Co-BusinessMate

作り手、買い手、売り手、送り手、伝え手さんを一綴りに考える。
ビジネス情報共有ブログです。

2024年度「ふくしまBM」は終了しました

2025年03月31日 20時14分24秒 | ふくしまBM
 2024年度の「ふくしまBM」事業は終了しました。
参加企業の皆様、ならびに販路関係者の皆様、サポート関連企業の皆様、その他、ご協力いただきました全ての企業様の今後のご発展、躍進をお祈りいたします。
ありがとうございました。

 
ふくしまBM運営員会
 

リテラシーを鍛えれば、毎日まぐろ缶をもらえるのか?

2025年03月17日 08時00分00秒 | 猫の額で考えるマーケ
ごぶさたしています。営業部長のカカオです。早いもので3月も半分すぎましたが、まださむい日があったりポカポカな日もあったりで、たいちょうかんりがむずかしいですね。
みなさんはお元気ですか? ・・・ボクはそうでもありません。じつはさいきん、あることで悩んでいるのです。
それは、社長とぜんぜん通じあえニャい・・・という悩みです。
もうなん年もいっしょにいるのに、いっこうに通じニャくて・・・ほとほと困っているのです。
たとえば、こんニャかんじです。

<通じない・その1>
社長:カカオ部長、お取引先から国産牛の特別フードをいただいたよ~「カカオ部長にどうぞ」って!うれしいね~
・・・あれ、なんで食べないの!?
そうか・・・カカオは臆病だから、初めて見るものを食べる勇気がないんだね。国産牛はご馳走なのに、有り難みがわかってないな~

カカオ部長:しゃ、社長・・・わかってニャいのは社長のほうです。ボクはたいしつ的に「四つあし」がだめニャんです。ウシもブタもウマも、たべたら体がきょひはんのうを示します。
ボクがたべられるのは、おさかな。まぐろの缶づめをおねがいします。

社長:食わず嫌いはいけないよ。ワガママだね~



<通じない・その2>
社長:カカオ部長、PR用にプロフ写真を撮影するよ!はい、カメラを見て~こっち、こっち~
・・・あれ、なんで隠れちゃうの!?
そうか・・・カカオは人前に出るのが苦手なんだね~恥ずかしがらないでよ~

カカオ部長:しゃ、社長・・・ボクははずかしがってるわけじゃニャいです。
カメラがこわいんです。レンズを向けられると、まるでねらわれてるみたいで~
ねらわれる小動物のきもち、わかって下さいよ~

社長:ダメだな~世間ではたくさんの猫たちが動画で大活躍してるじゃないの。カカオが引っ込み思案なのは我が社にとって不利だよ。

・・・てなかんじで社長は、ぜんぶボクの性格のせいにします。
「カカオ部長は臆病で、コミュ障で、人が嫌い」って、ニャンでもそれでかたづけようとします。
ボクは猫で、しゅぞくとしての弱点があるのに、そこは見ようとしてくれません。
そううったえると 「カカオ部長だって、私のことちゃんと見てないじゃん!」 と社長はキレます。
あ~コミュニケーションはむずかしい。



社長: こういうのを “リテラシーが取れない” って言うのよ。

カカオ部長: り、りてらしー?

社長:そう。お互いの背景や事情を共有できないと、意図が通じず齟齬が生まれて、その結果めざすものを達成できない。
人間関係でもビジネスでも、リテラシーってとても重要なのよ。
たとえば私たちの仕事でいうと、市場(消費者)とリテラシーが取れなければモノは売れない、ってことになる。

カカオ部長: ことばが通じニャいってことですか?

社長: 意図や文脈が汲み取れない、ってことかな。お互いの立脚点が違ったり、コミュニケーションの前提が共有できていないと、噛み合わずすれ違う。
たとえば、ジェンダーの権利平等について話しているのに「女性役員の割合を何パーセントにすべきか?」という議論になってしまったり。
システムに問題があるという認識を共有して解決に臨むべきなのに、誰が責任をとるか?という話に終始したり。

カカオ部長: リテラシーって、がんばれば身につけられるんですか? べんきょうするとか、きたえるとか?

社長:う~ん・・・たぶん勉強してもダメかな~。大切なのは、高い視点をもって状況を俯瞰することかな。
自分の都合だけで物事を見るのではなくて、相手の事情や背景を想像して理解しようとすること。
そうしなければ、ずっとすれ違ったままで問題を解決できず、求めるものを得られないよね。

カカオ部長:じゃあ社長も、ボクのじじょうをりかいしてください。ボクはまいにちまぐろの缶づめをたべたいのに、月に一度しかたべられニャい。
月に一度だニャんて、システムにもんだいがあります!

