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御伽噺19

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愛する彼女へ

2010-02-27 08:43:21 | 日記
  『愛する彼女へ』

 僕は沙希の事が好きだよ。でも、気持ちは届かぬまま時だけが過ぎていく。まるで血流がドクドクいっているし。茶色い瞳。ナチュラルブラウンの髪はいつもいい匂いがする。僕は中学二年で、夏休みに彼女を映画に誘ってみた。
 それ以来恋は続いた。彼女は他に思いを寄せている男がいるようだ。でも、それは友達から知ったもの。なるべくなら優先させてあげたい。本物の恋が欲しいからだ。
 僕は沙希に思い切って聞いてみた。
「沙希はさ。何で僕と付き合っているの?」
「好きだから」
「本当に好きなのは僕じゃないだろう。もう無理しなくて……」
「もう振られちゃった。他に彼女がいるんだって」
そう言って沙希は僕と腕を組んだ。上手く慰められるのかどうかは、答えが出ないだろう。それでいいと思った。
 僕は中学の夏休みまで沙希と付き合う。本当はもっと一緒にいたい。でも、沙希は進学校に進むから邪魔だけはしないようにと思った。
 僕も学力があれば、いいなとは思った。そして、僕は沙希を取られたくない。ずっと好きだったからだ。もう二度と巡り会えないだろう。中三の夏休みになったら。
 そうして、月日が経ち。別れの日がやってきた。ずっと笑っていた彼女を手放す時が来た。映画に見に行った。そして手を離さずに、ずっと映画を観ていた。
 別れの時が来た。
「楽しかったよ」
そう言ってくれたのがせめてもの救いだと思った。僕は満足した。沙希は本当に満足してくれたのかな。それだけが気がかりだった。
 

季節 01

2010-02-26 14:49:15 | 日記
   『季節』

 春は君といる。桜よりも身体を儚げにしたい。高校二年で卒業式までは付き合うだろう。もう一度、この季節になったらホテルに行こうと思っている。それまで関係が続けばの話ではあるが。
 桜は嫌い。すぐに散るからだ。散ることを恐れずに散っていく花びらのほうが、私よりも強く感じる。私は、きっと、だから春は好きじゃない。
 そして、一番好きな新緑の季節が巡った。太陽の光を浴びて、私たちは散歩をしながら、
「一番綺麗な季節だね」
「そうだろうか」
と語った。私は休日だけど、金が無い。デートもイマイチ、選択肢が少ない。私はいつもただ外で会っているだけ。それでも、虚しいとは思えない。私は話術が達者だ。ずっと、傍にいても、笑いを取っている。一時は女芸人を目指していた。緊張すると喋れなくなる体質だから、失格であろう。プロにはなれない。でも、彼氏も笑ってくれる。本当はつまらないのかなと疑惑が湧くが。
 彼氏の好きそうな格好をしている。黒いTシャツに、ベージュ色の長めのハーフパンツ。
 私は化粧をしない。ずっと、素顔で生きている。それも、好みの一部分であろう。
後二年もあるとは思わなくなった。私は大学に進学する。彼氏は就職をするそうだ。私は、気持ちは変わらない。恋人だけど、でも、どうでもいい。別れ方は自由でいい。ただ泣けば済むのだから。
でも、別れは近づいている。恋人でも私はプラトニックの方を優先する。身体は最後。そう決めている。
 そして、夏休みになった。涼しい室内で、私は勉強していた。
私はチョコレート菓子メーカーの社長の一応「娘」をしております。それで男たちが群がるんだなと思った。チョコレート菓子の試食会に彼氏を連れて行く。
 何でも美味しい、美味しいと新作を頬張ってくれる。私は家にあるから、ただこれもデートの一種になればいいかなって思うようになった。
 私は損得勘定の無い人を選んでいた。本当はお金がある。女の私に金を奢ってもらうなんてしたくないだろうから、いつもデートの費用は割り勘だ。と言っても夏休みは家でまったりと過ごすけど。
 秋になり、秋雨は降り続く。一人で傘を差して歩いた。ずっと、この季節になると別れを思い出す。初めて付き合った昔の恋人。
「秋雨が好きなんだ」
そうその当時の彼氏は述べた。私は寒々しい秋を、さらに助長しただけだと思う。その当時は。そう語った。
この年になって、分かるような気がする。私は、別れを体験してきた。この先、春夏秋冬、別れが来るのだなと思った。でも、風情がある。今思うと別れを意味する冷たくて、温かい雨。ずっと、惹かれていく。そして家に帰った。雨粒で私の迷いを吹っ切ってくれた。何時別れても後悔はしない。
 

