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御伽噺19

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遣り残しは無い 01

2010-02-25 14:07:40 | 日記
   『遣り残しは無い』

 私は中学二年から付き合っていた彼氏がいた。その彼氏はバスケ部で、私は試合には応援しに行った。ずっと付き合ってから、中学を卒業する日に、初体験をした。
 高校生活でも違う学校だけど逢おうね。そう約束をした。いつ反故になってしまうものではあるのだけど。
「ねえ」
「何?」
「二人の最後のいられる時間だよね」
中学の鍵を壊して、屋上で煙草を二人で吸っていたのが懐かしい。吸うと心が沈静化する。まして、二人なら。
私はいつでもいいよ。そう言っている。でも、彼氏が慎重だった。
私は中学を卒業する前にやるべき時はやっておきたかった。煙草を吸う。私は、きっと、煙草を吸うために生まれてきたのだなと思った。
 で、彼氏も最後の時間は、いい感じで終わる。
「二度と逢うつもりはないよ」
「分かっている」
そして、ホテルから出で来た。何か食べる?そう私が言うと
「これ以上一緒の時を過ごすと、別れがたくなくなっていくのが、嫌だからさ」
「なる程」
私は最後にハグして、去って行った。もう逢えないから。自然と涙が流れた。初めてが沢山あった。夕暮れが涙を誘ってしまう。
 そして、高校生になった。ブレザーの服が結構様になっている。そう自分に酔っていた。
告白された二人目の彼氏は、いかにももてそうな奴だった。遊びも悪くないかなと思っていた。友人も、出来たし。中学よりももっと明るい雰囲気だった。
 ダークブランの色に染めた。とりあえず、夏休みは緑色の髪を染めてみるけど。彼氏が
もっと普通の女になってくれと言って来たので、そうする事にした。
 何故か知らないが私は最初の彼氏と同等くらいに好きになった。きっと遊んでいるんだろうなと思って、ホテルに入った。
 かなり上手かった。いかしてくれた。私はまだ快楽で頭がぼーとしていた。
「疲れた?」
「全然。最高に良かったよ」
「どういたしまして」
そして、二人とも日曜日には、一緒にラーメン店でバイトした。ホテルの費用を稼ぐためと、何となく煙草代が欲しいから。大学生だと偽りの履歴書を書いた。
 ホテル代がある程度稼げたら、辞めるつもりだ。
 飯は友人たちと屋上で食べる。会社員になっても、こんな感じなのかなと思った。大学の話をしていた。どこに行きたいか。どんな男と結婚したいか。結構重い話題を話していた。いつもはもっと、ほんわかとした話題だけど。
私の実家の菓子メーカーから新商品を試してもらっている。
 友人たちは辛口だが、でも美味しいものは美味しいと言ってくれる。私は親の元で働こうかなって思っている。
高校二年になり、私たちは屋上で四人とも煙草を吸っている。別に不良な訳でもなく、ただ煙草を好んでいるからこそ、吸っている。
 そして、受験の話が持ち上がってきた。会社の業績が上がっている。お互い持ちつ持たれつと言う事は承知している。
 