社長:・・・つ、通じない


理外の理(後編)検証

2025年03月14日 17時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
前稿の検証(答え合わせ)です。

【解法の検証】
解法その1:差別化 → 下策です。
最初の試行として実際に、1,000円メニューの内容が見直されました。試行錯誤の結果、しかし売上比率は変わりませんでした。
しかも食材見直しによるコスト増で、目的とは逆の結果になりました。売価を据え置いての差別化では、劇的な内容の向上など望めるはずありません。許容できる原価や労力(調理の手間)増が僅かになるのは当然です。
前稿の状況1)~3)を踏まえれば、コスパを優先する8割のお客様に対して、メニューのアップグレードで価格妥当性を満たすという発想には無理があったようです。

この解法は、見込める集客数が限定された環境下では逆効果になります。初見が多く見込めたり、購買層が多彩だったり、集客増が期待できるならば効果的な解法だったでしょう。
下策評価の主要因は販売環境を考えず、単純に前例に則った方法を採用したためです。お客様と店舗環境をきちんと考慮していれば、この結果は予測可能だったはずです。つまりコスト増を販売数でカバーできない状況では、試すべきではなかったのです。

解法その2:提供数の調整 → 愚策です。
地元に根差した店にとって、顧客の失望が予想される方法は使えません。最悪、既存顧客を失い、店の信用を損なう可能性があります。当然ですが、この方法は試されませんでした。
この解法の前提条件は「人気商材」です。商品力が高い場合には、きわめて効果的な解法となります。過去に様々な分野で頻繁に用いられ、大きく売上を伸ばした商品も多くありました。売り手優位の絶対的ニーズが見込める際には「上策」となります。ただし制限理由をセットにして市場の納得を得る必要があります。でないと最終的には企業の信用を下げる結果になります。
それと自己評価を高く見積もる企業さんは、ちょっと意外なほど多く、失敗例も多い!という印象を私は持っています。この解法を採用する際には、自分にとって都合の悪い情報も収集して冷静に分析するなど、客観性のある判断力が必須となります。他者の成功事例を見て拙速に模倣するなど論外です。

解法その3:PR → 中策です。
PR効果と思われる一定の売上増がありました。ただそれは、大きなものではなく「たまには1,000円のお弁当も買ってみよう」という顧客の反応を引き出せたというレベルです。
それでも一時的なコスト投下で、一定期間の売上増を実現できるなら、比較的良い方法と言えるかもしれません。もちろんPRコストと売上のバランスは、慎重に見極める必要があります。その対費用効果は、販売環境をどう加味(誰に、何を、何処で、どう伝える?)するかで大きく変化します。ただPRさえすればいつでも同様の売上が上がるという訳ではありません。
よくありがちな、売り側の言い分を一方的に、あれもこれもと並べ立てたPRでは、宣伝効果も薄いものになるでしょう。お客様が最も喜ぶ情報とは?を考え、優先順位をつけ「一番言いたい!」を一つに絞ります。
一見、客層が定まって見える場合でも、プロモーション(≠PRです。きちんと区別する)の一環としてPRをプランするなら、継続的な収益の向上も可能だと考えます。
いつか誰かが話題にしてくれるのを期待するより、自発的な情報発信の有効性は高いと言えますし、今後は(すでに)必須であると思います。


【最も効果的だった解法とは?】
1,500円メニューの新設
最も効果的だった解法がこれでした。700円と1,000円メニューに加え、高額メニューを1つ追加すると、一気に1,000円メニューの注文比率が増えたのです。これはある種の心理誘導(1:選択肢の中間を選ぶ 2:他人に安いものを選ぶ人と思われたくない)と言えますが、そこに悪意や詐称はありませんし、食事満足度を優先する2割の顧客にとっては魅力的な選択肢が増えたとも言えます。
そしてこの解法の脆弱性とは、継続的な売上向上には繋がらないという事です。一度利益を上げても、次の利益増に繋げるための発想が含まれてはいません。
つまり2度目はない解法です。(次々メニューを追加など論外)