季節 02

2010-02-26 14:48:28 | 日記
二度目の別れはもう近づいてきた。あの時と同じ秋雨が降っていた。きっと、お互いいい恋人と巡り逢えたと思う。私は自由な服装になってきた。男物の服しか着ない。単なる趣味だ。私はきっと、忘れたりしない。
私の父親が経営している会社に勤めようとしない。疑問を口にしてみた。
「何で、私のコネを断ったの?」
「君が大学で新しい恋人ができるからさ」
 そして、冬になった。思ったよりも早い別れだった。
「十分楽しめたよ」
私は失恋が一年よりも前に訪れていた。瀬一杯強がって見せた。
「私は一生忘れたりしない。出逢うのがもっと大人になった時なら良かった。どうしても、大学には合格するから。頑張ってね。就職活動」
「ああ、ありがとう。これを最後のプレゼント」
それは、写真だった。たった一枚桜の写真を撮った写真だ。新緑の方が嬉しいけど、これも悪い気がしなかった。切ない想いは、一瞬に燃えてしまう。
 そして、二人は永遠に他人になった。単なる他人に。
 そして大学に進学した。最後に挨拶ぐらいしたい。でも、もう恋人じゃないから。止めといた。
『十分楽しめたよ』その言葉をかみ締めて生きたい。大学生生活も慣れてきた。貸しマンションに住むようになった。私はダブルベッドも完備したし、後は一人でいる時間を減らす事。それが今の課題だ。
同じ学科で三人の友人が出来た。合コン仲間だ。彼氏が出来てからは、なるべくこそっとやるだけだけど。
 ただ一切浮気らしきものもしないし、彼氏は合コンで他の女とやっている。もてるんだから仕方ないかと思った。
 桜の季節は終わった。後は私が一番好きな季節。緑が眩い季節になった。まあ、大学生活も始まったばかりだ。性病をうつされなければいいなと思った。
 そして、大学二年でお互い別れた。また次の恋を探そうと思った。すぐに出来るだろうけど。やはり、普通に出逢えるのが一番いい関係になると思った。私は告白を待ちたい。今は恋人募集中だよと。
 そして、また彼氏が出来た。いい形で出逢う事ができた。浮気はしなさそうだし、何よりも、楽しげだ。性格が合う。
 一緒に私の部屋で愛を誓った。卒業したら、結婚してくれるらしい。金の力ではないと信じたいし、とにかく、共にこの部屋で過ごしていきたいな。それが私の願いだ。
最初の彼氏に似ている。でも、結婚するなら、私の父親の会社で働いてくれる事が最低条件。そう告げたら、
「いいよ」と私の意見を飲み込んだ。
 そして、ずっと一緒に居た。平日の夜は。この結婚式をやる時は、盛大なものになるだろう。私は今から楽しみになった。
 大学四年もあと少し。いつもくっついているとマンネリしそうだから、ゼミは別にした。私は、きっと、生涯「付き合える」事を信じている。無根拠な自信だけど。
 