遣り残しは無い 02

2010-02-25 14:06:29 | 日記
高校の夏休み。蝉の声を聞きながら、彼氏は私の職場に働きたいと言って来た。正直困っている。私が採用する訳じゃないし、もう彼氏とは一段落を終えている。お互いの趣味趣向も何となく知っている。
「大学にしたら?」
「別にそれでも構わないけどさ。AV俳優になろうと思うんだ」
「男優の間違いじゃない」
「いずれはこれを肩書きに芸能界に入るつもりさ」
「日本では聞いた事ないわね」
そう言って、私は夏の暑さを忘れてアイスクリームを食べていた。夏でも、ビンテージもののジーンズに、黒いTシャツを着ている。
 彼氏は黒いタンクトップに、ハーフパンツを着ている。ベージュ色の。
 そして、私は高校二年をやりこなし、12月24日で、避妊薬を飲んで、そのまました。ずっと、一緒にいたい気持ちはあるけど。でも、別れは一年を切った。そう思ってした。外は雪も降らなかった。珍しいなと思った。いつもは雪が降る時期なんだけどなと思った。
 彼氏はAV界に進出する気らしい。このくらいの上手さがあれば、きっと人気がでると思う。上手さだけじゃなくてルックスもいいからだ。
そして、高校生活のラストスパートになった。皆が必至になっていたから、私は、本当に別れる事が信じられなかった。
 春は桜の花びらが私たちのように散っていき、夏は涼しい図書館で、持ち込んだ小説を読んでいた。そして、秋は朦朧とする。きっと嫌いな季節なんだ。淋しさを呼び込む淋しい季節だから。銀杏の葉を見ながら、これ以上の彼氏は出来ないだろうと思った。上手いし、ルックスも抜群。
母親は専業主婦だ。私も働きたいと言ったら、
「いいと思うわよ。父さんと相談してあげる」
「ありがとう」
そうして、冬が来た。今度は想い出みたく、降り、一つの恋が終わろうとしている。私はまだ熱い。きっと、彼氏も。
 淋しいね。
 ああ。
 上手くいくよ
 お互いね
そういう淡々とした会話をする。それで、恋は終わった。
「二度と逢えなくなるけど、元気でね」
「ああ」
そう言って、私は涙が少し出た。もう卒業式を待つ身になった。これでよかったんだ。これで……
 そして、友人たちと煙草を吸いながら、卒業式の後にカラオケ三昧だった。痛みは消え去った。私は友人たちとはしゃぎ、そして、会社でいい男を見つける。
遣り残しは無い。だから、大学に進学しなかった。
「元気でね」
そう言って、私はいい思い出になったと思った。
 いつか屋上で吸った煙、ホテルでいかして貰った時。さまざまな栄養分の感情をぶら下げて帰った。いい恋がみつかるようにと。
 会社員になり、私はいい男から誘われた。もう彼氏になった気になっている。まあ、きっと長く続く恋だけど。
 