【セオリーでは勝てない?】
過去の有効解法(具体的な方法)が、そのまま他でも役立つとは限りません。ヒット案件を生んだ解決法を、別案件にそのまま当てはめても効果は望めないのです。
・中古家具の市場で最も売りづらいベッドを、売れるようにした方法
・木製の小さじを一躍ヒット商品にした方法
・ディスカウントストアで弁当事業を成功させた売り方
先の「お弁当屋さん」の件も含め、従来型の発想で解決できない案件を成功に導く「新しいアイデア」こそが「理外の理」です。そうした中から、その後の新たなセオリーも生まれてきました。

セオリーを単純な「方法」として扱えば、今後の市場で勝ち抜くのは困難かもしれません。有体に言えば無理だと思います。ではセオリーなど必要ない。それでよいですか?
実際、そう言い切る人も多くいます。ただ個人的には、それは誤りであると思います。逆に多くのセオリーを知る者ほど勝者になりうると、そう考えています。
例えば格闘技や囲碁など勝負ごとの世界で、いっさい定石を用いず、独力で勝ち続ける事などはとても現実的とは思えません。それはビジネスの世界も同様です。
消費者の購買心理、売場の環境、市場における価値観の推移などを知り、学び、そして考えるという姿勢はビジネスの基本セオリーです。そしてセオリーとは技術や方法の駆使ではなく、ある一つの「考え方」です。負けないための経験則(解法の蓄積)であって必勝法ではありません。
そこで勝つための新しいアイデア、それこそが「理外の理」です。
それは単なる思いつきではダメです。情報から導き出された必然の解法であるべきです。もちろん成功の保証やエビデンスはありません。あるのは情報に裏付けされた確証のみです。


【どうすればいいですか?】
セミナーやミーティングの席上、参加者からこのセリフを聞かない事はありません。誰もが現状からの好転、向上を可能とする単純な「方法」を求めます。
これからは「動画です」「ECです」「インスタです」「コラボです」「TikTokです」「インバウンドです」「インフルエンサーです」「ショート動画です」・・・解答となる手法、方法を期待します。しかしそこには「何をどうしたいのか?」の考えはなく、また「何処を目指し、どうなりたいのか?の目的もありません。
私たちはこれらの単なる方法を「舞台装置」と呼びます。しかし、観客を無視して使えば必ずウケる!などという魔法の舞台装置はこの世に存在しません。著名なビジネス書を読み、有力インフルエンサーに成功法を学んでも成功しないように、誰もが入手可能な「方法」で現状を打開する事は叶わないのではないでしょうか?

さて「どうすればいいですか?」の答えは「その質問を止めましょう」です。
嫌味ではありませんよ?
質問を変えてみましょう。
「私はと考えます。どう思いますか?」
~の部分を、きちんと、そして具体的に述べるようにします。
たったそれだけの事を続けます。
おそらく厳しい事を言い返されたり、否定されたりするでしょうね。
けれども、ある時きっと、
自分だけの「理外の理」を見出せるはずです。


これにて「あえては誰も言わない雑記」は終了です。
ありがとうございました。


理外の理(前編)解法

2025年03月10日 18時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
理外の理とは?
別に超常的な力の話ではありません。
きわめて常識的、普通、多くの場合、そんな発想の外側にある仕組みや試みを指す言葉・・・この投稿で言う「理外の理」とは、そうした類の「意外な発想」だと思って下さい。
ある意味においては前投稿のバイアスマーケティング(心理誘導)も「理外の理」かもしれませんね。
さて今回はビジネス上の課題を一つ、皆さんに提示したいと思います。もしも皆さんが当事者(経営者)なら、どう解決しますか?

【あるお弁当屋さんの場合】
とある地域のお弁当屋さん(注文制)には、700円と1,000円のお弁当メニューがあります。
近隣に飲食店やコンビニは無く、お弁当を購入するお客さんの数(層)はほぼ決まっています。つまり、お弁当屋さんが売上を伸ばすには、1,000円メニューの注文割合を増やす必要がある訳ですが、現状は700円メニューの注文がおよそ8割です。
さて皆さんならどのように1,000円メニューの注文を増やしますか?
これは実際の事案が元ネタで、課題解決のためのいくつかの試行があり、効果的だった解法も分かっています。なので、ひょっとするとご存じの方がいるかもしれませんね。
ただ今回は、過去の解法を鵜吞みにするのではなく、ぜひ改めて自分なりのソリューションを考えてみて下さい。そうする事で「知っている」「解っている」と思っていた知識の脆弱性や改善点などが新たに見出され、現行市場において、より有効的な解法を導けるかもしれません。
以下に、私も3つの解法を提案してみました。その答え合わせは後ほど。

【いくつかのセオリー】
解法その1: 差別化
多くの人が、まず真っ先に思いつく解決策はこれではないでしょうか?
1,000円メニューの内容を見直し、より魅力的にすれば、当然1,000円メニューのお弁当を買う人が増えるはず!
ですよね?

