「神様からひと言」

2005-10-04 00:05:03 | 
週末に「神様からのひと言」を読んだ。荻原浩作品は初めてだったが、紀伊国屋の文庫コーナーで平積みになっていたのが目につき、面白そうだったので買った。

ストーリーは、食品会社に転職した主人公が入社早々トラブルを起こし、お客さま相談室という名のリストラ候補部署に異動させれらる。その上プライベートでも、主人公は半年前に彼女に逃げられている。しかし彼は、クレーム対応に奮闘し、最後には会社の裏事情を暴露する、というもの。

仕事がうまくいかなくても、上ばかり見る上司や競艇ばかりやっているダメ同僚に囲まれていても、お客に怒鳴られても、彼はがんばる。自分のため?逃げた彼女のため?

働くというテーマながら重々しい感じではなく、ユーモアな文体だ。
例えば、「『明日からちゃんとしますよ、室長』と、男はシツチョウという言葉を、珍しい名の野鳥の一種かなにかのように言い捨てると…」なんて、気の効いた言い回しだ。
#そういえば、村上春樹もユーモアな表現多かったな...

仕事をやっていると当然いろいろあるが、逆境のときにも凹まないで気持ちを盛り上げることも、1つの大事なチカラだと思う。僕は、気持ちの浮き沈みが結構あるから、もっと修行しなきゃいけないな。

そんなことに気づかされた一冊だった。



「半落ち」

2005-09-27 21:32:43 | 
この間の週末、「半落ち」を読んだ。この間紀伊国屋行った時に、文庫が平積みになっていて思わず買ってしまったのだ。

アルツハイマーで苦しんでいた妻を絞殺した警官が、事件後2日後に出頭する。事件の詳細は全て自白するが、事件後の2日間については決して口を割らない。警察官、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官の目を通して、そのナゾを追っていくというストーリー。少し前に、寺尾聰主演で映画にもなった物語です。

最後にナゾが全てわかった時には、まったく考えつかなかった結末にあ然としたと同時に、その事に少しも気づかなかった自分にちょっと自己嫌悪。話の途中で布石は打たれているし、世の中的にも関心を高めるべきことなのに。

そしてこの小説がいいのは、人間の尊厳死や警察と検察の癒着、警察とマスコミの馴れ合いなど、社会問題もところどころ散りばめられているところだ。

横山秀夫の小説は初めて読んだが、ファンになりそう。