一粒の涙

2010-02-25 09:50:37 | 日記
   『一粒の涙』

 私は、一粒の涙を零した。さようならを告げた。フリースクールで好きな人が死んだ。いつも、眺めていた。ずっと、憧れていた職員だった。
 私はそれから、恋をしていない。ここにいる限り出来ないだろう。だから、「学校」は辞めた。17才の夏である。
 それ以来、ウィスキーが欠かせなくなった。酒で紛らわす。好きになった人を、いつも想いながら。
 ずっと、一緒に話しているのが楽しかった。二人きりになれると、決まって話が滞り、私はやはり理想どおりには行かないんだなって思った。
 病気らしい。それでこの世を去った。ずっと、泣いていた。傷口を癒してくれる人だった。私はいつも、ずっと好きな人でありたいと思った。
 やはり、平日の昼は淋しい。それで冷蔵庫を開けたら、ウィスキーがあった。酒は未体験の私だから、一口で昇天かなと思ったが、一瓶を空にした。
「おいおい。未成年が酒を呑むなよ」
「堅苦しい事は言わずに」
父から注意された。でも、酒がある日だけは呑んでいる。無い時はファッション雑誌を見て、私には似合う事はないだろうと思った。
 だから、私はこの雑誌を購入しなくなった。親が気を効かして、ウィスキーは毎日呑めるようになった。
 私はナンパされた事がない。当たり前か。家にずっといるのだから。ずっとはこうして生きてはいけない。いずれ、親はいなくなるもの。それまでに結婚ができれば理想だけど。出逢う機会を失った。
 ウィスキーが恋人になった。黒髪で一度も染めた事がない。私はいずれ忘れ去られるのが怖い。好きな人とはいつか忘れる時が来る。今だけはウィスキーを呑む。結婚できたとすれば、次はウォッカに挑戦しようと思っているけれど、高すぎるかなって思った。
「ウォッカ買ってよ」
「給料が上がったらな」
不況で給料が下がっているから、しょうがない。18才になれば、私も変われるかなって思った。
 一粒の涙を流した。あの頃はもっと泣けていたのに。新しく好きな人が出来ればいいなと思った。
「どんな人が好きなんですか?」
そう言えなかった。きっと答えは分かっている。
「さあね」と。
私はウィスキーもそろそろ辞めて、叶わなかった行方を追いかけて、コンビニの深夜バイトでもしてみようと思った。あまり人が来なくて、でも、私は不器用だから、勤まるとは思えない。
 18才になった。バイトを始めると言ったら、両親は驚いていた。
「酒が恋しくてね」
そう言って、深夜のコンビニで働く事にした。私は自給が高いのでこの職業を選んだ。最初は青年が教えてくれた。そして、何ヶ月を経っても辞めなかった。
 青年はフリーターらしい。私は恋人にはならないんだろうなと思った。それでいい。酒代さえ稼げれば。ずっと好きだった人を忘れる為に。私は、この青年との話を楽しんでいた。いい感じだ。次第に好きな人を忘れてしまった。刹那的過ぎる別れ方だと思った。
 ウィスキーを呑みながら「夜食」を食って夕方まで寝る。シャワー等、身だしなみはきちんとして、そうしてから、酒のにおいがしないかどうか確かめてに行く。深夜営業の店が近くにあって良かったと思った。
「私も早く結婚したいなって思っているんです」
「そっか。俺は諦めたかな」
「きっと、結婚できますよ」
そんな事を言っていた。二人は結ばれもしない。だから、面白い。友人になった気分だ。
「じゃあね」
私は先に家に帰った。そして寝た。不思議と好きな人が出てくる。ウィスキー呑みたいな。
そんな夢ばかり見る。
ウィスキーをずっと呑み続けたい。恋の残骸は消えても、それが私の唯一の楽しみだから。
 

続けばいいな

2010-02-24 13:43:45 | 日記
   『続けばいいな』

 私は25才になり、仕事にも大分慣れてきた。結婚の約束をしている。彼氏は、26才で大学の先輩だ。一つ上で、ゼミの時に知り合った。
 結婚を前提に付き合ったのは、幾人かある。でも、私が飽きちゃうのだろう。別れを切り出すのはほとんど私だ。学生時代から。でも、26才で結婚を決めた。
 結婚式をした。皆が集まってくれた。仲のいい同僚。そして、学生時代の友人たち。私は、幸せを感じた。26才の秋口ぐらいである。
 私は職場も変えず、ようやく二人暮らしをしようと言って来ている。
「子供はどうする?」
「いらない」
「そっか」
そんな話題をする事もある。いいマンションに住みたい。そんな事を考えている。子供が要らないなら、寝室は二つでいい。でも、先行きは分からない。私は、きっと子供がいつかは欲しくなるだろう。でも、この人なら二人の生活でも悪くないと思う。
 私は出世したいなと感じ始めた。仕事も女係長になった。女性の社会進出が叫ばれて等しいが、私は仕事ができる方だ。だから、どうでもいい。
 私は給料が上がった事が嬉しかった。夫も係長だ。仕事が出来ると同僚の友人から伝え聞いた事がある。夫の事を良く知っている知人だ。私の友人でもある。
 いつかは、私は一緒にいるつもりでいた頃を思い出した。
 冷たい雪が降る昼間だった。珍しく雪が降ってきた。その時、プロポーズを一度目にされた。でも、私は断った。一人でいたいと思ったからだ。22才の時である。
 カジュアルな服を作る会社に就職した。私は、最初は青髪にして働いていた。そして、男を替える度に、頭髪の色を替えてきた。金にしてみたり、黒にしてみたりとか。今は茶色だ。
それでも、夫も諦めがつかなかったのだろう。今度はまた冬にプロポーズをしてきた。私は受け入れる事にした。気持ちが伝わってきた。ちょっと切なかった。
 結婚は秋口にして置いた。それから、一年で結婚した。25才で紙を役所に提出した。これで夫婦になった。
 私の企画が、売れていく。だから、私は係長になった。出世しても、関係は変わる事がなかった。職場の人間関係は。相変わらず休み時間に、話をしていながら、ランチタイムの小料理屋で飯を食べていた。
 そして、私は家でも喪服をイメージした黒いカジュアルな衣服。カジュアルドレス。
「斬新な衣装を着るな」
「これも仕事よ」
なんて言っている。その衣装は失敗かなと思った。暗すぎるからだ。誰が買っても、いいようにとは考えているようだが。夫は早く飯が欲しそうだ。
「今作るから」
そう言って、朝からカルビ焼きをした。
「何で、一回目のプロポーズ断ったの?」
「一人が似合うと思ったから」
「強い女だな」
「そう思っただけ」
そして、二人はこんな感じでいられたらいいと思う。
「日曜日にも仕事をしに行くから。早く食べてね」
「せっかくだから、たまにはデートらしいデートコースで遊ぼうぜ」
「もっと金稼ぎたいから」
そう言って、会社に行った。私の居場所は二つある。歳を取っても、ずっと、幸せになれる気がした。でも、お互い別離しても、後悔は絶対しないと思うが。
30を越した。未だに、マンネリする事はない。理由は、ほとんど、一人でいる時間が多いからだ。
 