解法その2: 提供数の調整
次いで、考えられるのは提供数の制限です。
全体の販売総数がほぼ決まっているので、700円メニューの提供数を制限すれば、当然、1,000円メニューの売上は上がる!
はずですよね?

解法その3: PR
3つ目として1,000円メニューのお弁当のPRをする、というのはどうでしょう?
惣菜の魅力だったり、健康面への配慮だったり、調理のこだわりなどをポスターやPOPで来店者にアピールすれば1,000円のお弁当の注文が増えるはず!
と、そう思いませんか?

以上3つの解法は、おそらく他に多くの人が発想する、いわばセオリーというべきものです。つまり過去に実践があり、一定程度の実績が上がった策という事です。
では皆さんの提案はどのようなものですか?

【検証してみる】
解法の検証に移る前に、今一度、状況を整理してみましょう。
1)お弁当屋を必要とする人(ターゲット)とは?
最初に思いつくのは、その地域で仕事をする人でしょうか?
あるいは地元の自炊しない(出来ない)人。
または一人暮しでお弁当を買う方が安上がりと考える人かもしれません。
それらは売上実績や日々の接客から推測できるはずです。
もしPOSデータ(定量データ)が使えるなら販売時間や、曜日、天候、年齢などから販売環境の想定が可能ですし、接客による(定性データ)想定の裏付けも可能でしょう。
いずれにしろ700円メニューお弁当が売れ筋という時点で、日常的な消費活動である可能性が高い、という推測は容易に立てられますね。
つまりお客様は、普段の食事としてお弁当を選んでいるのです。

2)競合は?
近隣に飲食店やコンビニはなく、直接的な競合店はありません。
ただし過去投稿でも言及したとおり、競合は何もその場に隣接するとは限りません。
ターゲット層を考えれば、域外で購入したり、自前のお弁当を用意するなど、現地購入以外の選択肢も複数存在するはずです。普通に考えても地域で働く100%の人間が、そのお弁当屋さんを利用している訳などなく、当然ですが別の選択肢(競合)は存在します。
販売数に変化が無いのは、ただお弁当屋さんの利用割合がほぼ一定で、増えもしなければ減りもしないというだけの話です。

3)購買動機(消費者メリット)は?
注文の8割が700円メニューのお弁当なので、嗜好より経済が優先されているという実情が窺えます。当然、価格は無関係に嗜好選択されている可能性はあります。しかし1,000円メニューは良い食材だったり多彩だったりする訳で、価格抜きの嗜好選択が多いなら、もう少し売れていて良いはずです。しかし実情は8割が700円メニューを選択しているので、純粋に味覚的な嗜好で700円メニューを選択する人は少数であると推察できます。
つまり現状で予想しうる購買動機は、以下の2つだと考えます。
A: コスパが良い(手頃な価格) → 「価格妥当性優先」 → 8割
B: 食べたいから(美味しい!) → 「食事満足度優先」 → 2割

んん?
改めて状況を整理していて気づいてしまいました!
どうも私はいろいろと抜けたままで、ただセオリーだから!という理由で拙速に3つの解法を提出してしまったようです。
いやぁ、失敗、失敗。
・・・少しわざとらしかったですね、すみません。

セオリー、定石とは、別に具体的なアクション(行動)のみを指す言葉ではありません。
経験に基づいた(広く共通する)「考え方」(理論)なのです。
そして今までも「あえて誰も言わない雑記」の中で、繰り返した定石は具体的な方法論などではありませんでした。
・相手を想像する
・周りを慎重に観察する
・自分に提供できるものを考える
・次を想定する
皆さんはぜひ、これらをWEB上、何処にでもある単なる概念とは思わないで下さい。
私はこれらのセオリーを無視し、単なる「方法」を事案の解法に当ててしまいました。「考える」事を怠り、ただ形式的に方法論を重用したのです。
いったいどんな結果になってしまうのでしょうか?
実に不安です。

