私事になりますが、お許しください。茂木の父親は、数年前に最終的に肺炎で亡くなった。吉井町に生まれ、鍛冶屋の次男坊として生まれ大酒飲みの父親の姿をみて、金輪際酒飲みにはならないと子供の頃決めていたらしい。それが、自分の長男が大のビール好きになるとは世の習いである。母と結婚し町内の長屋に移り住み鍛冶屋を始めた。コークス・ふいご・粘土取りなど物心つく頃から親父の仕事場で遊び、競馬に温泉、アコーディオンに西部劇とくに魚取りはカジカやなまず、ドジョウにフナ釣りアユ釣りといろいろ連れて行ってもらっている。母親の口癖は、「仕事も遊びぐらい本気でしてくれたら、もう少しお金も残ったのに、、、」だった。なんだか、親父と同じようなことをしている自分がいる。晩年は、口数も少なくても我が儘なところが多くて、80歳過ぎたある日よびだされ「かあちゃんとやっていけない、離婚したい」と言い出した男である。とまれ。『花よりもなほ』の主人公が父親との想い出を探し出すように、最近は茂木も父親との記憶を辿ることがときどきある。我が儘のいい放題であるとき、ドライブに連れて行ったとき本気で山に捨ててこようとしたことを思い出す。(ちょいまじで)それでも、井戸掘りの手順や井戸の出る場所の探り方、粘土のある場所、溶接のポイントなど聞いておけば良かったと後悔している。
『胡同のひまわり』は、文化大革命に翻弄され画家としての将来を踏みにじられ、その夢を我が子に託したい父親の物語である。しかし、茂木と同じで息子は父親の言うことをきかない。決して甘くない人生のなかで一人の男として時代に流されず生き抜く父親に、戦後を家族を守り働きと押した日本の父親像とだぶらせて観た。深い余韻に浸る映画である。
『胡同のひまわり』は、文化大革命に翻弄され画家としての将来を踏みにじられ、その夢を我が子に託したい父親の物語である。しかし、茂木と同じで息子は父親の言うことをきかない。決して甘くない人生のなかで一人の男として時代に流されず生き抜く父親に、戦後を家族を守り働きと押した日本の父親像とだぶらせて観た。深い余韻に浸る映画である。