一応夫婦 01

2010-02-24 10:03:09 | 日記
   『一応夫婦』

 17才で結婚をした。私は高校二年の時である。学校は続けていいよと言っていた。
「他に好きな人ができちゃうかもよ」
「そうなったら、結婚をする必要が無い」
「割り切っているんだね」
「かなり無理をしているけど」
彼氏は一人の女しか知らないらしい。でも、長く付き合ったようだ。私はこの人が初めてだった。私は処女じゃない振りをした。血は『月桂冠』、涙も『松竹梅』が流れたようなものだよと言っていた。
 まあ、その後、家から持ってきたというスポーツ飲料で乾杯した。普通酒だろうし、何故か温かかった。
「何でこんなに温かいの?」
「そんな事俺に言われても」
そうして、初体験は終わった。痛みを堪えれば、慣れれば、もっといい女に慣れる気がした。日本酒が好きだ。いつも、夜は父親と呑んでいる。そこで彼氏は結婚するようになった。高校一年から付き合っていた。
 高校を卒業したら、新婚旅行をする事になった。行き先はロシアで売春婦とフレンドリーな関係になろうとしていた。ロシア語を習いに、近くのロシア人から、
「日本語しか喋られない」
それなら、ロシア人じゃない気がしますが。と心の中で思った。
「北方領土を返してください」
私は言った。
「だから、俺に言われても困るって。ロシア政府に殴りこみに行ったら?多分殺されるだろうけど」
「そんな事より、貴方はロシアの本国に帰れませんよ」
「そんな……」
ロシアで結婚式を懲りずにする事にした。何回目なのかはよく知らない。多分二回目だろう。高校も卒業したら、結婚式をするはずだったが、高校三年になる前に、密室で二人だけの結婚式をした。唯キスして、婚約指輪を貰っただけだけど。結婚式のはずだったが、我慢できなかったらしい。婚約指輪と袋に記載されていた。私は特に問いたださなかった。
 そして、高校を卒業した。友人たちと一緒に、ある競輪選手を応援していた。ほとんど30人ぐらいが集まった。皆、ラスト・ゲームを楽しみたいらしい。
 大穴を買ったら、負けてしまった。貴重な千円札が。
 その後、失神する友人が相次いで、身体に悪いから、もう競輪場には来ないようにした。競艇にして置こうと思った。
 失神した友人たちを救急車に搬送するのを見守った。そして、私は学校生活に未練がなくなった。