思っていたより長くなりましたので、今回はここまでとして、解法の検証は後編とさせてく下さい。
いずれにしろ私の提案は厳しい評価になります。
次回、「理外の理(後編)」が最終回です。


禁断のバイアスマーケティング

2025年01月31日 13時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
表題のバイアスとは「思い込み」を意味しています。
人は誰もが様々な思い込み持って、日々を過ごしています。何の思い込みもない人などいないはずです。
そう言われて、確かに自分は少し思い込みの激しい部分がある、または人に誤りを指摘され、ハッとなる事がある。そう思った人はバイアスコントロールが効いている状況にあり、偏りの修正機会と環境を持っていると言えます。仮に思い込みによる判断ミスがあっても、リカバリーできる可能性も高いでしょう。
逆に、自分の判断は客観的な事実であって、問題となる思い込みはない。
そう思ってしまった人は要注意です。思い込みによる判断の訂正環境を喪失しているか、そもそも誤認(リスク)自体に気づけない(認められない)状況に陥っているかもしれませんよ?


【思い込みはビジネス利用できる?】
大前提として、人には必ず何らかの「共通する認識や価値の偏り」があります。
ならばそれを利用してビジネス上のメリットを得よう!という発想は、しごく当然と言えそうです。
しかも地道に時間をかけて市場との信頼関係を築かずとも、バイアスを駆使して心理誘導すれば、短時間で確実なメリットを得られる!ならば…
今すぐ試したい!と、そう思ってもしかたがありません。
では先ず、バイアスマーケティングを実践する側ではなく、誘導される側、つまり消費者側として考えてみたいと思います。その方が諸々の理解が早いように思います。

【便利か?不快か?】
プロモーションやPRの主戦場が旧態メディア(放送・紙)からネットに移行して久しく、現在、WEB上にはそれこそありとあらゆるバイアスマーケティングが展開されている。そう言ってしまっても差し支えないでしょう。
AIも実用段階に入り、バイアスを利用した心理誘導は日進月歩で進化し続けています。
そしてその有用性の高さから、もはやビジネスの世界に留まらず政治や軍事においても利活用が進んでいます。皆さんも国内の選挙戦や、海外の紛争にWEBが大きな役割を担っているという報道を見聞きする機会が増えたのではないでしょうか?
お話を物やサービスを売り買いするビジネスの世界に戻しましょう。
現状、消費行動に関連する情報の流れについての受け止め方は、人により様々だと思われます。労せず、次々に提供される関連情報、買い替え時期を予測したリマインド情報、嗜好予測によるお勧め情報などなど。これらを快適!便利!と思っている人もいるでしょうが、一方で、油断ならない!と思う人、危険!あるいは不快!と感じる人も少なくないように思います。
そして、何ら意識する事なく、誘導にも頓着することなく、ただそういうものとして受け入れる。ひょっとすると最大多数を占めるは、こうした人達なのかもしれません。
少なくとも誘導側、すなわちバイアスマーケティングを仕掛ける側が目指すべき理想形は、これのはずです。
 
この辺で具体的なバイアスマーケティングの例を挙げたいと思うのですが、先の投稿通り、一口にバイアスといっても様々な種類があって、しかも通常、複数の効果を絡めて行使しますので、今回は、比較的よく遭遇する例について見てみたいと思います。

【何が問題か?】
あるWEBページを閲覧した際に表示された広告が、全く別の機会、別のWEBページにも表示される。おそらく皆さんもそういった状況を多く経験されているのではないでしょうか?
様々な機会に同じものに遭遇すると「よく見かける商品(サービス)だな」と思うでしょう。
これはリターゲティング広告と言われる手法で、GoogleやFacebookなど、多くのWEB媒体に実装されています。ただ手法の呼び方は媒体ごとに異なり、過去Googleでは「リマーケティング広告」だったのが現在は「データセグメント」と変更されたようです。
要はサイトを訪れた人のブラウザにCookieを付与、追跡して繰り返し表示させる事で「よく見かける商品(サービス)」となる訳です。
では「よく見る広告」と思わせる事に、いったいどんなメリットがあるのでしょう?
ざっと以下のようなバイアス行使(思い込ませる)が期待できます。

