Co-BusinessMate

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3秒の壁って何だ?(攻略編 その1)

2024年08月23日 20時30分17秒 | あえて誰も言わない雑記
3秒の壁とは「販売」に至るための入口です。
スタートラインと言っても良いでしょう。
商材の「存在」を欲する人に気づかせる。たったそれだけの事が近年では難関なのです。だからこそ壁と呼ばれるのでしょう。ともあれ、この壁は必ず突破する必要があります。でなければ売るためのスタートラインにすら立てませんからね。
そこで3回に分け、その攻略を考えてみたいと思います。壁の突破とは単純な話、お客様の「注目を得る」という事です。
 
◀お客様に気づいてもらう。その壁は高い

【“必要”を繋げる】
単純な話、存在に気づかせるなら「目立たせれば良い!」と思うでしょうか?
間違いではありませんし、そうした意図の広告や展示、パッケージを目にする機会も多いように思います。問題はその目立たせ方です。
言うまでもなく「悪目立ち」でも良い!とする手法はお勧めしません。炎上マーケを含め “危機感を煽る” “大げさに効果を謳う” “商材と無関係の話題で釣る” など故意に誤解や意識の隙を狙うような手法は、別機会として今回は除外します。
期間限定の売り抜けではなく、中長期的に成果を上げ続ける事を目指す正攻法での攻略を考えてみましょう。
 
◀ネットには気になる情報が…?

まずは前提として「壁」を超え、商材に気づかせたところで、それで売れる!とはなりません。
「店舗データって何?」(解析編)の「購入システム」の考え通り、最初の判定(壁)を越えた後にも、さらに2つの判定に当選し、最終的に購入の検討に辿り着かねばなりません。そこでそのために“必要な要件”を「購入」から逆算して考えます。



購入には → 「十分な購入動機」が必要
購入の検討には → 「十分な必要性や好感」が必要
必要性や好感を得るには → 「十分な興味」が必要
興味を得るには → 「求める人に向けた訴求」が必要
求める人に向けた訴求 → 「注目」の可能性が生まれる
つまり、お客様の「注目を得る」には、単に目立たせるという事ではなく、その商材を必要とする、あるいは好むであろう人に向けた訴えかけが必要になるわけです。

【商材を求める人とは?】
今、自社の商材を欲しがる(求める)、その可能性があると思われる人に向け、訴求を考えましょう。けれども、いったい具体的には何をどうすれば良いのでしょうか?
当然、商材や販売フェーズ、事業環境により異なりますが、いずれにしろ共通した「考えるべき条件」と呼べるものが3つあります。

1. それを欲する人
2. 隣に並ぶ商材
3. その時点での既視性

まずは「それを欲しがる(求める)人」をきちんと想定
 ◀誰が何故欲しい?
これはいわゆるターゲット層の設定とは違います。
ちなみに事業者さんにターゲットを尋ねると「30~40代の女性」「海外の富裕層」といった答えが多く返ってきます。ただ、こうした答えは単なる希望販売先であって、現状に整合しない場合が多いように思えますし、訴求相手と定めるには範囲が広過ぎます。
「誰が?」だけではなく、その人は「何故」それを求めるのか?をセットで考えましょう。

例として、仮に知育玩具を考えます。
 
◀親以外の購入者カテゴリーとは?
◆ 知育玩具を欲しがる(求める)人とは主に「誰」でしょう?
 ・子育て中の両親 (30~40代)
 ・孫のいる祖父母 (50~70代)
 ・子育て中の知人や友人がいる人 (30~60代)
◆ その人は何処にいる?
つまり「何処」で「いつ」購入するか?要は購入の機会と方法(場所)の想定です。
子どもと一緒か?別なのか?により、主な購入機会は変わります。
 ・誕生日、記念日
 ・子供が来た時
 ・子供を訪ねる時
 ・子供と売場に行く時
都市部か地方(遠隔地)かにより、主な購入方法(場所)も変わります。
 ・大型商業施設
 ・オンラインショップ
 ・専門店
◆ その人はどんな価値観を持ち、どのように暮らしている?
商材の特徴、仕様、価格との親和性になります。主に「何」を重視し「どのように」購入判断を下すのかを想定します。
 ・安全
 ・素材
 ・知育実効性
 ・既存の評価
 ・メーカー、ブランド(または生産国)
重視する価値観と経済事情の兼ね合いを想定します。
 ・余裕あり
 ・多少の余裕あり
 ・余裕なし

これらの想定から商材を欲しがる(求める)人を考えます。
商材例:1)
樹脂製のカラフルなブロックで価格帯が数千円なら…

子育て中の両親かもしれません。
子育て世代は経済的な余裕がありません。
安全性を重視するでしょう。
素材も重視されそうですが、子供が興味を示さなければ買いません。
売場は大型の商業施設か、オンラインになるでしょう。
購入の機会は特別なイベント事がなくても買ってもらえそうで、頻度も望めそうです。

商材例:2)
木製の海外ブランドで価格帯が2万円以上なら…

両親の希望を受けた祖父母か、経済的余裕のある両親かもしれません。
自然派志向で、ブランドやメーカーは重視するでしょう。
インテリア性も重視され、子供は少しの興味さえ示せば購入するかもしれません。
売場はセレクト系の専門店か、オンラインになるでしょう。
購入の機会は節目となるイベントや、特別な機会でそれほどの頻度は期待できないでしょう。

一口に、知育玩具と言っても想定が少し異なれば、それを欲しがる(求める)人も異なります。人が違えば優先すべき「言い方」「見せ方」「置き方」と「場所」が変わってきます。
ただ人通りが多いという理由だけで、ビジネス動線となる場所にPopUpストアを出店し、高額な知育玩具を置いたとして、皆さんには行き交う人達の足が止まる場面が想像できるでしょうか?
今、それでも足を止めようとすれば、どんな訴求が必要になりますか?
必然、そこに在る人と、その人達が求め、好むものが何か?を想像する必要があります。

壁の攻略編その1では「商材を求める人」について考えてみました。
商材のコンセプトや訴求すべき対象者が見えない商材をただ売場に並べても、ほとんどの場合、消費者の目には止まらないと思われます。

次回、壁の攻略編その2では「隣に並ぶ商材」について考えます。