コングレガシオン・ド・ノートルダムの花畑

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CNDエッセイ15   自分の内にお入りなさい

2015年06月02日 | 日記

 好きな聖書のことばとして、あるシスターが次の箇所を選びました。「何を守るよりも、自分の心を守れ。そこに命の源がある」(『箴言』4章23節)。そのシスターはこの言葉に出会って、これだと思ったということでした。私はそれを聞いて、マイナーなことばを選ぶのだなあと思いました。というのは、『箴言』もどちらかといえばあまり取り上げられることが少ない書物ですし、「何を守るよりも、自分の心を守れ。そこの命の源がある」ということばも比較的耳にすることが少ないことばではないかしらと思ったからでした。しかし、不思議とそのことばは心に残りました。そのことばは私の中で消えているようにみえて、ふと浮かんでくることばでした。

 先日5月30日(土)に私たちの修道院を会場に、アソシエート(創立者聖マルグリット・ブールジョワの精神――ご訪問・聖霊降臨の霊性――と修道会の宣教方位を自分の生活の場で生きる信徒の方々)による一日静修の日がありました。カルメル会の中川博道神父様の講話でした。「不安の時代に、希望を探して」というテーマでした。午前中の講話の最後に、神父様がリルケの『若き詩人への手紙』のある箇所を読んでくださいました。それは、詩人になるべきかどうかを尋ねたある青年にリルケが書いたものです。「自分のうちにお入りなさい。あなたが書かずにいられない根拠を深く探ってください。それがあなたの心の最も深いところに根を張っているかどうか調べてごらんないさい。もしあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白してください。何よりもまず、あなたの夜の最も静かな時刻に、自分自身に尋ねてごらんなさい、私は書かなければならないかと。深い答えを求めて自分の内へ内へと掘り下げてごらんなさい。」「だから私があなたにお勧めできることはこれだけです。自らのうちへおはいりなさい。そしてあなたの生命がわき出てくるところの深い底をおさぐりなさい。その源泉にのみ、あなたは、あなたが創作せずにいられないかどうかの答えを見出されるでしょう。」

 この「自分のうちにお入りなさい」「深い答えを求めて自分の内へ内へと掘り下げてごらんなさい」「自らのうちへおはいりなさい。そしてあなたの生命がわき出てくるところの深い底をおさぐりなさい」ということばが、私には『箴言』の「何を守るよりも、自分の心を守れ。そこの命の源がある」ということばと自然に重なって聞こえました。自分の心、そこに命の泉があるというほど、自分の心というのは秘められた大切なものがあるところなのでしょう。そこを堀り起こしていったら、自分の深みに降りていくことになり、自分の命に神がおられることに気づくほどの貴く光を放っている場・心なのでしょう。

 サレジオ会の雨宮泰紀神父様の「主の祈り」に次の歌詞があります。「天の父は今もずっと私の名を呼んでいる  わたしがまだ生まれる前から、この世はできる前から  天の父は今もずっとわたしのこと呼んでるから  心を開いてその声を響かそう」
自分の内に入っていって、天の父の声を響かせることができる私たちの心であったら、どんなによいことでしょう。 
                 コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会    兼松 益子


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