1. よく見かける →
 人気がある。一般に広く知られているなら信用できる。
2. 単純接触効果 →
接触機会(時間)が多い(長い)と親近感や好印象を与える(避けがたい事象の不快を軽減する心理作用)
3. バーダー・マインホフ現象を引き出せる →
繰り返しの強い印象(深層に対して)により、無意識に関連情報を探してしまう(今まで気にならなかった事柄が頻繁に目につく)
4. プライミング効果 →
何度も目にして無意識下に定着した商品(サービス)は、全くの別機会(例えばリアルな売場)で邂逅すると馴染みのある印象を受ける

この例を、情報を選択する側としての皆さんはどう感じますか?
あくまでも「自分の意志で選択した」のであり、何者かにコントロールされたわけではない!
もしも、こうしたコメントを引き出せたなら、そのバイアスマーケティングは成功です。
さてこの結論に、もしかすると皆さんの中には何かを連想した方がいるのではないでしょう?

定番化?】
バイアスマーケティング自体は別に目新しい手法ではありません。TVや雑誌などでは、かなり以前から使われていて、なかば様式化、お馴染み化して、現在も使われ続けているようです。
続きはCMの後、続きはWEBで、的な手法は「お馴染みの」と言ってよいでしょう。
これは中断した情報は、強く興味を惹きつけ「続きが見たい!」という欲求を引き出すツァイガルニク効果と呼ばれる認知バイアスを視聴者に期待しての事です。
フリップの文字情報を目隠しシールで隠すという演出も、同種の効果で視聴者の興味を繋ぎとめる!という理由からでしょう。
また通販番組で「今から30分以内の注文で半額!」と繰り返し、時々「30分を過ぎると割引はありません」と情報提示の仕方を変えます。これはフレーミング効果により、同じ情報の言い方(掲出方法=フレーム)を変える事で「今すぐ決めないと損」という意思決定を視聴者から引き出す狙いがあります。
ただバイアスの効果が薄くなると、手法をどんどんエスカレートさせるという事を繰り返し、その結果、かえって視聴者離れを誘発しているのでは?と、勝手にそんな個人的危惧を抱いている次第だったりします。

【必須な事とは?】
リターゲティング広告も、繰り返し表示によるストレスが嫌悪を引き起こし、かえって消費者に悪印象を与える可能性があります。実のところ、バイアスの利用はもろ刃の剣で有利な効果を期待できる反面、同時に悪い結果を招く可能性も生まれます。
広告出稿を望む側としては、そのリスク部分を説明し過ぎてシステムが売れないと困ります。また出稿側も自分に有利な点にしか目を向けない(確証バイアス)ので、結論としてリスクは無視されるケースが、非常に多いように思います。バイアスをかける対象(お客様)をきちんと想定する事無く、ただひたすら同じ方法論を駆使し続け、もっと多くの成果を欲して手法を単純にエスカレートさせていけば、しだいに低迷し、いずれ破綻を迎える事になるかもしれません。残念なことに、国内では旧態メディアに限らず、一部の大手でさえ自分都合のバイアスマーケティングを続けています。

有効性の高いバイアスマーケティングの実践には、対象者の深い理解が必須です。より具体的に相手を想定して、バイアスの実践方法も常に修正アップデートし続ける必要があるのです。
そう言った意味で、現状、常に成果を出し続けているのは、人を騙すプロ集団であるようにも見えます。企業は対象者と環境を見ずに方法論だけを重用し、悪意ある者は真摯に相手と環境を見極め、駆使すべき方法を吟味し続けている。
もし本当にそうであるなら、それは非常に悲しい現実だと思います。
極論すれば心理誘導とは、表向きは本人の意思であるように見せかける選択の強制法です。
つまり「バイアスの利活用」と「公平性の維持」は天秤の関係性なのです。
得られる利益の大きさを欲し、公平性を軽くすれば、それはもはやビジネスと呼べないのではないでしょうか?
程度の差はあれ、利益を得るには相手にも利益を与えるべきです。
別にバイアスのビジネス利用を否定している訳ではありません。現に私たち自身、大いに活用しています。
結論、バイアスマーケの是非は、お客様の利益がその行使目的に含まれているか?で決まると思っています。心理誘導の先にあるものが販売者の利益のみではなく、顧客の満足や利益に繋がっている事が必須ではないでしょうか。

さて「あえては誰も言わない雑記」も、次回で一旦終了です。
今までは、ほぼ定石と言うか、ビジネスやマーケティングの常識について改めて考えました。そこで最後は「定石外し」について考えてみようかと思います。
「定石だけでは勝てない」と言ったセリフは、皆さんも聞いた事があると思います。
すなわち、次回「理外の理」です。