失恋と恋 01

2010-02-26 09:02:19 | 日記
  『失恋と恋』

 いつか結婚を確定した人がいるよ。今の彼氏にそう告げた。相手は大会社の専務の息子であり、私のことを気にいったらしい。
 私もそれなりの娯楽になった。煙草も吸わないし、飲酒もしない。ただ寝ているだけで満足できたりする。
 彼氏の煙草を嫌がるようになった。それを告げる事はない。ただ15才で婚約をした。
16才になれば結婚するつもりだった。中学で学生生活が終るはずだった。
私が出逢って二ヵ月後に、結婚の話が出てきた。この人となら安心ができる。大人の恋愛を成長する事に発展するだろう。
「結婚しよう」
満開な桜にそう誓いを立てた。でも、何故かこの人と結婚生活を送りたくはないと思った。家事は未熟。ただの「ラブ・ドール」みたいだ。
 ただ、もう一人27才の女性と付き合って、妊娠している事が分かったと言われた。
それで結婚指輪を、左手の薬指に嵌める事にした。それが私への愛情の印なんだなと思った。
 痛んだ心はまだ、結婚指輪を貰った人を想っている。デートはホテルでカラオケをしたりした。ホテルでただ抱かれた事ぐらいしか記憶にない。
 そして、私の桜が舞い散る春には、新しい彼氏ともう行きたいな。そんな風に考えるようになった。
 そして、中学時代の同じクラスの男と付き合うようになった。
駅で偶然あった。暇らしく、喫茶店にでも行くか。
「奢ってね」
そう言ってコーヒーを飲んでいた。彼氏はアイスクリームを食べていた。室内は涼しい。広々とした喫茶店で、30席以上ある喫茶店だった。時間帯もよくて、しばらくは男の恋沙汰話を聞いた。楽しくて、一年続いた恋愛をしていたが、今の私みたいな女で、すぐに振られてしまったらしい。
「よかったら、結婚してくれ」
「君が働き出すまでは、彼氏に過ぎないからね」
そう言って、二人は付き合い始めた。多分長続きはしないと思った。まあ、唐突な出逢いで、傷を「隠そう」とした。痛い失恋の跡からの恋が結ばれるように。心臓が新しい恋が上手く行くように願掛けを込めた鼓動がする。だから、古傷は彼氏といる時だけは忘れる事となった。
「明日はどうする?」
部活で忙しい。
なら、仕方ないね。
そうメールをして、他の女とやっているのだろうなと思った。過去に経験がある。私はバツイチみたいなものだ。
 中学の時は必死に大人になろうとした。でも、今は違う。子供では完全に無くなった。ずっと、私は必死になった。これ程の想いは、きっと私には無かった。
 17才になった。私は金髪にして、セミロングの髪型になった。私はきっと、結婚できるような気がしてならない。部活を辞めて、受験勉強をしているからだ。結婚は形だけして、後は女と好きなだけ遊べばいい。
 

失恋と恋 02

2010-02-26 09:00:06 | 日記
叶わなかった想いは、きっと綺麗に涙として溢れ出す。私はきっと、結婚するなら、早いうちにしたい。恋愛を発展して、そして、恋の炎が消えない事を祈っている。
 久しぶりのデートだ。
「何で、高校に行かなかったの?」
「結婚するつもりだったんだ」
いつも寄っていた喫茶店にて話していた。
「誰と」
「御曹司と。もう振られたけどね」
「左指の指輪がその証拠か」
「まあね」
少し淋しい話題になった。でも、私はずっと結婚してくれている人を待っていると伝えた。
「俺なら大学を卒業したら、結婚できるけどな」
「気持ちは移ろいやすいからね。いい女を捜してね。私は新しい夫を見つけるから」
「二人で身を固めて、一緒に同棲したらどうかな?」
「大学が遠くなるんじゃない?」
「車で通えるから」
「そっか」
彼氏の想いはまだ温かみがあるようだ。私は二度も裏切られないようにしようと思った。私は、きっと、大丈夫だから。裏切られても、また新しい男を作ればいいかと思った。
 私はいつでも男ができる。ナンパされたりしながら、男を作り、やがて生活能力に長けた人と結婚するつもりだ。「裏切られたら」の話だけども。
 春の桜が満開の時、私は彼氏からプロポーズをしてきた。桜は綺麗で昼間に来た。私は、今度は裏切られなかったと思った。18才になり、二度目のプロポーズで結婚できた。指輪を貰った。今度はペアで。区役所で正式な夫婦になる手続きをしていた。
 そして、同棲はする事になった。結婚式はしないで置こうと決めた。
「俺は裏切らない。だから、一緒に楽しく生きよう」
「そうなればいいね」
そう言った。また春で桜が満開になったら、出来る限り、二人で観ることにした。きっと、一緒に観に行く事ができるだけ、二人は一緒にいる時間が傷物の心を癒してくれるから。生涯は二人以外しかしない。これが、私なりの夫に対する誠意だから。