茂木のシネマテーク通信

シネマテークたかさき総支配人・茂木正男のブログ

父の想い出と『胡同のひまわり』

2006-10-17 16:23:49 | Weblog
私事になりますが、お許しください。茂木の父親は、数年前に最終的に肺炎で亡くなった。吉井町に生まれ、鍛冶屋の次男坊として生まれ大酒飲みの父親の姿をみて、金輪際酒飲みにはならないと子供の頃決めていたらしい。それが、自分の長男が大のビール好きになるとは世の習いである。母と結婚し町内の長屋に移り住み鍛冶屋を始めた。コークス・ふいご・粘土取りなど物心つく頃から親父の仕事場で遊び、競馬に温泉、アコーディオンに西部劇とくに魚取りはカジカやなまず、ドジョウにフナ釣りアユ釣りといろいろ連れて行ってもらっている。母親の口癖は、「仕事も遊びぐらい本気でしてくれたら、もう少しお金も残ったのに、、、」だった。なんだか、親父と同じようなことをしている自分がいる。晩年は、口数も少なくても我が儘なところが多くて、80歳過ぎたある日よびだされ「かあちゃんとやっていけない、離婚したい」と言い出した男である。とまれ。『花よりもなほ』の主人公が父親との想い出を探し出すように、最近は茂木も父親との記憶を辿ることがときどきある。我が儘のいい放題であるとき、ドライブに連れて行ったとき本気で山に捨ててこようとしたことを思い出す。(ちょいまじで)それでも、井戸掘りの手順や井戸の出る場所の探り方、粘土のある場所、溶接のポイントなど聞いておけば良かったと後悔している。
『胡同のひまわり』は、文化大革命に翻弄され画家としての将来を踏みにじられ、その夢を我が子に託したい父親の物語である。しかし、茂木と同じで息子は父親の言うことをきかない。決して甘くない人生のなかで一人の男として時代に流されず生き抜く父親に、戦後を家族を守り働きと押した日本の父親像とだぶらせて観た。深い余韻に浸る映画である。

『ゆれる』そこにあるもの

2006-10-15 12:29:04 | Weblog
「今年屈指の日本映画! これを観ずして何を観るのか?!!」

「香川 オダギリ 西川の魅力満載の作品は、圧巻の出来映えとなった」

「これが長編2作目の監督とは、到底思えない。行く末がおそろしい」

「人間のこころの闇をえぐり出して、魂さえ白日のもとにさらけ出す」

「ラストシーンでは、こらえても溢れ出すものがクレジットを読ませてくれない」

「たまたま売れた若手写真家が故郷をバカにした映画化と思った。とんでもない間違いだった(笑)」

「過去を取り戻そうとする意思と行動があれば、何度でもやり直せる。
  人はあまりにも弱いが、かすかな希望を見出そうとする映画だろう」

ジョン・ヒューストンのデビュー作

2006-10-05 22:39:29 | Weblog
『マルタの鷹』いわゆるジョン・ヒューストンの初監督作品である。彼の自叙伝「王になろうとした男」をよみはじめていたことから、この際いま観られるビデオ観ておこうと準備した。自叙伝と監督作品を平行してみていくととても面白いものだ。ヒューストンは、脚本家として頭角をあらわしていたが監督の仕事はまわってこず、ようやくオーケーが出てハードボイルド作家のダシール・ハメットのこの原作に手を付けた。既にマルタの鷹は、二度映画化されているものの、いずれも失敗作であった。この映画が後々までもヒューストンの将来を左右したことは言うまでもない。練り上げた脚本に、ボギーが主演にすわった段階で初監督ではあってもある意味できばえは約束されたようなものだったのではないのか、、、。あらためてビデオで観た感想は、ハンフリー・ボガードって、食えない男だである。劇中のボギーは、女に甘く友情に厚い、肝は座っているが決してすべてが、其の後のダンディーなわけではない。しかし、渋い。中年の男は沢田研二ではないが、このようにありだいものだと、思わせてしまう魅力に満ち溢れている。困ったものだ、結局褒めているではないか。所がである、7年後の『黄金』では新しい顔をボギーは見せている。

平成18年度たかさきコミュニティシネマ活動

2006-10-03 20:18:18 | Weblog
シネマテークたかさきオープンして間もなく2年になろうとしている。この間、劇場にこない日が三日以上続くことはなかったがついに約2週間以上かなお休みをいただいている。以前から故障しているところを修理に栃木県まで足を伸ばしている。明日でようやく一週間になる。NTTからもお休みもらっているので仕事もしなくていい。体調さえ良ければ長期休暇ともいえるのだろうか。というわけで、時間はある、話し相手はいないので「いろいろと考える」。小人なので考えてろくなことはないが、、、。
先日、たかさきコミュニティシネマとシネマテークたかさきへの設立賛助会員様を中心にした懇親会を開催したところ約70名の皆様にお集まりいただいた。思いのほか多い人数に驚きうれしかった。そこでは、平成18年度のたかさきコミュニティシネマ活動への引き続いての賛助会員を募集しますので、これからもよろしくお願いします。と訴えさせていただいた。そこで思ったことは、私たちのNPOが私たちだけでなく地域の市民の商店街の子どもたちの映画ファンと、どういう有機的な関係を築いていけるのか試されているんだなあーと思った。